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ミウラより高価だったVWビートル7人乗りストレッチ!? 伝説のリムジン「ロールスワーゲン」が約4940万円で落札

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2025 Courtesy of RM Sotheby's

伝説に相応しいとはいえ落札予想価格の1.6倍に

このVWリムジン『ロールスワーゲン』はPR活動のツールとして活躍しただけでなく、1971年9月号の『デューンバギーズ&ホットVWs』の表紙を飾るなど、それ自体が有名になっていった。

しかしその翌年、フォン・ノイマンは『VWオブ・アメリカ』に販売代理店権と『ロールスワーゲン』の所有権を売却。ファイルに保管されている登録カードでも確認されているように、1974年以降はカリフォルニア州ベンチュラのVW正規代理店『マスターソン・モーターズ』で展示されることになった。

『VWオブ・アメリカ』は1977年までこの個体をプロモーションに活用し続けたが、前述のプレスリリースで示されているように、1979年1月に秘匿性の高い「シール(密封入札)方式」でオークションに出品することが決定した。ファイルに保存されている書簡によると、このときの落札者はカリフォルニア州で初のVW販売店を経営する、ジョン・ウェインの親しい友人だったチック・イバースンだった。

イバースンはこの『ロールスワーゲン』を1996年まで所有し、その後カリフォルニア州ハーバーシティのVWパーツ供給会社『ウェスト・コースト・メトリック』の創設者である友人ロレンツォ・ピアソンに売却する。それ以来、このビートル・リムジンはピアソンの著名なコレクションのなかに残されており、20年以上にわたる丁寧なメンテナンスが記録された手書きのログブックやサービス請求書から、その価値が十分に評価されていることがわかる。

2025年1月、104歳で逝去したフォン・ノイマンは、VWの広告コピーが宣言するように

「世界でもっとも有名な経済車から世界でもっとも経済的なリムジンへの変身」

を指揮した。

「……なぜ道路上でもっとも節約家なミリオネアにならないのか?子供たちよ、それこそが、富める者がさらに富む方法だ」

今回のオークション出品に際して、RMサザビーズ北米本社は15万ドル〜20万ドルの予想落札価格(日本円で約2210万円〜2950万円)を設定した。そして迎えた8月16日のオークション当日。モントレー市内の大型コンベンションセンター、および今年からは隣接するホテルにも会場を広げて挙行された対面型競売では、順調にビッドが伸びた。結果は予想落札価格の上限の1.6倍にも相当する33万5000ドル。現在の為替レートで日本円に換算すれば約4940万円という、驚きの高価格で競売人のハンマーが鳴らされることになった。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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