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日産初代「セドリックバン」は奇跡のシングルナンバー! 1.9Lエンジンは現代でも十分な力強さ

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TEXT: 長尾 循(NAGAO Jun)  PHOTO: 長尾 循(NAGAO Jun)

  • 日産 初代 セドリックバン:グリーン系の渋いツートーンカラーは上々のコンディション
  • 日産 初代 セドリックバン:ボディ各所はアメリカ車から大きな影響を受けたデザイン
  • 日産 初代 セドリックバン:テールゲートのウインドウはモーターで上下するパワーウィンドウが奢られている
  • 日産 初代 セドリックバン:コーナーポールは初代セドリック用
  • 日産 初代 セドリックバン:セドリック 1900のロゴが光る
  • 日産 初代 セドリックバン:最大積載量は500kg
  • 日産 初代 セドリックバン:4気筒1.9Lエンジンを搭載する
  • 日産 初代 セドリックバン:インテリアも良好な状態を保つ。コラムシフトだ
  • 日産 初代 セドリックバン:シンプルなデザインのドアトリム
  • 日産 初代 セドリックバン:第26回高輪交通安全フェア 品川クラシックカーレビューイン港南に参加
  • 日産 初代 セドリックバン:ボディ各所のデザインは、アメリカ車から大きな影響を受けている
  • 1964年式の日産 初代 VP31型 セドリックバンとオーナーの塚本哲也さん

港南に奇跡の初代セドリックバンが登場

今ではほとんど見ることができない、日産初代「セドリックバン」。1960年代の商用車ながら、パワーウインドウや1.9Lエンジンなど豪華な装備を備えたクルマが、第26回高輪交通安全フェア 品川クラシックカーレビューイン港南の会場に姿を現しました。レアなシングルナンバーを掲げ、当時の面影を色濃く残す働くクルマの全貌に迫ります。

上級モデルに商用車が存在するのが普通だった

かつての自動車は、ひとつの基幹モデルでセダンにワゴン、さらにはライトバンにピックアップまで多様な派生モデルが作られることが多かった。たとえが古くて恐縮だが、あのT型フォードなどはセダンからフェートン、クーペ、2シーターのロードスターからピックアップ、さらにはバスまで、あらゆるボディが架装された。

と、そこまで時代を遡らなくても昭和30年代の日本でもまだそんな感じ。乗用車もまだラダーフレーム構造が主流だった時代だから、上に載せるボディの形状も自由度が高かった。それゆえ日産「セドリック」「グロリア」やトヨタ「クラウン」といった上級車種でも、そのラインアップに商用車が用意されるのが普通だった。

2025年4月6日にJR品川駅港南口ふれあい広場で開催された第26回高輪交通安全フェア 品川クラシックカーレビューイン港南の会場で目に留まったのは、日産初代「セドリックバン」。1960年から1965年にかけて生産された初代セドリックだが、こちらはヘッドライトが横4灯になったマイナーチェンジ後の後期モデル。

現在では初代セドリック自体目にする機会も少ないが、さらにその商用車のバンともなればなおのこと。仕事で酷使されることの多い商用車は、メジャーなスポーツカーやセダンなどに比べるとどうしても、趣味のヒストリックカーとして現存する例は少ない。

奇跡的に残るシングルナンバーを掲げる

そういった事情を踏まえると、こちらのセドリックバンは奇跡的な1台といえるだろう。日産初の6人乗りミドルクラスセダンとして1960年にデビューした初代セドリックは、当初からそのバリエーションにワゴンやバンも用意していた。1962年に大規模なマイナーチェンジが行われ、ヘッドライトがそれまでの縦4灯から横4灯となり、フロントグリルの印象を大きく変えた。会場に展示された後期型のバンのナンバーは「千4」という、貴重なシングルナンバーを維持している。

「手に入れたのは14〜15年くらい前ですかね。形式名でいうとVP31型で1964年式です」

と教えてくれたのはオーナーの塚本哲也さん。2023年の暮れにボディを中心に綺麗に仕上げたとのことで、グリーン系の渋いツートーンカラーも上々のコンディションだ。とはいえ、ナンバープレートがまったくヤレていなので尋ねたところ、

「正規の手続きを踏めば、ナンバープレートは同じ番号の新品を付けられるんですよ。ボディを綺麗にした際、それに合わせてナンバーも綺麗になったらいいなと思いまして」

とのこと。

1.9Lエンジンは現代でも十分な力強さ

自家用車がまだ少なかった当時、バンやワゴンは平日は仕事、休日は家族のドライブといった”貨客両用車”としての用途も多かった。このセドリックも日産の上位モデルだけに、4ナンバーのライトバンといっても豪華で華やかな印象。テールゲートのウインドウはモーターで上下するパワーウィンドウが奢られている。最高出力88psを発生するといわれた4気筒1.9Lエンジンのパワーも、現代の路上で過不足ない走りを見せてくれるという。

「じつはバイク関係の仕事をしていて、その用事でお邪魔したお宅でたまたまこの個体に遭遇したんです」

という塚本さん。もともとこの世代のセドリックは好きだったということもあり、貴重なシングルナンバーを維持したまま塚本さんの手元にやってきた貴重なエピソードを伺うことができた。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 長尾 循(NAGAO Jun)
  • 1962年生まれ。デザイン専門学校を卒業後、エディトリアル・デザイナーとしてバブル景気前夜の雑誌業界に潜り込む。その後クルマの模型専門誌、自動車趣味誌の編集長を経て2022年に定年退職。現在はフリーランスの編集者&ライター、さらには趣味が高じて模型誌の作例制作なども手掛ける。かつて所有していたクラシック・ミニや二輪は全て手放したが、1985年に個人売買で手に入れた中古のケーターハム・スーパーセブンだけは、40年近く経った今でも乗り続けている。
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