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フェラーリ「365 GTB/4 デイトナ」ポップアップライトの後期型が約7270万円で落札!

フェラーリ「365 GTB/4 デイトナ」ポップアップライトの後期型が約7270万円で落札!

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Bonhams

ポップアップ式ライトの後期型でも7000万円オーバー

このほどボナムズ「THE MIAMI AUCTION 2025」オークションに出品されたフェラーリ 365GTB/4デイトナ ベルリネッタは、1973年9月20日に完成したシャシーナンバー#16865。「ネロ(黒)20-B-50」のボディペイントに、赤いシートインサートがアクセントとなる有名な「デイトナパターン」のネロ本革レザーインテリアと、魅力的なカラースキームでマラネッロ工場からラインオフとなった。また、エアコンにパワーウインドウ、クロモドラ社製アロイホイールがオプションとして当初から装着されている。

北米西海岸向けとして製作されたこの個体は、まずはネバダ州リノにある、かの有名なコレクター、ビル・ハーラーが経営する当時のフェラーリ正規代理店「モダン・クラシック・モーターズ(Modern Classic Motors)」社が輸入を担当。さらに1973年12月24日、オレゴン州ポートランドの有名ディーラー「ロン・トンキン・グランツーリスモ(Ron Tonkin Gran Turismo)」社を介して初代オーナーに引き渡された。

シャシーNo.#16865は1975年から1980年まで、カリフォルニア州カーソンのロン・キナード・ファリスのガレージに留まったのち、オレゴン州では「MHU 857」のプレートで登録。さらに1980年代後半までに南下し、テキサス州ポートアランサスの整形外科医、エルヴェ・ジェンティルのコレクションに加わった。

ほかにも数多くのフェラーリを所有するコレクターであったDr.ジェンティルは、このデイトナを長年に渡って所有し続け、現在でも彼の家族のもとで大切に保管されている。ただ現在に至る長期所有期間中、ほとんど走らせる機会がなかったため、非常に保存状態がよく、基本的に手を加えられていない個体とアピールされていた。

オークション開催前に重整備済み

さらにオークション出品に先立つ2025年3月、アリゾナ州の「エグゼクティヴ・モーターカーズ(Exclusive Motorcars)」社によって大規模な点検整備を実施。ウェーバー社製キャブレターのリビルトとチューニング、燃料システムの改修、新品バッテリーの装着などが行われた。そしてこの作業が完了した時点でロードテストを行い、素晴らしいドライビングカーであることが確認された。

このデイトナの落札者には、フェラーリ研究の大家マルセル・マッシーニ氏のレポートと「フェラーリ・クラシケ」のヘリテージ証明書、ジャッキつき純正ツールロール。そして最近のサービス記録が添付されたドキュメント類も引き渡されることになっていた。

新オーナーの希望と準備次第では「コッパーステート1000(Copperstate 1000)」や「ゴーイング・トゥ・ザ・サン(Going to the Sun)」、「テキサス1000(Texas 1000)」など、近年のアメリカで人気の高いイベントに参加するにも理想的な選択肢となるだろう。

ボナムズオークション社では今回のオークション出品に際して

「365GTB/4デイトナがあなたの“欲しいものリスト”に入っているなら、シャシーNo.#16865は精査に値します。また、修復歴のないデイトナは昨今ますます少なくなっており、これはとくに魅力的な1台を手に入れる貴重な機会となるでしょう」

などと高らかにアピールするとともに、37万5000ドル~45万ドル(邦貨換算約5475万円〜6570万円)という、この時期のデイトナとしては自信ありげなエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

そしてマイアミGPコースの敷地内で行われた競売では、エスティメート上限をやすやすと突破する49万8400ドル。すなわち、現在のレートで日本円に換算すれば約7270万円で競売人のハンマーが鳴らされることになったのだ。

この落札価格は、同じデイトナでもマーケットでの人気がより高い前期モデル、通称「プレクシグラス」の相場感にも近いもの。ポップアップ式ヘッドライトの後期モデルとしてはなかなかの高評価は、現在のコンディションとヒストリーが買い手にとっても魅力的なものと映った証といえるだろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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