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ランチア「ストラトス ゼロ」に再会!斬新さやインパクトはとても55年前にデザインされたクルマとは思えません

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)

ランチア「フルヴィア」をベースに開発

そして、ストラトス ゼロはカロッツェリア・ベルトーネの作品であるが、ジウジアーロ氏の作品ではなく、何かと比較される、マルチェロ・ガンディーニ氏の作品である。このふたり、どちらも甲乙つけがたい秀作を残していることからか、時には論争の的にもなる。

同じイベントに方やマエストロご本人と一連の秀作、此方ガンディーニの出世作ともいえるストラトス ゼロが並べられたのは、じつに興味深かった。会場を闊歩していたマエストロは、果たしてストラトス ゼロに足を止めたのであろうか?

そんなストラトス ゼロの初登場は前述した通り1970年のトリノショーであった。ベースとなっているのは、ランチア「フルヴィア」。ベルトーネはこのストラトスをランチアに売り込むべく、わざわざ中古のフルヴィアを購入し、そこからV4エンジンをはじめとしたメカニカルコンポーネンツを移植して、ストラトス ゼロを完成させた。

今回CCCJブースに展示された時点で、そのカラーリングはブラウンメタリックで、元々この色でトリノに出展された。その後、シルバーに塗り替えられ、そして再度現在の色に塗り替えられた。筆者はカラーリングがシルバーの時代に、このクルマのコックピットに座ったことがある。フロントウインドウを開くと、ステアリングコラムが立ち上がり、シートに座るのだが、コラムを戻すと同時にウインドウも降りてくる。それがかなり急激に降りるため、下手をすると頭をぶつけるというのが、会場で乗った人たちの意見だった。筆者が座ったとき、ステアリングコラムとウインドウを連携するシステムがカットされていたようで、コラムを戻してもウインドウは降りてこなかった。

また、フロントの黒い部分に足を載せて乗り降りするとあるようだが、筆者はフロントホイールアーチの前端をまたいで乗った。いずれにしても極めて独特で、フロントにメータークラスターを構築する余地がないので、メーター類はサイドウインドウ前方に置かれている。そのサイドウインドウもスライド式に開く。

この個体はベルトーネが保存していたが2014年に倒産。現在の海外のオーナーは比較的頻繁に各地のイベントにこのクルマを出しているようだが、さすがに後方視界が悪いからか、後付けのリアビューミラーをウインドウ上部に付けているのが印象的だった。

筆者にとってはほぼ40年ぶりの再会(このクルマとの)であったが、今から55年も前にデザインされたクルマとはとても思えない、斬新さやインパクトを持つデザインであることは間違いない。

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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