かなり早い段階でAMG化された1台
今回RMサザビーズ社のニューヨーク・オークションに出品された500 SEC AMG 6.0 ワイドボディは、おそらくは入手可能なこの時代のAMG車の中では最も走行距離の少ない例のひとつだろう。
1986年2月にメルセデス・ベンツのファクトリーからデリバリーされたこの個体は、おそらくは新車時、あるいはかなり初期の段階でAMGの手によって6Lのスーパークーペに生まれ変わった。その後2人のイタリア人オーナーの手を経て、再びドイツで登録されるが、現在までの走行距離はわずかに4898km。
エクステリアは人気のブルー・ブラック・メタリックで、インテリアはアンスラサイト・レザーで統一。ドアやダッシュボード、センターコンソールにあしらわれたバールウッドトリムも非常に魅力的だ。本革巻きの4本スポーク、AMGブランドのMOMO製M38ステアリングホイールの背後には、フルスケールが300km/hとなるスピードメーターを備えるメーターパネルが配置されている。
フェラーリ「テスタロッサ」よりも高価で、ランボルギーニ「カウンタック」よりも速く、そして4人乗りの十分なスペースを持つ500 SEC AMG 6.0 ワイドボディ。それはメルセデス・ベンツのヤングタイマー愛好家にとって見逃すことのできない存在といえるのかもしれない。
今回のオークションでは残念ながら落札者は現れなかったが、このモデルは現在でもRMサザビーズ社で販売中。参考までにオークション時のエスティメートは、60万~75万ドル(邦貨換算約8640万円~1億800万円)というやや強気なもの。そのコンディションの素晴らしさを差し引いたとしても、やや驚きを隠せなかったというのが正直な感想である。