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ツライチでクルマをカッコよく見せる「ホイールスペーサー」はいいことばかりなのか?…装着で生じるデメリットを解説します

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: AMW/Photo AC

  • ツライチはスタイリッシュである種の迫力を演出することができる
  • トレッドを広くするとグリップは低くなるデメリットもある
  • 品質の悪いスペーサーを入れると、走行中にスペーサーが割れる危険もあるので注意が必要だ
  • ツライチを実現するには、ホイールスペーサーをかますのが手っ取り早い
  • スペーサーを入れてトレッドを増やすとハンドリングにも大きく影響が出てくる
  • ツライチはスタイリッシュである種の迫力を演出することができる

じつはメリットばかりではない

クルマをカッコよく見せるには、いくつかのセオリーがあります。その三大要素が、車高を下げる、ホイールのワイド化、タイヤを大きく見せることです。いわゆるドレスアップの第一歩は、ローダウン(車体を低く)とインチアップ(タイヤを大きく)ですが、残るワイド化は、いわゆる「ツライチ」となります。

トレッドを広くするとグリップは低くなる

ホイールが車両外側に張り出した「ツライチ」を実現するには、ホイールスペーサーをかますのが手っ取り早い。タイヤがボディからはみ出してしまうと、保安基準違反になり、公道を走れなくなってしまうが、そのギリギリ手前=ツライチまで出すことで、視覚的な「すわり」がよくなり、スタイリッシュである種の迫力を演出することができる。これがホイールスペーサーを入れる第1のメリットだ。

第2のメリットは……特になし。トレッドが広がると走行安定性が向上するともいわれているが、轍(わだち)にハンドルをとられやすくなり、乗り心地も悪くなる。ほかにも、スペーサーを挟んだ分だけ、ハブボルトの長さが食われてしまうため、ホイールナットの噛み込み量が少なくなり、ナットが緩みやすくなり、ネジ山をなめるリスクが増えてしまう。

さらに品質の悪いスペーサーを入れると、走行中にスペーサーが割れる危険もある。何より、スペーサーを入れてトレッドを増やすとハンドリングにも大きく影響が出てくるのだ。他の条件が同じだとすれば、トレッドを広くするとグリップは低くなり、コーナリングパワーも落ちてステアリング操作に対する反応は鈍くなる。具体的には、フロントのトレッドを広げると、アンダーステア傾向が強くなる。

逆にトレッドを広げると限界域のコントロール性がマイルドになるため、リアのトレッドを広げると、テールが流れやすくなる代わりに、そのドリフトコントロールは優しくなる。反対にトレッドを狭めると、コーナリングフォース、コーナリングパワーが増して、よりクイックなハンドリングになる。

これらは簡単にトレッドを調整できる、レーシングカートの経験者なら体感しているセッティングの基本。そういう意味で、アンダーステア気味のクルマにスペーサーを入れてワイド化するのは、アンダーステアを助長するだけなので勧められない。

装着が簡単なだけに試す価値はある

まとめると、ホイールスペーサーは、安価にオフセット量が調節できて、装着できるホイールの選択の幅が広がり、ルックス面では魅力があるが、それと引き換えにスポイルされる面も少なくないので、軽い気持ちで手を出さないほうがいいともいえる。いっぽうで装着が簡単なだけに取り外しも容易。とりあえず試し、違和感があったりメリットが感じられない場合は、すぐに外せばいい。

自分のクルマなので、保安基準の範囲内ならどうカスタマイズしても自由だが、トレッドなどは自動車メーカーがかなり厳密に考えて設計している部分なので、いじって不具合があればすぐに元に戻す勇気も忘れずに(気にならない人、慣れたという人、見た目重視の人は、そのままでもOK!)。

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  • 藤田竜太(FUJITA Ryuta)
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  • モータリング ライター。現在の愛車:日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)。物心が付いたときからクルマ好き。小・中学生時代はラジコンに夢中になり、大学3年生から自動車専門誌の編集部に出入りして、そのまま編集部に就職。20代半ばで、編集部を“卒業”し、モータリング ライターとして独立。90年代は積極的にレースに参戦し、入賞経験多数。特技は、少林寺拳法。
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