1960年代ル・マンを想像させるサーキット専用ハイパーロードスター
2025年8月に開催したモントレー・カーウィークにおいて、パガーニ・アウトモビリはサーキット専用ハイパーカーの一大展示をしました。目玉は2024年に発表した最新作の「ウアイラ R エボ ロードスター」。搭載する自然吸気V12エンジンは900psを誇り、最高回転数は9200rpmに達する卓越したトラック性能を実現したモデルです。
パガーニ初モデルのモンツァや世界最速記録を持つゾンダなどが集結
ウアイラ R エボ ロードスターは、1960年代のル・マンカーを彷彿とさせるクラシカルなデザインで、屋根のない完全オープントップ仕様という大胆な構成。傑出したパワーはもちろんのこと、従来比で45%増加したダウンフォース、初採用のヒーブダンパーにより、極めて高い車体安定性と応答性を実現している。パガーニ独自の「Arte in Pista(アーテ・イン・ピスタ)」プログラムの一環として開発されており、ドライバーとの一体感を極限まで高めている。
この最新モデルに加え、以下の歴代のサーキット専用モデルも展示された。
●ゾンダ・モンツァ(2004年):サーキット専用としてパガーニで初めて設計された。7L V12エンジン、380mmフローティングブレーキ、F1スタイルのクイックリフューエルシステムなどを備えたワンオフモデル。
●ゾンダ R(2009年):航空機・F1技術を導入したピュアトラックカー。750psのV12エンジンをシャシーに直結し、カーボチタン製モノコックを採用。ニュルブルクリンク北コースで6分47秒という当時の記録を打ち立てた。
●ゾンダ・レヴォルツィオーネ(2013年):ゾンダ Rの進化形で800psを発揮。ギアチェンジは20mm秒で完了し、アクティブDRSによって空力性能をリアルタイムで制御する。車両重量はわずか1070kgと軽量。
●ウアイラ R(2021年):850psのV12エンジンと1000kgのダウンフォース(320km/h時)を誇る。モノコックはカーボトライアックス素材を用いた安全性重視の構造で、「BBC Top Gear」により“ベスト・ノイズ・オブ・ザ・イヤー”に選ばれた。

【AMWノミカタ】
ウアイラ R エボ ロードスターは通常のウアイラRの出力をさらに50psパワーアップした900psに、回転数も950 rpm上昇し9200rpmにするなどさらに高回転型で高応答型に進化したモデルである。もうひとつの特徴はヒープダンパーを初採用した点だ。
ヒーブダンパー(Heave Damper)とは、通常のピッチやロールに加え、4輪が同時に上下する垂直方向の運動のヒープを抑えるためのダンパーで、とくに高速域での車体姿勢を一定に保ち、空力パーツの効率を最大限に引き出す。最大で45%増加したダウンフォースの恩恵もこのダンパーによるところが大きい。
今回の特別な展示は、サーキット性能を追求し続けたブランドの情熱と走りの哲学を改めて知ってもらう重要な場となった。
























































