ひと昔前は安価だったはずのアメリカ仕様E36系M3が……!
このほどRMサザビーズ「ARIZONA 2025」オークションに出品されたBMW M3は、このモデルのイメージカラーでもある「ダカール・イエロー」の1995年式。過去30年近くにわたり、たったひとつの家族によって所有されてきた、まさにタイムカプセルともいえる個体という。
前席のシートヒーター、電動スライディングルーフ、オンボードコンピューター、5速マニュアルトランスミッションなど、数々の魅力的なオプションが装備されたこのM3は、インテリアのウッドトリム、エクステンデッドレザー、センターアームレストつき電動スポーツシート、クルーズコントロール、クローム仕上げのインナードアハンドルなどによって構成される「ラグジュアリーパッケージ」を追加することで、E36世代の大人っぽさを完全に体現している。
エクステリアでは、フロントバンパースポイラーに設けられたロワーインテークのメッシュインサートに代わって、2本のバーを備えた専用パーツに変更されたほか、じつはサイドスカートの造形も若干ながらシンプルなものへと変更。そのかたわら17インチの「M コントゥアー」キャストホイールが標準装備されているのは、当時の欧州/日本向けM3と変わらない。
この個体は、過去30年間にほとんど走行に供されることがなかったため、オークション公式カタログ作成時の走行距離は、わずか4832マイル(約7730km)。その結果、このM3クーペは驚くほどに保存状態がよく、まさにコレクター垂涎の1台となり得ている。
車両とともに保管されている2021年の請求書には、前後輪ともにブレーキパッドとローターが新調され、4本の新品タイヤが装着されていることが確認できる。また2023年5月には、クラッチのスリーブシリンダーも交換されている。
このオークション出品に際して、RMサザビーズ北米本社は
「E36系M3は、歴代M3の神聖な系譜を受け継ぐ唯一無二のモデルとして、BMWコミュニティからの尊敬を集めている。走行距離も少なく、装備も充実しているこの個体は、次のオーナーに多くの楽しみをもたらすに違いない」
というPRフレーズを添えて、5万ドル~7万ドル(邦貨換算約785万円〜約1099万円)のエスティメート(推定落札価格)を設定。
そして2025年1月25日に開催された競売では、エスティメート上限を大幅に上回る8万9600ドル。つまり現在のレートの日本円に換算すれば、約1390万円で壇上の競売人のハンマーが鳴らされることになったのだ。
この落札価格は、純正「M」社製286psフルパワー直6エンジンを搭載するヨーロッパ仕様のE36系M3にも遜色のないもの。今回の出品車両がイレギュラー的な高条件を備えていたからなのかもしれないが、国際マーケットにおけるM3の価格高騰の影響もまた、今回の高価格の理由に含んでおくべきと思われるのだ。




















































































