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ポルシェ最初期の「356プリA」で夫婦仲よくドライブ! 優れたスポーツカーは人に優しいGTカーでした

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循/AMW 竹内耕太

1955年式ポルシェ356 プリA コンチネンタル

新潟県の糸魚川市で2023年5月3日に開催された「第18回クラシックカーミーティング」。天候に恵まれたイベント当日の会場には、エントリーリストに名を連ねた47台のヒストリックカーが早朝から次々に集まった。このイベントの特徴は1950~70年代のヒストリックカーが、特定の国籍やジャンルに偏ることなくバランスよく参加しているということ。当時の世界の自動車事情をいながらにして俯瞰でき、さながら野外自動車博物館のよう。それらバラエティに富んだ参加車両の中で今回最古参の年式だったのが、こちらのポルシェ「356」である。

ポルシェの名を冠した初の市販モデル

「年式は1955年で、コンチネンタル(クーペ)ボディ。“プリA”と呼ばれるごく初期のモデルです」

と教えてくれたのはオーナーの村上 昇さんだ。第二次世界大戦終結から間もない1948年、初めてポルシェの名を冠したクルマとして生まれた356。そのごく初期モデルであるプリAの生産時期は1948年~1955年。1955年の秋にはマイナーチェンジ版の356Aが登場するので、村上さんの356はプリAとしては最後期のモデルとなる。

リアに置かれたフォルクスワーゲン由来の空冷水平対向4気筒エンジンは1.3Lと1.5Lの2種が用意されたが、村上さんの356プリAは1.5L。356A以降のモデルと異なり、フロントウインドウのセンターにV字型に折れ目が入っているのが外見状の大きな特徴だ。

50年代のクルマならではのディテールも魅力

「昔はADO16のバンプラやミニ、ホンダの初代NSXにも乗っていましたが、この356は15年ほど前に手に入れました。カー・マガジン誌の個人売買コーナーで見つけ、北関東の前オーナーから譲り受けたものです」

見るからにコンディションは上々で、ポルシェならではの質感の高い走りを楽しんでいるとお見受けした。ボディ左右のサイドシルにモールがあしらわれているのはプリAの中でも1955年式だけの特徴だそう。

「ダッシュボード上のスターターボタンは象牙製と聞いています。当時は高級素材ということで採用されたのでしょうが、今では考えられないですね」

まだ戦前の自動車づくりの手法が残る、1950年代生まれのクルマならではのディテールも魅力的だ。

夫婦で各地のイベントに自走参加して楽しんでいる

「地元・新潟県内のイベントを中心に、近郊のヒストリックカー・イベントにはできるだけ参加しています。空冷フラットフォーつながりで、ビンテージVWのイベントなどにも呼ばれることもあります」

と、イベント当日には奥様と一緒に参加していた村上さん。クルマの前には愛車をモチーフとした特注のイラストもディスプレイするなど、このクルマへの愛着も伝わってくる。

快適性を犠牲にしたスパルタンなスポーツカーの潔さも魅力だが、さまざまな趣味のクルマと過ごしつつ年齢を重ねてこられた村上さんご夫妻には、優れたスポーツカーでありながら乗る人に優しい快適なGTでもあるこのポルシェ356プリAこそが、まさに最高の相棒に見えるのである。

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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