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天才デザイナー「ジウジアーロ」が手掛けた!いま見てもカッコいいクルマ10選

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)

いすゞ アッソ ディ フィオーリ

1979年にデビューしたいすゞ アッソ ディ フィオーリは、まだ乗用車の生産を手がけていたいすゞがジウジアーロ氏にスタイリングを依頼した2+2クーペ。ジュジャーロ氏が率いるイタルデザインは、1970年代初頭からアウディ80のランニング・コンポーネンツを使用したAsso di Picche(スペードのエース)、BMW 320をベース車としたAsso di Quadori(ダイヤのエース)という量産車につながるコンセプトカーのAssoシリーズを生み出してきたが、その集大成となったのがAsso di Fiori(クラブのエース/いすゞ ピアッツァ)であった。

ウェッジシェイプが基調となる2ドア・ファストバックスタイルのプロポーションは余計な装飾を排したクリーンなもので、現代の視点で見ても新鮮だ。インテリアのデザインも時代を先んじたもので、デジタルメーターやサテライトスイッチを採用。ヨーロッパ車よりも美しい日本車の最右翼だといえる。

BMW M1

1978年にデビューしたBMW M1は、ドイツ・ブランドのスポーツカーではあったが、その内容はバイエルンとイタリアの混成チームで仕上げたクルマであった。もともとはレーシングカーとして企画され、ミッドエンジン開発のノウハウを持たなかったBMWが、経営難に陥っていたランボルギーニを救済するかたちでプロジェクトがスタート。ジャンパオロ・ダラーラ氏が設計責任者として加わり、デザインはジュジャーロ氏が担当するという豪華な布陣となった。イタリアン・スーパーカーとは少し異なる雰囲気だったが、無機質なジャーマン・デザインだけに終始しない清潔感溢れる造形は、いま見ても見事のひと言。本来生産を受け持つはずだったランボルギーニがプロジェクトの途中で離脱したので、ボディの生産をジュジャーロ氏が率いるイタルデザインが行った。

フォルクスワーゲン ゴルフ

1974年にデビューしたフォルクスワーゲン ゴルフは、小型実用車の新デザインを確立し、マイルストーンとなった1台だ。直線基調のスタイリングは、その後、多くのフォロワーを生むことになった。ウェストラインが低く、グリーンハウスが広いが、それでいて安定感に富んでいるのは、まさしくジュジャーロ・マジックといえる。ゴルフは初代誕生から50年以上が経過し、現行モデルが8.5世代となっているが、基本フォルムを変えることなく、いまでも世界各国で愛され続けている。ゴルフならではの2ボックス・スタイルおよびCピラーの造形が現代にまで長く受け継がれてきたことは注目に値する。いつの時代にも実用性と普遍的なフォルムが両立しているゴルフのスタイリングは、クルマのデザイン史を語る上で欠かすことができない傑作だ。

マセラティ メラクSS

1972年にデビューしたマセラティ メラクSSは、ミッドエンジン・スーパーカー市場に参戦したマセラティの意欲作。フロントエンジン時代の傑作GTであるギブリをデザインしたのがジュジャーロ氏だったこともあり、メラクも依頼された。V8エンジンのボーラとV6エンジンのメラクは同じデザイン・テーマだったが、メラクはルーフの後端からリアエンドにかけて斜めのピラーがあり、一見するとファストバックのように見えた。クーリング性能を考え、エンジンフードを露出させたのだ。同時期に登場したカウンタックやBBシリーズが新しさを前面に打ち出していたのに対し、メラク/ボーラはクラシカルだったが、それは名門メーカーのスポーツカーをジュジャーロ氏が実用性を考慮しながらデザインしたからであろう。

アルファ ロメオ ジュリア スプリントGT

1963年にデビューしたアルファ ロメオ ジュリア スプリントGTは、新世代の中型クーペで、若きジュジャーロ氏の名声を飛躍的に高めた出世作。このクルマのスタイリングを仕上げたのは徴兵中のイタリア軍キャンプで、上官の許可を得て、自由時間をベルトーネの仕事に充てていたのだという。顔つきを“寄り目”にしたのは、当時常識的だったヘッドライトから始まる峰をフロントエンドの表情の起点にしたくなかったからだ。このエピソードからも、時代に対して常に斬新で、なおかつ美しく機能的な造形を求める姿勢を、ジウジアーロが20代前半という若い頃から持ち続けていることを窺い知れる。

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  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)
  • 本業はフリーランスのライター兼エディター。1998年に買ったアルファ ロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を現在も愛用しており、すでに総走行距離が30万8000kmオーバーとなっている(2022年4月中旬現在)。クラシックカーラリーに水色号で参戦取材することがライフワーク(?)となっており、群馬をホームタウンとして開催されている「スプレンドーレ」では、柴犬を“ワン・コドライバー”、秋田犬を総監督として挑んでいる。全国各地に水色号でお邪魔しているので、これからも走行距離が順調に伸びる予定。
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