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メルセデス・ベンツ「Eクラス」ルーツは戦後復興の一翼を担った小さな実用車!

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TEXT: 妻谷裕二(TSUMATANI Hiroji)  PHOTO: Mercedes-Benz/妻谷コレクション(TSUMATANI Collection)

  • 歴代のEクラス。先頭は現行モデルのW214
  • Eクラスの祖先、1946年の170セダン(W136)。写真は170V
  • Eクラスの祖先、1946年の170セダン(W136)。写真は170VカブリオレB
  • ポントンと呼ばれた180(W120)。ボディとフェンダーが一体となった3ボックスデザインが特徴。世界初の衝撃吸収式安全ボディ構造を採用し、安全性と居住性が向上した
  • ポントンと呼ばれた180(W120)。ボディとフェンダーが一体となった3ボックスデザインが特徴。世界初の衝撃吸収式安全ボディ構造を採用し、安全性と居住性が向上した
  • 1961年に登場した通称「ハネベン」の190(W110)と220(W111)。Sクラスのショート版。世界初のフルモノコックボディによる衝撃吸収式安全ボディ構造を確立し、室内には本格的な安全パッドを装備。「安全を標準装備」したモデルだ。写真は190/W110
  • 1961年に登場した通称「ハネベン」の190(W110)と220(W111)。Sクラスのショート版。世界初のフルモノコックボディによる衝撃吸収式安全ボディ構造を確立し、室内には本格的な安全パッドを装備。「安全を標準装備」したモデルだ。写真は220/W111
  • 1968年、「ニュージェネレーション」のタイトルで登場した、初代コンパクトシリーズのW114/W115
  • 初代コンパクトシリーズのW114/W115には、クーペの250CE/280CEも加わった
  • 1968年5月9日、戦後以来200万台目に達した記念すべきW115の220Dがジンデルフィンゲン工場をロールアウトした
  • フロント&リアアクスル。写真上はダブルウィッシュボーン式のフロント、写真下はメルセデス・ベンツ独自のダイアゴナル・スイングアクスル(セミトレーリングアーム式)のリア
  • 1976年1月、スリムで軽快なスタイルの2代目W123が登場。写真はヘッドライトが丸目4灯の4気筒モデル
  • 976年1月、スリムで軽快なスタイルの2代目W123が登場。写真はヘッドライトが丸目4灯の4気筒モデル
  • 1976年1月、スリムで軽快なスタイルの2代目W123が登場。写真は横広角目の異形2灯式ヘッドライトの6気筒モデル
  • 1976年1月、スリムで軽快なスタイルの2代目W123が登場。写真は横広の異形角2灯式ヘッドライトの6気筒モデル
  • ヘッドライトの比較。写真左が6気筒モデルの横広角目の異形2灯式、写真右が4気筒モデルの丸型4灯式
  • 1977年3月には、スポーティでエレガントな4人乗りクーペが加わった
  • 1977年3月には、スポーティでエレガントな4人乗りクーペが加わった
  • 1977年9月には、7人乗りステーションワゴンが加わった。写真は4気筒モデル
  • 1977年9月には、7人乗りステーションワゴンが加わった。写真は6気筒モデル
  • W123のラインナップ。左からステーションワゴン、セダン、クーペ
  • 6気筒DOHCの280TE(W123)エンジン
  • W123のラインナップ。左からクーペ、セダン、ステーションワゴン
  • 1977年のロンドン〜シドニー・マラソンラリーで優勝した、アンドリュー・コーワンとアンソニー・フォークスのチームと280E(W123)
  • 1977年のロンドン〜シドニー・マラソンラリーで優勝したNo.33の280Eは、メルセデス・ベンツミュージアムに展示されている
  • 1977年のロンドン〜シドニー・マラソンラリーで優勝した、アンドリュー・コーワンとアンソニー・フォークスのチームと280E(W123)
  • W123のディーゼルモデルラインナップ
  • 初代Eクラス(W124)セダンの風洞実験で、驚異的なCd値0.29を実現した
  • 初代Eクラス/W124は、ブルーノ・サッコが190/W201に続いてデザインを手がけた作品
  • 初代Eクラス/W124はブルーノ・サッコが190/W201に続いてデザインを手がけた作品。当初、1本のサイドプロテクターは1990年からサッコ・デザインのアイデンティティともいうべきサッコ・プレート(ボディ側面を保護する)を採用。写真はサッコ・プレート付きクーペ
  • 初代Eクラス/W124はブルーノ・サッコが190/W201に続いてデザインを手がけた作品。当初、1本のサイドプロテクターは90年からサッコ・デザインのアイデンティティともいうべきサッコ・プレート(ボディ側面を保護する)を採用。写真サッコ・プレート付きカブリオレ
  • 初代Eクラス/W124はブルーノ・サッコが190/W201に続いてデザインを手がけた作品。1本のサイドプロテクターは、1990年からサッコ・デザインのアイデンティティともいうべきサッコ・プレート(ボディ側面を保護する)を採用。写真は1本サイドプロテクター時代の多機能なステーションワゴン
  • 初代Eクラス/W124はブルーノ・サッコが190/W201に続いてデザインを手がけた作品。当初、1本のサイドプロテクターは90年からサッコ・デザインのアイデンティティともいうべきサッコ・プレート(ボディ側面を保護する)を採用。写真は当初の1本サイドプロテクター付き多機能なステーションワゴン
  • 現行6代目W214は、2023年オンライン上でデジタルワールドプレミア。日本では2024年1月、東京オートサロンでセダンとステーションワゴンが同時発表された。キャッチコピーは「Eを覆す、E」と各広告媒体で展開。写真はAMGラインとスタンダ-ドモデル
  • 現行6代目W214は、2023年オンライン上でデジタルワールドプレミア。日本では2024年1月、東京オートサロンでセダンとステーションワゴンが同時発表された。キャッチコピーは「Eを覆す、E」で、各広告媒体で展開。写真はステーションワゴン
  • 現行6代目W214は、2023年オンライン上でデジタルワールドプレミア。日本では2024年1月、東京オートサロンでセダンとステーションワゴンが同時発表された。キャッチコピーは「Eを覆す、E」と各広告媒体で展開。写真は出荷前の工場でのショット
  • 現行6代目W214は、2023年オンライン上でワールドプレミア。日本では2024年1月、東京オートサロンでセダンとステーションワゴンが同時発表された。キャッチコピーは「Eを覆す、E」と各広告媒体で展開。写真は走行中のEクラスAMGライン
  • 現行6代目W214は、2023年オンライン上でワールドプレミア。日本では2024年1月、東京オートサロンでセダンとステーションワゴンが同時発表された。キャッチコピーは「Eを覆す、E」と各広告媒体で展開。写真はフロントヘッドライト周り
  • 現行6代目W214は、2023年オンライン上でワールドプレミア。日本では2024年1月、東京オートサロンでセダンとステーションワゴンが同時発表された。キャッチコピーは「Eを覆す、E」と各広告媒体で展開。写真はテールライト
  • 現行6代目W214は、2023年オンライン上でワールドプレミア。日本では2024年1月、東京オートサロンでセダンとステーションワゴンが同時発表された。キャッチコピーは「Eを覆す、E」と各広告媒体で展開。写真はフロントインテリア
  • 現行6代目W214はEuro NCAP(Euro New Car Assesment Program)から2024年度「ベストパフォーマー」を受賞した(2025年1月22日)。つまり、すべての安全カテゴリーで傑出したスコアを達成した
  • 現行6代目W214はEuro NCAP(Euro New Car Assesment Program)から2024年度「ベストパフォーマー」を受賞した(2025年1月22日)。つまり、すべての安全カテゴリーで傑出したスコアを達成した
  • エンジンは3L直6 OHCから最終的には1990年に登場した500EのV-8までハイパフィォーマンスカーへの足掛かりを作ったモデルといえる。写真は500E
  • 初代Eクラス(W124)のラインナップ。リアスタイルで手前からクーペ、セダン、ステーションワゴン
  • 1968年、「ニュージェネレーション」のタイトルで登場した、初代コンパクトシリーズのW114/W115
  • 1961年に登場した通称「ハネベン」の190(W110)と220(W111)。Sクラスのショート版。世界初のフルモノコックボディによる衝撃吸収式安全ボディ構造を確立し、室内には本格的な安全パッドを装備。「安全を標準装備」したモデルだ
  • ポントンと呼ばれた180(W120)。ボディとフェンダーが一体となった3ボックスデザインが特徴。世界初の衝撃吸収式安全ボディ構造を採用し、安全性と居住性が向上した
  • Eクラスの祖先、1946年の170セダン(W136)。写真は170V
  • 初代Eクラス/W124はブルーノ・サッコが190/W201に続いてデザインを手がけた作品。当初、1本のサイドプロテクターは90年からサッコ・デザインのアイデンティティともいうべきサッコ・プレート(ボディ側面を保護する)を採用。写真は当初の1本サイドプロテクター
  • 初代Eクラス(W124)のラインナップ。手前からクーペ、セダン、ステーションワゴン

初代Eクラスは当初はミディアムクラスと呼ばれていたW124

自動車の歴史とともにメルセデス・ベンツが得意とする大型高級車とは一線を画す、実用的な小型車を発表したのは1931年に登場したW136型170でした。このモデルは、第2次大戦戦後も生産され、後のコンパクトシリーズ、そしてEクラスへとその血脈は受け継がれていきます。そして、今後もメルセデス・ベンツの中核モデルとして新世代を担う存在であるといえるEクラスの歴史を紹介します。

170/W136(1946-1955年)
Eクラスの祖先は1946年登場の小型実用車

第二次世界大戦後のドイツ復興に際して、まず必要だったのは交通手段であった。ダイムラー・ベンツ社は、戦前設計のウィングタイプのフェンダーが特徴の170セダンの生産を再開した。1.7L 4気筒エンジンを搭載し、小型ながら俊敏な走りと無類の丈夫さはメルセデス・ベンツの復興に貢献した。戦後、日本へ最初に正規輸入されたのも、この1952年型170セダンであった。

180/W120(1953-1962年)
フェンダーが一体化して「ポントン」と呼ばれた170の進化系

1953年に登場したW120型180は、エンジンを先代170から踏襲するものの、ボディとフェンダーが一体となった現代風のフラッシュサイドスタイルの3ボックスデザインを採用。セミモノコックボディは、世界初の衝撃吸収式安全構造を採用し、安全性と居住性を高めた。また、この180シリーズはフェンダーとボディが船のように一体化したスタイルだったため「ポントン(Ponton=箱船の意味)」と呼ばれた。

W110(1961-1968年)
優雅なフィンテールは「安全を標準装備」した衝撃吸収ボディ

1961年にフィンテールが特徴のボディ形状から日本では通称「ハネベン」と呼ばれていた190/W110と220/W111が登場。ポストンと呼ばれた先代180よりボディは少し大柄になり、低いウエストラインのパノラマミック・ウンドウを特徴とした解放感溢れるボディスタイルは、従来のメルセデス・ベンツの感覚から大きく脱皮していた。ボディは世界初のフルモノコックで衝撃吸収式安全ボディ構造の採用や室内に本格式安全パッドを施すなど、「安全を標準装備」した歴史的にも重要なモデルとなった。

W114/115(1968~1976年)
4気筒と6気筒を搭載した初代コンパクトシリーズ

1968年に「ニュージェネレーション」のタイトルで登場したのが、縦目のヘッドライトが特徴の初代コンパクトシリーズのW114/115だ。ちなみに1968年に発表されたので「/8(ストローク エイト)」と呼ばれ親しまれた。6気筒エンジン搭載モデル(W114)と4気筒エンジン搭載モデル(W115)をラインアップ。

このW114/115はオーナードライバー専用のボディと謳っていたので、Eクラスと思われがちだが、じつは「コンパクトシリーズ」と呼ばれ、SやSLに続く3番目のクラスだった。最終的な販売台数は先代のW110の3倍に相当する191万9056台だった。

グレードは4気筒の200から6気筒の280まで用意され、さらにクーペの250CE/280CEも加わった。このEの接尾辞はドイツ語の「EINSPRIZUNG」の頭文字で「燃料噴射」を意味する。初のDOHC燃料噴射式エンジンを搭載したが、今で言うクラス分けの「E」ではない。

W114はリアにセミトレ-リングアーム式サスペンションを採用したこともトピックだった。機構上、もっとも大きな変更はパワーアシスト付きのステアリングを採用。駐車場などでの操作が楽にできるようになり、コンパクトで視界も広いこともあり女性にも扱いやすいメルセデス・ベンツが誕生したといえる。

しかも、もっとも評価すべきは、このモデルから明らかにこれまでとは違う実力の高いセーフティパッドを車内随所に配し、吟味されたダッシュボードの材質を採用するなど、優れた衝撃吸収能力を発揮したことだ。

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