6500ポンドを投入しエンジンにファインチューンを施す
エンジンはオーバーホールされたうえで、キャパシティアップタービンとHKSのパイピングキットを装着。排気系には、ヒートグラデーションが美しい東名パワード製のチタンマフラーを採用し、パワーとレスポンスのアップグレードが図られた。さらにエンジンルームには、希少なNISMO製のオーナメントとタワーバーも奢られ、コレクター心をくすぐる。なお、チューニングとリフレッシュの費用は、総額6500ポンド(邦貨換算約135万円)以上とされている。
足もとには、BNR32チューンが全盛期に定番のひとつとして多くのオーナーから支持されたENKEIのRP-F1をインストール。あえて最新モデルを選ばず、当時の空気感を重視したコーディネイトに好感が持てる。オリジナルシルバーに赤いアルマイトのホイールナットを組み合わせるなど、さりげなくスパイスをきかせている。
インテリアはシートだけでなく、ダッシュボード、ドアトリムからカーペットに至るまでコンディションは良好だ。30年以上が経過しているとは思えない状態を維持している。さらに、日本を代表するトップチューナーのひとり、横幕宏尚さんが率いる「ヴェイルサイド」の340km/hスピードメーターもセット。オリジナルのステアリングも刷新され、次のオーナーも十分満足できる内容に仕上がっていた。
個性の強いカスタマイズ車両は選択の幅を狭める可能性大
トータルコーディネイトが施されたチューンドGT-Rのエスティメート(推定落札価格)は、4万ポンド〜5万ポンド(邦貨換算約832万円〜1040万円)だった。いちからエンジンの蘇生を行い、ボディもフルリフレッシュが施されていることを考えると、妥当な金額とも思えた。しかし、オークション当日に入札が集まらず、残念ながら「流札」でフィニッシュ。次のオーナーへの橋渡しは叶わなかった。
原因として予想されるのは、すでに数多くのスカイラインGT-Rが海を渡り、イギリスに上陸を果たしていることから、コレクターが食傷気味になっている可能性が高い。加えて、個性が強いカスタマイズ車両は、どうしても選択の幅を狭めてしまう。クラシックオークションの世界では、すでに手が入ったモデルより、オリジナル度が高い個体のほうが好まれる傾向が強い。「まずは素の状態で手に入れ、落札後に自分の好みに仕上げていく」。あらためて、これが王道であることを感じさせる一例だった。













































































































