一部にSVスペックを盛り込んだレストアとは
このほどRMサザビーズ「Monterey 2024」オークションに出品されたランボルギーニ「ミウラ P400S」は、1969年1月22日にサンタアガタ・ボロネーゼから出荷され、同じボローニャの「オート・エリート」社に納車されたもので、当初はシルバー・メタリックのボディにマスタード・レザーの内装の組み合わせだった。
アメリカにおけるヒストリーは、1970年代半ばにカリフォルニア州ロングビーチのジョージ・コカラスが入手したものまでさかのぼると考えられている。その後、1978年に同じくロングビーチに住むジョセフ・ケーニッヒの手に渡り、翌年にはエキゾチックカー愛好家として知られるオリバー・カットナーに譲渡。1988年にはランディ・サイモンによって購入され、1991年のニューヨーク・オートショーに出展された。
さらに1995年には、このミウラSはカリフォルニア州ウィッティアの著名エンスージアスト、スティーブ・コレッティに譲渡され、すぐに4年にわたるレストアを開始した。
車両に添付されているヒストリーファイルに含まれた作業概要によると、ボディワークとシャシーを剥き出しの金属に戻し、適切かつ慎重に修復。フロントのシャシー補強材、フロント側のショックタワー・ブレースの強化、ラジエーターとフロント・ブレーキローターにより多くの空気を送るためのフレームレールの変更など、後期型P400SVを模した望ましいエンジニアリング的特徴を取り入れたことも記録されている。
すべてのサスペンションコンポーネントは、安全のためにクラックチェックが行われ、カドミウムメッキないしはパウダーコーティングが施された。また、ブレーキもSV仕様にアップグレードされ、改良型のクロスドリルドローター、カーボン/ケブラー製のブレーキパッド、フレキシブル編組のステンレススチール製ブレーキラインが装着された。
エンジンはボブによってリビルトされた!
いっぽうV12エンジンは、元ランボルギーニのエンジニア兼テストドライバー、伝説のボブ・ウォレス自身によってリビルトされ、JAE社製のカスタムピストンとリング、0.5mmのオーバーボア、SV仕様の分割式潤滑システム、ANSAスポーツエキゾーストが採用された。ウォレス氏はまた、リミテッドスリップデフを取り付け、各部のベアリングやブッシュ、トランスミッションのシンクロメッシュもアップデートした。
いっぽう内装は、非常に魅力的なダークグレーのレザー内装と、それを引き立てるカーペット、ヘッドライナー、ステアリングホイールのレザー表皮で修復された。要するにこのレストアは、単に美しいミウラに仕上げるためだけでなく、工場が意図したとおりの速くて丈夫なロードカーを作るために行われたのである。
コレッティ氏は、南カリフォルニアの自宅から「カーウィーク」のためにモントレーまで何度も出かけるなど、愛車ミウラP400Sを8年間愛用し続けた。その後、インディアナ州の著名な「エルクハート・コレクション」のパフォーマンス・カーとして譲り渡されたP400Sは、その後もオーナーのお気に入りの1台として継続的に手入れされ、アメリカ中西部のコンクールに出品されることもあった。
そして2020年、同じRMサザビーズによって「エルクハート・コレクション」がオークションにかけられたとき、故アンガス・ミッチェル氏がこのミウラを手に入れ、彼の50歳の誕生日を祝うにふさわしい喜びをもたらしたのだ。




















































































