510型の後継として登場した“もうひとつのブルーバード”
旧車ブームによって、よりレアなモデルが脚光を浴びるようになっています。今回紹介する日産「ダットサン・ブルーバードU」は、その希少性が注目を集める1台です。オーナーは、AMWにも何度か登場している愛媛県在住の旧車好きな一族として知られる瀬谷一家の一員、瀬尾万里枝さん。所有しているのは、フルノーマルの極上といえる610型「ダットサン・ブルーバードU」です。
今や貴重な旧車を普段乗りできる仕様に
日産610型「ダットサン・ブルーバードU」は、爆発的にヒットした510型「ブルーバード」の後継モデルとして1971年に登場した。ボディタイプは、510型時代に存在した2ドアセダンがカタログから消え、2ドアハードトップ、4ドアセダン、5ドアステーションワゴン/バンの4種類を設定。より大きく、グラマラスなフォルムになったボディが与えられ、セダンとハードトップには特徴的なサイドウインドウが採用された。その流れるような美しいフォルムから“Jライン”と呼ばれるようになった。
また、ブルーバードUのワゴン/バンについては、主に働くクルマとして荷物を積んでも良し、走っても良しの性能を発揮。快適性を高めた610型では、サスペンションはフロントがストラット式、リアはセミトレーリングアーム・コイル式を採用。ホイールベースが長くなったことで乗り心地がマイルドになったと大好評で、ファミリーカーとしても受け入れられ当時は大活躍したという記録が残っている。
今回紹介するモデルは、まさにそんな使われ方をされていた1台だった。令和の今となっては、ほぼ見る機会がなくなった610型ブルーバードUバンを、旧車大好きな瀬尾一家の瀬尾万里枝さんは、オリジナル状態をキープしたままコンディション良く普段乗りできるクルマとして仕上げていた。
内装は昭和ノスタルジー全開
基本的に装着しているパーツはすべて純正品。ボディはもちろん、グリル、ミラー、ホイールカバーまでもがオリジナル純正パーツのままで、その姿はまるでカタログから抜け出たような雰囲気。さりげなく純正オプションの泥よけを取り付けているのもお洒落で、当時感を演出するという意味では大いにありといえるだろう。
また、内装についてもフルノーマルの状態なのだが、目に飛び込んでくるのは本革巻きステアリングカバーと毛糸で編まれたシフトカバーの2点。昭和世代のおじさんが幼少期のころ、何となく見覚えがある懐かしいインテリアの面影が、これらのレトロアイテムを見ることで蘇る。そして、シートにくくり付けられたゴザのマットも「そういえばあった!」と思わせてくれるアイテムだ。
まるでタイムスリップしたかのように、当時の仕様のままの瀬尾万里枝さんの愛車。いまや部品も手に入らない希少車なだけに今後も純正状態のまま、いかにサビを発生させずにコンディションをキープしていくかが課題であり、テーマだという。このクルマはお気に入りなので、現状のままずっと乗り続けていきたいと話す。
610型ブルーバードといえば“サメブル”でお馴染みのモデルだが、それよりも前に登場したブルーバードUは、ダットサンを代表する旧車として、味わい深い車種であるといえる。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)