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スーパーカー世代のヒーロー! フェラーリ初のミドシップBBシリーズ中で最も完成度の高い「512BBi」に下された悲しい現在地とは!?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of Broad Arrow  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

各国のフェラーリスタの元で入念な整備を受け続けた機関と「ロッソ コルサ」の外装、「ベイジェ」内装は???

アメリカにおけるフェラーリの登録履歴を記した「フェラーリ レジスター」によれば、このほどブロードアロー オークションズ「アメリア・アイランド2026」セールスに出品されたフェラーリ「512BBi」(シャシーNo.#44669)は、1983年1月にマラネロ本社工場からラインオフした個体との由。

クラシックな「ロッソ コルサ」のボディに「ベイジェ(ベージュ)」のレザー内装を施され、まずはフェラーリにとっては最古のディーラーのひとつであった英国マラネロ コンセッショネアーズに新車として引き渡されたが、当初から英国マーケット向けの右ハンドル仕様ではなかった。

米国運輸省の記録文書によれば、2カ月後の1983年3月までにこのフェラーリはアメリカ合衆国に輸出されたものの、その後間もなくスイスに移送されたという。当時のスイス国内登録書類によれば、同車は1984年4月にスイスにて初めて登録され、1988年までにシオンのアンリ・ド・ラヴァラズの所有となる。オリジナルのサービス・保証ブックレットには、テオドール・ニデガーの所有期間中、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、シオンのガレージ ゼニスおよびベルンのオートモービル ネメスAGによる定期的な整備記録がさらに記載されている。

今回のオークション出品者でもある現オーナーは、2005年の時点で約2万6700kmの走行距離を示していたこのフェラーリを、カナダ・ケベック州から購入し、その後アメリカ合衆国カリフォルニア州へ移送。それ以来GTOエンジニアリングやファスト カーズなど、南カリフォルニアを代表するフェラーリ専門業者によって入念な整備を受けてきた。

2022年2月には、2つの新品タイロッドエンドを取り付けるとともに、フロントサスペンションのアライメント調整を実施。また、ブレーキブースターの再構築とブレーキのエア抜き、エアコンシステムのガス抜きと再充填を行った。さらに直近の2025年10月には、ダッシュボードとグローブボックスのビニールレザー表皮を張り替えることで、インテリアをリフレッシュしている。

スーパーカー世代のヒーローは機関も外装も完璧な仕上がりだった一方、使用感たっぷりな内装はミスマッチ!?

オドメーターが示す走行距離は、公式カタログ作成の時点でわずか3万km強。千鳥格子柄の洒落た純正フォルダーに収納されたオリジナルの取扱説明書、純正ツールロール、カンパニョーロ製純正ホイールと組み合わせたスペースセーバースペアタイヤ(フロントの極端に狭いスペースに収めるため、通常は畳まれており、使用時に付属のコンプレッサーで空気を入れて膨らませるというスーパーカーならではの特殊な構造だ)なども完備された状態での出品となった。

このフェラーリ「512BBi」について、ブロードアロー社では「完全手作業で組み立てられた最後の時期の跳ね馬は、比類なき性能と雄大なフラット12のサウンドトラックを携え、オープンロードで存分に楽しむ準備が整っています」と高らかにアピール。

そのうえで26万ドル〜30万ドル(邦貨換算約4108万〜4740万円)という、昨今の512BBiの販売実績からすると、かなり高額のエスティメート(推定落札価格)を設定した。ところが3月7日に行われた競売では、残念なことに最低落札価格に届くことなく流札。現在では「継続販売中」となっている。

とはいえ、ボディやエンジンルーム内が比較的きれいに保たれているかたわら、とくにシートは使用感たっぷりで少々くたびれた印象もあったことを思えば、今回のエスティメートはちょっと欲張ってしまった……? という、底意地の悪い感想を抱かざるを得ないのである。

※為替レートは1ドル=158円(2026年4月17日時点)で換算

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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