標準ボディカラーの中でも珍しい1台
2024年11月1日〜2日にRMサザビーズがイギリス・ロンドンで開催したオークションにおいてホンダ「NSX タイプR」が出品されました。出品車は、ヒストリックカーレースやラリーの常連であり、当時日本に銀行員として駐在していたアンソニー・ギャリエス・プラット氏によって、1125万円を投じて購入されたものでした。
1992年にタイプRが追加
「ニュー・スポーツカー・エクスペリメンタル」の頭文字から、「NSX」とネーミングされた、ホンダのミッドシップ・スポーツカーが発表されたのは1990年のことだった。3LのV型6気筒DOHCエンジン(C30A型)をリアミッドに搭載し、トランスミッションは5速MTと4速ATの選択が可能だった。
最高出力は5速MT仕様が280ps、4速AT仕様は265psという数字だったが、NSXには他にもさまざまな技術的な特長があった。プロダクションモデルとしては世界初の例となった、オールアルミモノコックボディの採用などは、その代表的な例で、それによってNSXはMT仕様で1350kgという軽量性と、驚くほどの高剛性設計を可能にしたのだ。
そしてNSXには1992年、さらにチューニングを進め、数々のレーシングエクイップメントを装備した、新グレードの「タイプR」が追加設定される。Rとは、すなわちレーシングを意味する文字であることは想像に難くないが、搭載エンジンはスタンダードなNSXと同じ3LのV型6気筒DOHCであった。
軽量化に徹したタイプR
しかしながらそのチューニングがさらに進められ、クランクシャフトのバランス調整や、ピストン、コネクティングロッドの重量調整などの、さらなる精度調整によって、最高出力にこそ変化はなかったものの、そのレスポンスは素晴らしく向上した。
タイプRでは軽量化も重要な開発テーマだった。専用装備としては、エクステリアではアルミメッシュのエンジンメンテナンスリッドや発泡ビーズ入り低比重SMC製リアスポイラー、大型テールパイプ、ハーフシェイドのフロント合わせガラス、フロントドアスカート等々が採用されたほか、R用の専用エンブレムも装備されている。前後のタイヤはフロントに205/50ZR15、リアに225/50ZR16を選択。組み合わされるホイールはENKEI製となる。
インテリアにはカーボンとチタンを使用
一方インテリアも、タイプRというスペシャルモデルの魅力に満ちあふれている。カーボン製のメーターパネル内には、イエローのニードルが鮮やかな6連式のメーターがレイアウトされ、ステアリングはMOMO製の革巻き。シートはレカロ製のカーボン・アラミド・コンポジットのフルバケットタイプだ。シフトノブはF1シェイプのチタン製削り出し。スウェード調の内装もこのモデルには良く似合う。サイドシルにはアルミプレートが備わっている。
走りをさらに魅力的なものにする装備としては、通風孔付きのスプラッシュガードや前後の分離加圧式ダンパー、バネレートやブッシュもタイプRの専用セッティングだ。ファイナルギアもさらにローレシオ化され、LSDはプリロード式に、クラッチもさらにショートストロークの設定になった。
ボディ補強のために2本のアルミパイプを補強したことや、アルミドアビーム、さらにはフロントとリアにバンパービームを追加したことにもこだわりの強さが表れている。トラクションコントロールはもちろん装備リストから除かれている。結果タイプRの車重は、エアコン付きでも1250kgという数字を実現するに至ったのだ。






















































































































