フラッグシップFRに故郷の名を冠する自信作
モディフィカートで最高速325km/hを達成!
575Mマラネロの解説を始めるには、まずはその搭載エンジンについてふれなければならないだろう。
デビュー前には、ライバルの動向を考えて6000ccクラスの排気量が設定されるのではないかとも伝えられていたV型12気筒エンジンは、550マラネロの88×75mmのボア×ストローク値(総排気量5474cc:550)を、89×77mmにまで拡大して5748ccの排気量を得たものだ。車名の575はこの排気量に由来している。最高出力の515ps、最大トルクの588Nmは、550マラネロとの比較では30ps、20Nmのエクストラを得た計算になる。ミッションは6速セミAT(F1マチック)である。
パワーユニットの強化に対応してシャシーにも十分な改良策が施され、電子制御方式のダンパーは4輪を個別にコントロールするものに、ブレーキも耐フェード性の向上を目的にさらに冷却性能の高い、そしてもちろん制動力に優れたものに見直されている。その結果、575Mマラネロは0-100km/h加速で4.25秒、最高速では325km/hと、これも550マラネロ比で0.15秒、5km/hの性能向上を果たしたのだ。
2002年初期型走行3万kmの極上イエロー登場!履歴もサービス内容も文句無しの575Mマラネロ
その575Mマラネロが、ボナムスのパリ オークションに登場した。575Mマラネロは2002年から2005年まで生産されているが、出品車は2002年モデルと比較的初期にデリバリーされた個体だ。
ボディカラーはジャッロ モデナ(イエロー)。スクーデリア フェラーリのエンブレムがフロントフェンダーに備わり、575Mへのモデルチェンジで大きくそのデザインを変えたインパネが印象的なキャビンは、ネロ(ブラック)のレザーにイエローのパイピングが施されている。
18インチ径の5スポークアルミホイールにはピレリ製のPゼロ ロッソ タイヤが組み合わされ、ホイールの内側にはボディカラーとコーディネートさせたイエローのブレーキキャリパーの姿を認めることもできる。装備も前後パーキングアシストやオートエアコンを始め完全な状態だ。
オーナーズブックや新車時からのサービスブックもきちんと残されている。後者を見れば、現在までにドライブされた3万2933kmの履歴とサービス内容も確かに理解できるはずだ。ちなみに直近の車検もクリアしており、2025年6月まで有効となっている。
フェラーリのV12は、前に載っているのが正装!エンツォに忠実なV12フェラーリのリアル相場!!
オークショネアのボナムスは、この575Mマラネロに10万〜12万ユーロ(邦貨換算約1830万円〜2195万円)のエスティメートを提示したが、やはりそのコンディションと走行距離の少なさは高く評価されたようで、最終的に入札は12万6500ユーロ(邦貨換算約2314万円)まで続いた。
550マラネロへの転換は、フェラーリを「気難しいスーパーカー」から、現代的な「スーパースポーツGT」へと進化させるための英断だったのだ。実際、550マラネロはレース(GT選手権)でも大活躍し、FRレイアウトのポテンシャルの高さを証明している。
「フェラーリのV12は、前に載っているのが正装である」という創業者エンツォのクルマ作り哲学に、当時のトランスアクスル方式の採用やグランドエフェクトなど近代テクノロジーを詰め込んで復権させたのが550マラネロから始まったFRレイアウトシリーズだった。当時のルカ・ディ・モンテゼモロ社長が掲げた「誰でも、どこへでも快適に、かつ速く行けるフェラーリ」は、背中から聞こえる大きなエンジン音と熱、そしてキャビンの狭いミドシップモデルではなかったのだ。
創業者とフェラーリを立て直した当時の社長が掲げたクルマ作りを実現した「12気筒FR2シーター」を探すオーナー予備軍には、もしかするとこの価格は比較的割安なものと感じられるのかもしれない。
※為替レートは1ユーロ=183円(2026年3月17日時点)で換算

































































