ウェットタイヤからのスタート
午後12時のレーススタートを間近に控え、スターティンググリッドに並ぶ頃には雨は止んだものの体感気温は更に低い。コース上を徒歩で歩くにも滑りやすいコンディションとあり『TOYO TIRES with Ring Racing』から参戦する全てのマシンはウェットタイヤをチョイスした。
ウェットレースはネガティブに捉えられがちだが、ニュルブルクリンク24時間レースを迎える前のNLSではある意味グッドタイミング。気まぐれな“ニュルウェザー”なだけに、本番のニュルブルクリンク24時間レース前に実戦でウェットタイヤを装着出来るのは、データ収集目的には絶好の機会でもあるのだ。
SP9クラスを先頭に3つに分かれたスタートグループが、開幕戦を待ちわびた大勢のファンの見守る前で、誇らしくゆっくりとフォーメーションラップを経て、いよいよ戦いの火蓋が切られた。
スタートドライバーらが発する無線情報によると路面は乾き始めているとあり、万全を期して2ラップをウェットタイヤで走行後、スリックタイヤに交換。数多くのチームが同様にタイヤチェンジの為にピットインをしたために、レース開始早々非常に慌ただしい展開となった。
レース中盤からは徐々に天候が回復して時折柔らかな日差しがさし込み気温は14℃前後まで上昇するものの、冷たい風と流れるような雲の動きによりピットの中の寒さが身に染みる。特に昨シーズンとは異なる路面ミューが現れる箇所には細心の注意を払い、チーム内で共有し、情報の収集に努めながら慎重に周回を重ねる。
3台とも無事に初戦を走りきる
昨シーズンにトヨタGazooレーシングのスープラGT4でNLSを既に経験している山中/小高コンビだが、ニュルブルクリンクでコンビを組むのも地元ドイツのチームに加入するのも初めての事で、彼らにとっては新天地での武者修行のはじまりの日で、各セクションを担うチームクルーらと積極的にコミュニケーションを図る事を心掛けていた姿が非常に印象的だった。一方で、ベテラントリオの#347のポルシェを駆る3名のドライバーは、既に昨年のNLS後半3戦へ試験的に導入されていたとはいえ、様々な条件が昨年とは異なるだけに、TOYO TIRESのチーフエンジニアを筆頭に開発担当者らとタイヤのコンディションを綿密に確認しながら周回を重ねた。
やがて午後4時、長くもあり短くもあった4時間耐久レースにチェッカーフラッグが振られると、チーム全員がピットウォールへ駆け寄り今季初戦の無事完走を大きな拍手と歓声で迎えた。まずは今季の第一目標でもある、誰ひとりとして他車とクラッシュやコースアウトをする事はなく無事に全車完走。予選よりも大幅に総合順位を上げてのゴールに、確かな感触を得ての今季初戦に胸を撫で下ろした。また、新アスファルトに改修されたニュルブルクリンクの路面と車両のデータを収集は、何よりの大きな収穫だったに違いない。第2戦、そしてニュルブルクリンク24時間レースへ向けて大いに期待できそうだ。
●決勝結果 全出走台数114台、完走88台、リタイア・失格26台
【SP-PROクラス】総合18位/クラス1位
#347:ポルシェ991 GT3 Cup
【SP8Tクラス】総合29位/クラス2位
#160:トヨタ・スープラGT4 Evo
【SP10 AMクラス】総合30位/クラス3位
#170:トヨタ・スープラGT4 Evo











































