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1億5000万円のサーキット専用EV! 100台限定の「スピアリング・ピュア・トラックカー」とは

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TEXT: 山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)  PHOTO: McMURTY AUTOMOTIVE

サーキット専用EVは間違いなく「遊べるクルマ」

まもなく開催される、2023年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード。そのメイン・イベントといえるのは、往年のクラッシックカーから最新のコンセプトカーまで、さまざまなモデルによって競われるヒルクライムにあるが、そこで2022年に「39秒08」という衝撃的な記録が誕生したことを覚えている人はいるだろうか。

サーキット走行にフォーカスしたモデル

参考までにそれまでの公式記録は、1999年にニック・ハイドフェルドがマクラーレンの「MP4/13」で記録した41秒6。非公式ではロマン・デュマが2019年にVWの「ID.R」で39秒9というタイムを叩き出してみせたが、それを上まわる記録が達成されたのだ。しかもマクマトリー・オートモーティブという、EVスポーツの新興勢力。時代は確実に動き始めていた。

マクマトリー・オートモーティブが2022年グッドウッドに投じたモデル「スピアリング」が、12カ月を経て最新のスペックへと進化を遂げた。正式なネーミングは「スピアリング・ピュア・トラックカー」となる。これはサーキット専用車、すなわち公道走行にもレースにも参戦できない、サーキット走行にフォーカスしたモデルを意味している。

唯一の例外的な存在がグッドウッドのようなイベントで、今回エントリーされたプレプロダクションモデルの開発は2024年いっぱい続き、2025年には100台限定で納車が開始される予定。価格は82万ポンド(約1億5000万円)と発表されている。

最高出力は約1000psを発揮する

スピアリング・ピュアは、非常にコンパクトなボディサイズを持つモデルだ。ボディサイズは全長3450mm×全幅1580mm×全高1002mmなので、全長と全幅では日本の軽自動車のサイズ制限をわずかに超えた程度の大きさである。

モリセルとの共同開発による60kWhのバッテリーシステムは、シングルシーターのドライバーを中心にU字型に搭載。バッテリーケーシングに至っては15.5%もの重量低減に成功するなど、いわゆるエボリューションモデルとしての進化は著しい。

このバッテリーから電力を供給されるのは、ツインでリアアクスルに搭載されるエレクトリック・モーター。最高出力は約1000psで、パワーはもちろん後輪から放出される。前後のタイヤは2022年のグッドウッド時には19インチ径だったが、最新の仕様では18インチ径に変更。一方タイヤ幅はフロント270mm、リア300mmへと横方向のグリップを向上させるため、さらに拡大されることになった。

車速に関係なく一定のダウンフォースを提供

そしてスピアリング・ピュアが搭載する最も興味深いメカニズムが、前作にも使用されていたダウンフォース・オンデマンド・ファンシステムだ。これは同社が特許を持つ最新のシステムで、アンダーボディからファンによって強制的にエアを抜き出すことで、車速に関係なく一定のダウンフォースが提供される。

サーキットで最も多くの時間を費やすであろう低中速コーナーで、ドライバーに最大の恩恵をもたらすという。例えばシルバーストーンの「ループ」や「ビレッジ」などに象徴される、グランプリサーキットの最もタイトなコーナーでも、横方向で3Gを超えるコーナリングも可能でさえあるという。

ダウンフォース・オンデマンド・システムにも、この12カ月間で改良が施された。まずファンの効率を15%向上させたほか、重量を14%削減。同時に新たな電気系統アーキテクチャにより、配線ループの重量は35%も低減されている。

ちなみにスピアリング・ピュアは、シルバーストーン・サーキットをラップタイムレコードのペースで10周し、その後わずか20分の急速充電で再び走行に戻ることができる。最高速は304km/hというから、スピアリング・ピュアを購入した100人のカスタマーにとって、サーキット専用車は、間違いなく「遊べるクルマ」といえるのだろう。2023年のグッドウッドでのタイム更新が楽しみだ。

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