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懐かしの「ウィリアムズ」に「ベネトン」などフランスとドイツのミュージアムは「F1GP祭」が絶賛開催中でした!

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了

博物館を巡るなら事前確認は必要

サラリーマンだった編集部員時代にF1担当だった先輩に「ヨーロッパではまたF1GPのブームが再来しているみたいです」と訳知り顔で言おうものなら「原田君も分かってないね。F1はブームじゃなくて文化なの。それにいつも根強い人気を誇っているから、ブームの再来なんかじゃないの!」と一喝されそうで怖いから報告できないけれど、今年2023年夏に訪れたフランスとドイツの博物館ではなぜかF1GPにスポットがあてられていました。まずは6月末から7月初めにかけて訪れたフランスの博物館事情から紹介します。

フランス車「愛」にあふれたマノワール博物館

フランスに出かける前に考えていたのは、2023年はル・マン24時間レースが初レース開催からちょうど100年となっていたこと。レース自体も日・欧・米のトップメーカーがワークスマシンを繰り出してのバトルを繰り広げて大いに話題になったこともあり、またル・マン24時間レースの長い歴史をリアルに展開させてきたル・マン・クラシックも、本来は開催年ではなかったものの100周年を記念して特別大会が開催。その取材がひとつのメインとなっていて、博物館でもル・マン24時間関連のクルマを多く取材することになるだろうと思っていたのですが、現実的には数多くのF1GPマシンも撮影したのです。

最も驚かされたのはマノワール自動車博物館の変わりようでした。以前に訪れたときに感じたフランス車に対する深い愛情はそのままでしたが、当時はレーシングカーに関して、とくにフォーミュラについては展示車両もなく……。距離的にル・マンに近いこともあって24時間レースに参戦していたグループCなどが多かった印象が強いのですが、今回はトップフォーミュラを集めて展示するエリアが新設され、18台のF1GPマシンが勢揃い。

ポールポジションの座には1996年の「ウィリアムズFW18AGS」が着き、その隣には1997年の「ベネトンB197」が並ぶ、2by2のグリッド状に整列させての展示スタイルは、まるでミュルーズにあるフランスの国立自動車博物館、通称「シュルンプ・コレクション」をも思い起こさせるものとなっていました。フロントローの2台はルノー・エンジンを搭載しているという共通点がありますが、これはマノワール流のフランス車「愛」の発露なのでしょう。

ウイリアムズFW18

ちなみに、18台のF1GPマシンに次ぐ10列目にはAGSのF2(1980年のJH19C・BMW M12/7)とF3000(1985年のJH20・Ford Cosworth DFV)が並んでいるところもフランス車「愛」にあふれたマノワール博物館ならではの演出だと思いました。たしかに愛を感じますよね。

マ二・クールにある博物館は、次回のお楽しみ?

今回のフランス取材行は、フランス国内東部のソショーにあるプジョー歴史博物館から始まったのですが、そこで初めて出会ったF1GPマシンが1994年の「マクラーレンMP4/9・プジョー」です。自前のA4/A6 V10エンジンを搭載したファクトリーマシンなので、自動車メーカー、プジョー自身が運営するプジョー歴史博物館が収蔵していないわけはないと思っていましたが、個人的には訪問3度目にして初の対面となりました。

そしてその日の午後に訪れた、ミュルーズにあるフランス国立自動車博物館、通称「シュルンプ・コレクション」では、新旧のF1GPマシンを展示したコーナーに加えて、メイン展示ホール内の一角に1台、F1GPマシンが展示されています。それは2000年の「ルノーR30・RS27-2010」のシャシーナンバー04号車で、こちらも3度目の訪問で初めて対面できた1台でした。

とくにこれまでの「シュルンプ・コレクション」では、ブガッティを数多く収蔵していることが最大の話題で、F1GPに関しては少し冷淡にも映る展示の展開だっただけに、ルノーR30が、メインステージに登場していたのは大きな驚きとなりました。取材行はその後、F1GPとはあまり関連のない個人博物館を回って前半戦は終了です。

取材の足をルノー「クリオ」(日本国内名は「ルーテシア」)からルノー「カングー」に切り替えてスタートした取材行後半は、以前にも紹介したルノー・クラシックスから始まりました。ですが、先日紹介したようにルノー・クラシックスでは歴代のF1GPマシンは収蔵しているのだけれども、フラン工場の「キャンパス」には1台もなく……。奥に至るドアの向こうには何台もあるらしいが、結局ここではF1GPマシンとは出会うことがありませんでした。

ルノー カングー

そしてその翌日に訪れたマノワール博物館では、先に紹介したように、前回の訪問後にリニューアルが行われて、F1GPマシンの数も充実した展示エリアが設けられていたのです。その後訪れた個人博物館にはF1GP関連の収蔵車両はなく、週末のル・マン・クラシックを迎えることになりました。

もちろんここでは、これまでにル・マン24時間に出場したスポーツカーが主役。サーキット博物館もこれまでのル・マン24時間レースを制した歴代の覇者をフィーチャーした特別企画展が開催されている状況で、ここでもF1GPとは無縁の日々を過ごすことになりましたが、その辺りは想定通りの展開です。

しかし、ル・マン・クラシックの後に訪れたマニ・クール・サーキット(Circuit de Nevers Magny-Cours)では予想外の展開となりました。予想外とはいっても当方のミスなのですが、サーキット・エリアの一角に整備されているConservatoire de la Monoplace Française……日本語で言うならフランス製シングルシーター博物館とでもなるのでしょうか、リジェにプロストグランプリ、ルノースポールなどフランス製のF1GPマシンが勢揃いするとうたわれた博物館を取材できませんでした。事前予約が必要ということは知っていたのですが、取材のスケジュールが二転三転する間にうっかり予約することを失念……。

しかしその後にマトラ自動車博物館で1978年の「リジェJS9・マトラMS76」や、1969年の「マトラMS80」を筆頭に、同じく1969年の4輪駆動を採用した「MS84」、さらにはオリジナルV12を搭載した1970年の「マトラMS120」や1972年の「マトラMS120D」など、歴代のマトラF1を再確認。さらに最終日にはパリ工芸技術博物館(Paris Museum of Arts and Technology)において1983年の「ルノーRE40・ゴルディーニEF1」に再会しました。Conservatoire de la Monoplace Françaiseを訪問できなかった悔しさも、少し和らぎました。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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