往年のTSサニーを彷彿とさせる1台
往年のレースシーンを彷彿とさせる懐かしいスタイルに、現代のチューニング技術を惜しみなく投入した1台を紹介します。当時のカッコよさはそのままに、ストリートを走れる日産B310型「サニークーペ」とは?
コンセプトは「現代的に解釈したTSサニー」
2025年2月22日〜23日に横浜で行われたNostalgic 2days(ノスタルジック2デイズ)で発見したのは、懐かしい日産B310型「サニークーペ」だ。シンプルなシルバーのモノカラーでペイントされているものの、往年のTSレースに出場していたマシンを彷彿とさせるスタイルとなっており、当時の活躍を知っている人にとってはたまらない1台だ。機械加工によるワンオフパーツ製作を得意とする kNot pArts(ノットパーツ)の常陸さんに話を伺った。
「このクルマのコンセプトは、“現代的に解釈したTSサニー”です。当時のカッコよさはそのままにエンジンをインジェクション制御でターボ化し、ストリートマシンとして乗ることができるようにしました」
ベースとなったのは丸目二灯ヘッドライトを持つ前期モデルで、大型のフロントスポイラーやビス留めの角型オーバーフェンダー、大型のトランクリッドスポイラーなどを装着。そのほかにもクロームベゼルを廃してレンズのみをフラットサーフェスでマウントしたテールランプや牽引フックなど、ボディスタイルは往年のTS CUPカーを彷彿させるシルエットとなっている。
レースカーシルエットのままストリートカーとしてアレンジ
派手なグラフィックを加えれば即座にレースに出場できそうなスタイルであるが、興味深いのはあえてシンプルなシルバーにペイントされ、ナンバー付きのストリートカーとして仕立てられている点である。
足まわりにはマツオカ製の車高調が使用され、ホイールはワタナベの8スポークを装着。車内にはロールバーが張り巡らされているものの、内装はしっかりと備えられており、インテリアも街乗りを前提とした構成となっている。
一方で、特筆すべきことはエンジンである。ボンネットを開けるとまず目に飛び込んでくるのは、フルカーボン仕上げのエンジンベイである。これは見た目のインパクトだけでなく、カーボンパネルを貼り込むことで面としての剛性を高める補強の一種であるという。エンジン本体もヘッドカバーやインダクションボックスにカーボン素材を採用しており、美しくディテールアップされている。
ターボ化されたエンジンはワンオフパーツのオンパレード
エンジンはオリジナルのA14型をベースにA15クランクと特注ピストン、H断面のクロモリコンロッドなどを組み合わせた1527ccで、これをHKS製GT4135タービンで過給。点火系はダイレクトイグニッション化している。
燃料供給はキャブレターではなくインジェクション。LINKのECUによるフルコン制御となっており、4連スロットルやマニホールド、サージタンク、EXマニホールドなど、ターボまわりのパーツはワンオフ製作されたものが多いそうだ。これに組み合わせるのは、トヨタ「86」用の6速マニュアルトランスミッションで、ワンオフのアダプターを介して装着している。
ドライブトレーンの大幅アップデートによって、過激な仕様ながら、普段乗りも快適。あくまでナンバー付きのストリートマシンにこだわって製作されたアップデートカスタムとなっているのだ。