クルマとコスチュームのセットでイベントを楽しむ
千葉県・松戸まつりのクラシックカーイベントでひときわ存在感を放っていたのは、1959年式のキャデラック「ドゥビル クーペ」と、その横に立つオーナーの和田裕之さんでした。クルマを「見せる」だけでなく、「楽しんでもらう」ことを大切にしてきた和田さんは、コスチュームや演出を通じて来場者との距離を自然に縮めてきました。キャデラックとともに人を笑顔にしてきた、そのスタイルに注目します。
ポリスカーとキャディラックの2台を使い分けて楽しむ
JR松戸駅前を中心に開催される「松戸まつり」は、地域最大のイベントとして1974年(昭和49年)より始まった市民まつりだ。市民はもちろん近隣からも多数の来場者が訪れ、半世紀経った現在もたくさんの人々に愛されている。
その一環として併催されているのが「まつどクラシックカー&スポーツカーフェスティバル」だ。お祭りの2日間、松戸駅西口地下駐車場は、さながら自動車博物館の様相を呈する。
西口駅前ロータリーから直結したアプローチを下りたところに鎮座していたのは、1959年式のキャデラック ドゥビル クーペだ。古き佳きアメリカを象徴する近未来的なボディデザインのフルサイズ・アメリカンカー。そのオーナーは、アメリカン・ポリスカーも所有していることでも有名な和田裕之さんだ。
「いつもはポリスカーで参加していたのですが、今回は事務局さんが見学客の降りてくるエレベーター横を用意してくれたので、アメリカンカーの王道であるフルサイズのキャデラックを持ってきました」
このフェスティバルは土日の2日間開催される。取材をした土曜日はキャデラック、翌日曜日はポリスカーと入れ替えて展示した。
これまでイベントにはポリスカーで参加していた和田さんは、ある年、展示車両に合わせてポリスマンの制服でコスプレしたところ、小さな子供から年配の来場者まで幅広く喜んでもらえた。それ以来、クルマとコスチュームのセットでイベントを楽しんでいる。
クリスマスには東京・丸の内でボランティア活動
こうしたコスプレでのクルマ遊びは、展示イベントだけではない。12月24日のクリスマスイヴには、毎年このキャデラックで仲間たちとサンタクロースの格好をし、東京・丸の内で子供たちにミニカーを配るボランティア活動を行っている。
「クリスマスあたりから年末にかけて丸の内仲通りはイルミネーションが施されて、子供連れで見学する家族も多いんですよ。小さなお子さんたちに喜んでもらえるのが嬉しくてやめられなくなりました。ほら、キャデラックのボディカラーに、僕のこの体型でしょ? サンタさんの格好が似合うんですよ」
イルミネーションの灯りで輝きを増すフルサイズのキャデラックは、聖夜にピッタリの彩りを放つ。通行人が自然と集まり、周囲が賑やかになるのが快感だそうだ。
このサンタ姿での慈善活動は、8年前にポリスカーで始めた。6年前にキャデラックを手に入れてからは「こちらのほうがサンタらしい」と、クリスマスイヴにはキャデラック、他イベントではポリスのコスプレと、それぞれクルマを使い分けて楽しんでいる。
和田さんは、イベント会場でもある松戸市で自動車販売やコーティングなどの事業を営んでいる。地元の活性化のため、例年何かしらの車両を展示してきた。
「こうしたイベントではやはり国産車や欧州車が主流になります。だからこそ元気なアメリカ車を見てもらいたいです。よく『故障するでしょう?』と言われますが、こうした活動を通じて、古くてもしっかり整備していれば、どんなシーンにも使えることを見てもらいたいんですよね」
キャデラックと和田さん扮するサンタクロースは、2025年も12月24日〜25日の2日間、東京・丸の内で活動する予定だ。














































