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日本人レーシングドライバーから見たドイツ道路事情と日本車の実力【みどり独乙通信】

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TEXT: 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)  PHOTO: 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)

  • 愛車のレクサスでドイツ各地のサーキットと自宅を往復という中嶋一貴さん
  • 停止線とおりに停まると信号が見難い問題は、ドイツあるあるです
  • アウトバーンで渋滞注意のため、100km/hの規制表示。「Staugefahr(シュタウゲファール)」は渋滞の恐れありを意味します
  • アウトバーンの工事エリアではかなり狭い車線もありますので、車幅に注意が必要です
  • アウトバーンの速度制限解除の標識です。あっさりしていますね
  • アウトバーンは意外に渋滞も多いんです
  • アウトバーンで時速120kmの制限が解除され、ここから速度無制限の表示。最近は電光掲示板で交通状況によって対応しています。トラックは基本的に右側走行(走行車線)です
  • ドイツのケルン移住して4年目という中嶋一貴さん

ドイツ移住のTGR-E中嶋一貴副会長に聞く「ドイツで困らない運転のコツ」とは

ドイツ・ミュンヘン在住のモータージャーナリストの池ノ内みどりさん。レーシングドライバー引退後、同じくドイツのケルンに移住して4年目のTGR-E(トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ)の副会長・中嶋一貴さんにお話を伺う機会がありました。プロのレーシングドライバー視線でのドイツでのカーライフと日常の運転で気になったことは、ちょっと興味深い内容でした。

日本と勝手が違う!停止線位置を守ると信号機が見えない、見難い!

F1のウィリアムズを経て、スーパーGTやスーパーフォーミュラで活躍後、TOYOTA GAZOO Racing(以下トヨタ・ガズー・レーシング)に加入し、WEC(世界耐久選手権)やル・マン24時間レースで長年トップドライバーとして活躍した中嶋一貴さん。現役引退後はTGR-E(トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ)の副会長として、世界で戦うトヨタ・ガズー・レーシングのサポート業務や若手育成に精力的に活動されています。TGR-E副会長に就任後は、生活の拠点をTGR-Eの所在するドイツのケルンへと移し、現在ドイツ生活は4年目となるそうです。早速とインタビューの模様をご紹介しましょう。

━━ご自宅と勤務先のTGR-Eへの往復やニュルブルクリンク、スパやホッケンハイムをはじめとしたサーキットへの移動や海外遠征の際には自宅から空港までなど、日常的にドイツでクルマを運転されている一貴さん。日本での現役生活後のドイツ移住とあり、ドイツの一般道やアウトバーンを運転していて困ったことや、ドイツのドライバーにこれは止めてほしいな、と思った経験はないのでしょうか?

「とくに運転に関してはないのですが、しいて言うならば信号で停止する際に一番先頭にいて停止線で停まると信号が見えないんですよね。これはきっとドイツにいる人にしか絶対分からないと思うんですけど」と笑う一貴さん。

━━私もこれには激しく同意しました(笑)。ドイツの一般的な公道の信号機は右側と上の両方にあるのですが、停止線できっちり停めると、上の方はフロントガラスに顔がくっつくんじゃないかというくらいに近づけて見上げるハメになったり、右側の歩道側にある信号はAピラーに隠れてほぼ見えないという状態です。停止線から少し後ろに停まると良いのですが、日本人的にやっぱり停止線を守ってしまうんですよね。

アウトバーンは紳士的なドライバーが多く案外にストレスフリー

━━ドイツのアウトバーンは速度制限解除区間、すなわち速度無制限区間もありますが、120/hや130/h、工事区間での100/hや80km/h60/hといったさまざまな速度制限区間も設定されています。ドイツのアウトバーンを走る上で、日本とは違うな、と思う部分はありますか?

「基本的な速度設定が日本よりも高いアウトバーンですが、きちんと規則を守る方が多く、周りを見ながら運転をしているドライバーが多いと感じています。マナーも非常に良く規則正しいドライバーが多い、それだけで非常にストレスが軽減されます。これもドイツの自動車文化のひとつだと感じますね」という一貴さん。

もちろん、色んなドライバーがいますが、アウトバーンでは速度差が大きいこともあり、周りをしっかり見て走らないと大事故が起きる可能性が高いので、一般ドライバーもその意識が周知されていると感じているようです。

ドイツ在住の元レーシングドライバーも認めるレクサスの実力

━━一貴さんのドイツでの愛車はレクサス。日本で乗る日本車とドイツの道路で乗る日本車で、ドライブフィーリングなどに違いを感じられるのでしょうか?

「日本の高速道路の制限速度は基本的に100/hや120/hですから、道路交通法を守って運転している限りは自動車に対する要求はさほど高くないと思います。しかし、ドイツのアウトバーンを走っていると自動車に対する要求はおのずと高まりますし、クルマの違いがよくわかるなと思っています」と、速度制限解除の区間もよく走行する一貴さん。

━━日々、愛車であるレクサスを運転するなかで「ドイツで走っていても全く不満や不足を感じません」と、その性能とポテンシャルの高さを実感しているそうです。長年ヨーロッパと日本を往復する生活を送っていて、さまざまな自動車メーカーのレンタカーもドライブしていた経験もあるそうです。

「とくにここ10年前ほどからトヨタやレクサスが凄く良くなっていることを実感しています。パワーの面でも乗り心地の面でも、しっかりした走りという点でも物足らないと感じることがなく、アウトバーンの速度制限解除区間もまったくのストレスフリーで乗っています」と大満足な様子。

━━レーシングドライバーといえば、アウトバーンも飛ばしているという勝手なイメージを持ってしまいますが、実際はどうなのでしょうか?

「ドイツのアウトバーンには確かに速度無制限の区間がありますが、工事区域も多くありますし、混雑個所もあるのでいつも慎重に運転しています。オービスも結構隠れていますので、光らせないように速度制限区間はしっかりと守るように心掛けています」

>>>ドイツ在住池ノ内みどりさんのクルマにまつわるコラムはこちら

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  • 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)
  • 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)
  • ドイツ ミュンヘン市在住 フリーライター&コーディネーター。東京で学生生活を謳歌した後にオーストリアのザルツブルグで再び学生生活を謳歌し、なんとか卒業。三度目の学生生活を謳歌しにミュンヘン大学入学を機にドイツへ。ミュンヘン大学在学中の現地広告代理店でのアルバイトがきっかけで、モータースポーツに魅せられて大学を中退し、モータースポーツ業界へ飛び込む。愛車のBMW M240iカブリオレを駆り、ヨーロッパ各国のサーキットへ取材に向かう。趣味はアルプスの峠越えドライブと蚤の市めぐり。好きなサーキットはニュルブルクリンクとスパ・フランコルシャン。ヨーロッパ生活はもう少しで30年。
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