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25歳、結婚1年目にして「190E エボII」をローン購入! 29年大切に乗り続けるメルセデスは走行距離たった1000キロのアタリの個体でした

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TEXT: 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)  PHOTO: 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)

  • メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII:1995年に購入。所有して29年になる
  • メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII:生産台数はたったの502台
  • メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII:角度調節リップ付きの大型リアスポイラーはこのモデルを象徴する装備である
  • メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII:マフラーは2本出し
  • メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII:エンジンは、イギリスの名門エンジンメーカー「コスワース」の手によってとことんチューニングされている
  • メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII:レース参戦のホモロゲーション取得のために製造されたモデルだが、上質で落ち着いたメルセデスらしい質感の内装は健在だ
  • メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII:シートは運転席、助手席に真っ赤なスパルコ製のバケットに交換
  • メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションIIとオーナーの郡司智之さん
  • メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII:購入時の総走行距離はたったの1000kmだったという

名作「エボII」を25歳の頃に購入

1984年から1996年まで開催されたツーリングカーレースといえば、ドイツツーリングカー選手権(DTM)でしょう。DTMは量産車をベースとしながら独自のレギュレーションを採用し、年を追うごとにボディもメカニズムもエスカレートを重ねていき、さまざまなメーカーが威信をかけて市販車ベースのレースマシンを開発。そんなレースにおいて、異彩を放ったメルセデス・ベンツ「190E 2.5-16 エボリューションII」を紹介します。

圧倒的な強さを見せつけた「エボII」

メルセデス・ベンツ「190E 2.5-16 エボリューションII」は「エボII」の名で親しまれ、DTMでは1990年の第7戦のニュルブルクリンク戦から参戦して圧倒的な強さを見せつけた。AMGワークス本気のマシンは、当時のグループAレーシングカーに許されたスポーツエボリューション規定を積極的に活用し、BMW「M3」、フォード「RS」を力でねじ伏せるべく開発したモデルであった。

速さの均等化を図るためボディワークはエアロダイナミクスを追求し、フロントは低く突き出したスプリッターの造形がとくに印象的。サイドはティアドロップ形状のオーバーフェンダーが独特のフォルムを作り出していた。そんな圧倒的な速さを誇った190E 2.5-16 エボリューションIIに惚れ込んだのが郡司智之さんだ。

郡司さんは1995年にこの190E 2.5-16 エボリューションIIをヤナセで中古購入。当時25歳だった郡司さんは、購入する気もなくカーセンサーに掲載されていた個体を見たくてお店を訪れた。そこからお店のスタッフといろいろと話しているうちに、もし買えるようなら購入したいという気持ちに変わって値引き交渉。

若かったのでお金がないながらも、ローンを組んで買ってしまったという。ちなみに、この時の郡司さんは結婚して1年目。何かとお金がかかる時期だったが、広い心を持つ奥さんの理解もあって無事に購入する願いが叶った。だからこそ、所有して29年になるが、今でも大切に乗り続けているという。

購入時の総走行距離はたったの1000キロ

購入してからわかったことだが、このクルマの前所有者は大手企業で、どうやら麻布自動車との付き合いで購入した車体だったらしい。そのまま会社の駐車場で保管されていた車体だったので、走行距離も短く、郡司さんが購入した時はたった1000kmしか走っていなかったそうだ。そういう意味でもアタリの中古車だったと話してくれた。

基本的にオリジナル状態をキープしているが、シートは運転席と助手席を真っ赤なスパルコ製のバケットに交換。ステアリングはパーソナルのバックスキンに交換してレーシーなコクピットを作る。

ちなみにこの190E 2.5-16 エボリューションIIは希少車としても有名。その生産台数はたったの502台である。そのため、すでにコレクターズアイテムの領域に入っていて、現在の価格は4000万とも5000万ともいわれている。当時はこんな金額になるとは考えていなかったが、それが現実となると、本当に若い頃に無理して購入して良かったと感じるに違いない。奥さんにも感謝である。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 1969年生まれ。某出版社でドレスアップ誌、チューニング誌の編集長を歴任。2006年に自動車・バイク専門の編集プロダクション株式会社バーニーズを設立。自動車専門誌をはじめ、チューニング、カスタム系、旧車、キャンピングカー、アウトドアに関する媒体を新たに立ち上げる。これまでの愛車は、セリカXX、スカイライン、AE86、AE92、シビック、スープラ、シルビア、180SX、ロードスター、RX-7、BMW850iなどなど。他にもセダン系、バン系、ミニバン系など数多くのクルマを乗り継いでいる。
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