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ランボルギーニ初の完全4人乗り「エスパーダ」は約2300万円! 相場に近いプライスも売り手には納得いかない結果に

ランボルギーニ初の完全4人乗り「エスパーダ」は約2300万円! 相場に近いプライスも売り手には納得いかない結果に

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

アメリカで歴史を重ねた確かなヒストリー

1972年4月に製造されたこのシリーズ IIエスパーダは、シャシーナンバー#8726。1968年から1978年にかけて生産されたエスパーダのうちの670台目とされる。

「セナーペ(辛子)」と名づけられたライトブラウンの本革インテリアに、明るいグリーンのメタリック「ヴェルデ・パリド」のボディカラーというエレガントなリバリーで仕上げられ、長大なボンネットの下にはシリーズ IIスペック、350psを発生する4.0LのV型12気筒エンジンが搭載され、5速マニュアルギアボックスが組み合わされた。

インペリアル(マイル表示)スピードメーターとオプションの「ヌォーヴァ・ソスペンシオーネ」を装備したシャシーナンバー#8726は、1972年5月30日にニューヨークの「モデナ・スポーツカーズ」社を介して、コレクターのヤン・バッツに納車された。

1981年3月、以前のイリノイ州での所有権はヤン・バッツの家族であるトッド・バッツに移ったが、このエスパーダは2006年まで家族のコレクションとして愛蔵されることになる。

2006年11月、カリフォルニアの「ラグジュアリーカーズ・ロス・ガトス」社を介して前オーナーが入手したこのエスパーダは、今回のオークション出品者である現在のオーナーに譲渡される2015年初頭まで保有された。

そして現オーナーの依頼のもと、2021年に「レトロ・スポルティーヴァ」社によってエンジンのリビルドが行われ、その際には6万ユーロを超える請求書が発行されたとのことである。

現在、このエスパーダ・シリーズ IIは、マッチングナンバーのV型12気筒エンジンとともに、ヴェルデ・パリド外装/セナーペ革内装という工場出荷時のカラーリングを維持している。ボディナンバーは車内のさまざまなパネルで発見され、その写真は添付されるファイルで閲覧することができる。

このクルマは、エスパーダの中でも極めて保存状態の良い1台であるとともに、当時のマニュアルやパンフレット、ランボルギーニとベルトーネそれぞれの塗装とレザーのオリジナルサンプルも含まれている。

また2017年7月の段階で、新車から2万4644マイル(約3万9400km)しか走っていなかったようだが、この時点でオドメーターはドイツ国内の道路交通法規制に適応させるためにメートル表示ユニットに交換されている。それ以来、このクルマはオークション公式カタログ作成時の数値に見合う、わずか683kmしか走行していない。

ちなみにオリジナルの古いオドメーターは、スマートな当時モノのツールキットとともに、オークション出品時には車両に添付されていた。

このヒストリーの確かさと現状のコンディションに自信を得ていたのか、RMサザビーズ欧州本社は現オーナーとの協議のもと、16万ユーロ~20万ユーロというエスティメート(推定落札価格)を設定。また、入札が跳ね上がることを期待して「Offered Without Reserve」、つまり最低落札価格を設定しないことにした。

ところが実際の競売ではビッド(入札)が進まなかったようで、エスティメート下限を大きく割りこむ14万7200ユーロ。日本円に換算すれば約2320万円での落札に終わってしまい、売り手の期待は裏切られることになってしまった。

ただしこのハンマープライスは、この1~2年におけるエスパーダのマーケット相場価格から大きく乖離したものではなく、落札者にとってはなかなかリーズナブルなものだったとみるべきだろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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