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「カヤバ」のショックアブソーバーの高度な油圧制御を体感! なめらかな走りを実現する「振動絶縁技術」とは

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TEXT: 南陽一浩(NANYO Kazuhiro)  PHOTO: KYB

環境にも後席乗員にも優しい

もう1台は比較試乗ではなく、トヨタ「カローラ スポーツ」での体験試乗だった。カヤバは「サステナルブ(ルーブリフィケーション=潤滑とかけている)」と題して、環境性能を備えた作動油、再利用や後処理で環境負荷を減らしたオイルを開発している。自動車のリサイクル性に貢献する、現実的な試みといえる。

ここまでは山岳路を備えたコーナーありのテストコースだったが、次は直線路へ。ここではセミアクティブ、フルアクティブそれぞれのショックアブソーバーを試した。1台目のレクサス「ES」はなんと、手元のスマートフォンアプリから減衰力設定を変えられるセミアクティブ・ショックアブソーバーを装着。スマホ上のパラメーターをスライドさせると、たしかに上下ストローク量の増減が思いのままになる。概して前席より乗り心地の劣ることが多い、後席の乗員に実用的なアイテムといえそうだ。

高度な油圧制御がなせる走り

次もセミアクティブだったが、今度はショックアブソーバー1本あたり2カ所にソレノイドバルブを備え、カヤバ独自の制御を施したフォルクスワーゲン「ティグアン」(現行型)に試乗した。じつは欧州で発表済みで日本導入を待つ新型ティグアンは、新世代アダプティブサスペンション「DCC Pro」を新たな特長のひとつとしており、カヤバの2バルブショックアブソーバーのユーザーとなっている。つまり試乗車は旧型・旧シャシーで、新型に近いシステムを組んだ仕様といえるのだ。波状路へ70km/hで突っ込んでいくのだが、制御OFFのままだとSUVは車高も視線も高いため、下からの突き上げで頭を前後に強く揺する「ヘッド・トス」現象が起きる。ところが2ソレノイドを効かせると、伸びと縮みを分けて制御できるので、ボディの大きな上下動にも細かなピッチにも、足まわりがきちんと追従し、ヘッド・トスが起きないフラットな乗り心地が味わえた。たとえていうなら、1ソレノイドが従来の3極ステレオ音ならば、位相差をちゃんと拾える2ソレノイドは5極バランス接続のような定位ぶりなのだ。

だが、さらに想像の斜め上を行くのが、フルアクティブ制御のショックアブソーバー体験だった。装着された試乗車はBMW「5シリーズ」。セミアクティブとの違いは、ゼロG状態でもショックアブソーバーを伸び縮みさせ荷重変位を作り出すことができること。なんなら逆ロールさえできる、それがアクティブ制御ということだ。車両重量もそれなりにある車体を加速させ、先ほどと同じように70km/hで波状路に進入する。すると身構えていたこちらの身体が拍子抜けした。

ふわっとした揺動を保ったまま、それこそ雲に乗せられたかのように5シリーズは波状路を通過していく。セミアクティブが地面から入力を拾って上下動を抑え込むのに対し、アクティブは完全に振動をカットするかのような感触だ。カヤバはアクティブ制御を、将来的に自動運転の実現したモビリティ空間における「振動絶縁技術」と捉えているという。たしかに、このなめらかに地面を捉え続ける動きに必要なのは、周波数振動の振れ幅を巧みに埋める中間領域で、やはりそれが可能なのは、高度な油圧制御をおいて他にない、そう思わせるものがあった。

行き着くところは感性評価

それにしても、自動運転システムがもし実現したとしても、その実行モードが本当に許容できるレベルか、巧いか否か。評価や認可には最終的に運転できる人間の判断が、やはり要ると、カヤバの仕事ぶりを見ていて確信させられた。逆にいえば、運転を知らない/できないと、自動運転の作り込みや評価など、できるはずもない。早晩、安全性も乗り心地も数値化されてAIがディープラーニングの末に判断するのかもしれないが、どうボディを傾けて横G・縦Gその他をコントロールするかは、結局、感性評価に拠るところが大きくなるはずだ。

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