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東北学院大学自動車部の強さの秘密とは?「東北660耐久レース」に参戦し続ける秘訣は先輩・仲間に恵まれているからでした

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • サザンサーキットでの部員の様子
  • 台数が増え続ける東北660耐久レースの学生クラス。ドライバーだけではなく給油や作戦を立てるスタッフも一緒に楽しめるイベントだ
  • 息の合った動きでマシンをピットに戻し、すかさず作業をスタートさせる。耐久ーレースではチームの総合力と団結力も不可欠なのだ
  • ドライバー交代のタイム短縮も勝つためには重要な要素。マシンが停止したら助手席から乗り込み、ベルトの脱着などをサポートする
  • レギュレーションに沿ってエンジンはノーマル。エアクリーナーを剥き出し型に交換して、パイピングに遮熱バンテージを巻いた程度だ
  • 学生クラスは3クラスにも自動的にエントリーされる。最大の激戦区で2022年の最終戦は学生クラス優勝、3クラス準優勝に輝いた
  • 勝ちを狙うには厳しいものの、運転の練習に車種は関係ない。HA24は何度かエンジンがブローを経験し、整備のスキルも身に付いたはず
  • 東北660耐久レースへの初参戦は、2017年12月3日のエビスサーキット西コースだ。当時は東北Kカー耐久レースという名称だった
  • 大学を卒業した石山と菅原は2024年シーズン、HA36で東北660耐久にエントリー。開幕戦ではMT勢を相手に準優勝という好成績を収めた
  • 部車を使ってセッティングの勉強も。東北学院大学の自動車部に限らず、最近は学生クラスのマシントラブルが目に見えて減ってきたのはいいこと
  • 部車としてEG6型ホンダ「シビック」も所有。ポテンシャルは高いが各部の経年劣化は否めず、第一線で活躍する機会は減っていくのかもしれない
  • 整備が終わると即座にコースイン。サザンサーキットはフリー走行での同乗も可能で、先輩らが新入部員を乗せる歓迎イベントも行われている
  • OBたちもそれぞれのマイカーで走行。最後尾のHA23アルトは石山の愛車で、いずれは東北660選手権にも復帰するつもりとのこと
  • 2024年から仲間を牽引するのは部長の塩澤いつきさん(右)と小島武杜さん(左)のふたりだ。今シーズンの活躍にも期待したい!
  • 部車のL700は所有者が何度か代わり、長期に渡って酷使されている。不調のエンジンを載せ替えてようやく本領を発揮できた
  • イベント以外はサザンサーキットで活動。屋外ではあるものの部車を保管でき、すぐテスト走行できるのは最高のシチュエーションだ

シリーズで速さを見せるドライバーも輩出

スポーツランドSUGO(宮城県)、エビスサーキットやリンクサーキット(福島県)にて開催されている、軽自動車だけで争われる人気レースが「東北660」シリーズです。幅広い年齢層に親しまれ、その中には、大学の自動車部として参戦するチームも多いのが特徴です。今回は、長年東北660シリーズに参戦する東北学院大学・体育会自動車部に注目。実力派ドライバー輩出する、名門チームの強さの秘密とは?

酷使したマシンをリフレッシュし速さを取り戻す

合計5つある「東北660」シリーズのなかで唯一、学生クラスを設けている「東北660耐久レース」。エントリーできるのは大学の自動車部に限らず、サークルや同好会(学校の公認や非公認を問わず)、専門学校や異なる学校同士のチームでもOKだ。

東北660耐久レースがスタートした2017年(プレ開催としては2015年に1回)から、フル参戦とはいかずとも毎シーズン欠かさずにエントリーしている学生チームがある。スポーツランドSUGOやかつての舞台だった仙台ハイランドのお膝元、宮城県仙台市を拠点に活動を続ける東北学院大学・体育会自動車部だ。

以前は文系と理系でふたつの自動車部が存在したが、2023年のキャンパス統合によって自動車部もひとつに。学校が仙台市の中心部なので部車は郊外のサザンサーキットに置き、整備や練習をはじめとする日常の活動はそこで行っているという。

東北660耐久レースに参戦する部車はL700型ダイハツ「ミラ」とHA24型スズキ「アルト」だ。L700はとあるプロショップが製作した車両だったが、入手した当初からエンジンの調子があまり思わしくなく、なかなか結果を残せない我慢のレースが続いていた。

そんなとき協力してくれたのが部員が通うショップ「Sリミテッド」で、ピットを借りて試行錯誤しながらエンジンを載せ替えたところ、今までとは別物といっていいパワーとトルクを発揮するマシンに生まれ変わった。換装以降はドライバー陣の成長もあり、好成績を残す。

アルトの走り

東北660耐久レースの学生クラスは車両規則が同一の3クラスにも自動的にエントリーされるが、2022年の最終戦では学生クラスで優勝したうえベテランが集う3クラスでも2位をゲットした。

もう1台のHA24はギヤ比や車重からお世辞にも戦闘力が高いとはいえないが、車両がリーズナブルなので新入部員や下級生らの練習用として使っている。好成績は前述した車両のコンディションが改善されただけではなく、スキルのあるドライバーが部を牽引していることも大きな理由だろう。

実力のある先輩などから刺激を受けて成長

チームを牽引していたのは、最近でいえば2024年度から社会人となり自動車部を巣立っていった、石山祐也と菅原颯馬のふたりが代表格といっていい。石山はマイカーのHA23アルトで数年に渡って東北660選手権にエントリーし続け、2023年シーズンはレンタルのHA36アルトで東北660・HA36カップにスポット参戦した。慣れない車両に加え、トランスミッションも縁がなかった2ペダルのAGSと不利な状況だったのは否めないが、デビューの第2戦で5位に入り、最終戦は3位で見事に表彰台の一角を勝ち取った。

いっぽう菅原は部車のL700で東北660選手権に参戦し、2023年シーズンはシリーズランキングで6位に食い込んだ。開幕戦を欠場したため全戦参加のボーナス(10ポイント)が付与されないにもかかわらず、大混戦で予選を通過することすら難しい3クラスでこのポジションは見事というしかない。

さらに、ほかの大学だが一緒に活動する機会が多く、数年前の3クラスで圧倒的な強さを見せ付けた、石川颯人の影響も決して小さくないと思われる。このように、東北学院大学の自動車部は昔から部員数こそ多いとはいえないものの、部員のほかにサブメンバー的な仲間が少なからずおり、互いに刺激を与え続けてきたのだ。

ちなみに2024年シーズンの東北660耐久レースは石山、菅原、石川の3名と、2023年の東北660選手権・4クラスと東北660・HA36カップの2クラスを制した、猪又真輝を加えた4名がAGSのHA36で3クラスに参戦し開幕戦で準優勝を飾っている。今後もOBの立場で後輩たちをアドバイスするだろうし、彼らのレースを支えた現役部員たちも得るものが多かったはずだ。東北学院大学・体育会自動車部のさらなる成長と活躍に期待したい。

なお部員はいつでも募集中とのことなので、興味がある人はSNSでコンタクトを取るか、サザンサーキットへ遊びに行ってみよう。基本的な活動日は隔週土曜の10時30分からとのことだ。

■SNSアカウント
X:@tgu_ac
Instagram:@tgumotors

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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