メカニズムも完全武装しているものの……
華やかなルックスやゴージャスな側面も強調されるが、やはりこのディフェンダー・スペシャルの本質は、真のクロスカントリーカーのようだ。
「オールドマン エミュー サスペンション」社による2インチ分のリフトアップキットとポリウレタン製ブッシュの採用により、オフロード走行のための最低地上高が確保され、頑丈なステアリングバー、調整可能なパンハードロッド、新しいステアリングラックが、もっとも過酷な地形であっても正確なハンドリングを保証するという。
いっぽう2.2Lのターボディーゼル・エンジンは、中央のサイレンサーを削除することでさらなるパワーとトルクを発揮するとともに、野太いエキゾーストノートを奏でる。
またクラッチは強化され、フライホイールの再研磨、マスターシリンダーとスリーブシリンダーの交換なども施され、シフトレバーのふらつきを抑える「スリックシフト」も特別装着されている。
さらに、フロントバンパーに取り付けられた「テラフィルマ」社製ウインチには、補助キルスイッチと「C-tek」社製トリクルチャージャーが装備され、どんな回収状況や長期保管にも対応できるようになっている。
また、ウインドスクリーン上には50インチの「DLX50c」ライトバー、ボンネットの前には「ストルクス」社製 32インチライトバー、フロントバンパーの下には投光器など、照明系のオプションも最新のものが投入されている。
強気なエスティメートだったが……
これまでのオーナーは1人で、車両には「V5C」ドキュメントと包括的なサービス記録簿が付属している。サービスブックレットには多数の領収書と11個のスタンプが押印されており、現時点における最後のサービス日付は2024年6月2日で、走行距離7万8579マイル(約12万5730km)。いっぽう、最後のMoT車検証は2024年5月1日の発行で、その際の走行距離7万8568マイル(約12万5700km)となっている。
ボナムズ社の営業部門では、今回のオークション出品にあたって「この傑出したディフェンダーは、幸運な次のオーナーのもとで険しいトレイルへの挑戦でも、高速道路のクルージングでも、生涯の旅に同伴する準備が整っている」といういささか大仰なPRフレーズとともに、3万8000ポンド~5万8000ポンド(邦貨換算約730万円〜約1110万円)という、ランドローバーの深淵に触れる機会の少ないわれわれ日本人、ましてクロスカントリーカーの分野に疎い筆者などには計り知れないエスティメート(推定落札価格)を設定した。
ところが2024年9月14日に行われた競売では、会場でもオンラインでも出品サイドの規定した「リザーヴ(最低落札価格)」には到達せず、残念ながら「流札」に終わってしまった。
いかに素晴らしいカスタマイズが施されていようとも、12万km越えのディフェンダーに対してはエスティメートが過大評価だったのか、それとも今回についてはたまさか顧客に恵まれなかったのかは定かではないのだが、それもまたオークションの妙……、ということなのだろう。


















































