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シャシーを共有する兄弟はいるが「ジュニア」にはアルファ ロメオらしさが宿っている

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)

期待を裏切るパフォーマンス

さらに走らせてみると

「やるじゃん!」

と思わせられたのだった。試乗車はハイブリッドの「Ibrida(イブリダ)コア」で、1199ccの直列3気筒DOHCターボ(100kW/230Nm)とフロントモーター(16kW/51Nm)を搭載。これに6速デュアルクラッチを組み合わせた、いわゆるマイルドハイブリッドだ。

が、ハイブリッドであることを忘れさせるパワーフィールというべきで、モーターのおかげで出足は十分に力強く、アクセルに対するツキもよい。エンジンはストレスなく高回転まで回り、それに伴うエンジン音も小気味よく、アルファ ロメオと受け止めるにも十分に及第点以上のサウンドを聞かせてくれる。デュアルクラッチのため変速もスパッと瞬時だ。

ハンドリングも軽快。ステアリングの切り始めが過敏ではないが敏捷で、そこから先も思いのままに切り込んでいける。それとしなやかにロールする様もアルファ ロメオらしいところ。ここで思い出さなければいけないのは、このジュニアはSUVに属するクルマだということ。しかしミズスマシのような軽々とした身のこなしは、ちょうどかつてのコンパクトカー、ミトを運転しているような感覚を味わわせてくれた。

試乗車はコアと呼ばれるグレードで、タイヤは215/60 R17インチサイズのSUV用のグッドイヤーで、3名乗車までに指定内圧は前後とも220kPaだったが、60ながら、ごく限られた場面で路面からの入力を伝えることがあるのは、クルマの重心高を前提にしてサスペンション設定が行われているからなのかもしれない。

乗り心地もワンだふるSUV!

飼い主が気分上々で試乗しているのを横目で見ていたらしく、我が家の乗り心地・NVH評価担当の飼い犬のシュン(柴犬・3歳半・体重15kg)も、試乗中はクルマの挙動に身を委ねていて、試乗が終わるとクルマの前部に自分で回り、スクデット(盾グリル)の中のalfa Romeoのロゴのあたりをふーんと確認していた。

内外観のいたるところにビショネがちりばめられ(右空調吹き出し口の中央のそれは照明が入るが夜間は窓映りもする)、アルファ ロメオでござい……の主張がある。インパネのふた山のメーターナセルは往年からのアルファ ロメオらしい形状(できれば液晶メーターも長方形のパネルそのもののデザインではなく、丸型アナログメーターの描写に合わせて模ったベゼル形状にしてほしかった)であったり。

個人的な感想としてはフロントマスクのデザインは、よりアートな作風のトナーレのほうが好みだったりするが、そういうことはきっと忘れられそうな、CMP由来ながらも見事に“アルファ・マジック”がかけられたクルマである。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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