日産の歴史を築いた名車、510ブルーバード
旧車好きな20歳の女性レーシングドライバー佐々木藍咲(ささき らみ)選手に、さまざまな旧車に試乗してもらって今どきの若者目線の素直なインプレをお届けする企画。今回はハコスカ専門店「VICTORY50の協力のもと、1968年式の日産3代目510型「ブルーバード」に乗ってみました。
新車で購入した女性が半世紀以上ずっと乗ってきた美麗なSSS
2004年生まれの佐々木藍咲さんは、2023年に女性だけのモータースポーツカテゴリー「KYOJO CUP」でレースデビューした女性ドライバー。旧車好きと公言する彼女はプライベートで旧車イベントに参加した様子をSNSに投稿したり、KYOJO CUPのパドックエリアで開催されているイベントのひとつである旧車同乗試乗会にコッソリ(?)参加したりしているほどだ。
今回は東京のハコスカ専門店「VICTORY50」の協力により、1968年式の日産3代目510型「ブルーバード SSS」に試乗する機会を得ることができた。510ブルーバードといえば、新時代のファミリーカーとして日産の自動車メーカーとしての礎を確立した名作であると同時に、サファリラリーで大活躍して1970年に総合優勝。さらに1969年の石原裕次郎主演映画『栄光への5000キロ』でも、510ブルーバードがサファリラリーに挑む姿が描かれたことで、モータースポーツにおける日産の存在感を広く知らしめたクルマだ。
基本的にフルノーマルだというこの個体は、新車で購入した女性が半世紀以上にわたりワンオーナーで所有してきたものとのこと。当時女性でSSS(スーパースポーツセダン)グレードを選ぶのも珍しかったのではないだろうか。
クリームイエローのボディがかわいい!
その状態のよさは佐々木さんも感激している様子であった。そして気になったのはボディカラーのようだ。
「すごい綺麗な状態ですね! これをワンオーナーでキープしているのは素晴らしいです。あとこのボディカラーも素敵だなぁと思います。少しだけ黄色味がある感じが、なんだかカワイイですね」
こちらの個体は一度レストアされているが、その際も当初からの純正カラーであったクリームイエローにこだわってペイントされたそうだ。SSSというグレードチョイスは勇ましいと思わせるが、ボディカラーのチョイスは女性オーナーらしさを感じるポイントだ。
「AMのみ」の純正ラジオにカルチャーショック
ドアを開けて運転席に座り込んでみると、この連載で佐々木さんが直面しがちな問題を今回も感じたようであった。
「このクルマもステアリングが大きい! デザインは悪くないですし、メーターが見やすくていいですが、ここまでステアリングが大きいと足が当たって操作がしづらいかも……」
パワステがなかった時代のモデルはステアリングが大きいことが多い。169cmと長身の佐々木さんが旧車に乗るときに直面する問題だったりもする。
なお、こちらのブルーバードには純正のラジオが装着されている。VICTORY50の内田さんから「ラジオなんて今どきの子は聞かないでしょ!」と言われたが佐々木さんは「よく聞きますよ!」と答えていた。しかしブルーバードに装着された純正ラジオがAMのみ対応と聞いて、ちょっと驚いていた様子であった。