英国オークション市場では受け入れられなかったチューンドフェラーリ
フェラーリ「512BBi」をベースに、ケーニッヒ・スペシャルズが手掛けた元祖魔改造スーパーカーがオークションに登場しました。1983年に生産されたこの512BBiは、ケーニッヒのエアロパーツが装着され、エンジンは標準の340psから450psへと引き上げるなど大胆なチューニングが施されています。オドメーターは約3万8600kmを示し、過去10年間は暖房付きガレージで保管されていました。車両のあらましとオークション結果をお伝えします。
365BBからの最終進化形ともいえるアップデートを施した512BBi
フェラーリは「365GT4BB」を擁してスーパーカーの王座へと返り咲いたのち、その後継モデルである「512BB」ではより現実路線を歩むこととした。
その際にフェラーリは、モデル名を1気筒あたりの排気量で表記する従来の慣例を廃止した。ディーノGTやレーシングマシンの命名規則を採用し、「512」は排気量5Lで12気筒であることを意味する。
この5Lユニットは、365BB用の4.4L 180度V12ユニットから、ボアとストロークの双方を拡大してスケールアップさせるとともに圧縮比も引き上げた。潤滑システムにはドライサンプ式を採用している。これらの改良しているが、公称パワーは365BBの380psから360psにダウンした。しかし、実用的なトルク特性が実現され、ギヤレシオの見直しなども相まって、ドライバビリティや扱いやすさは大幅に向上した。
ピニンファリーナが手掛けた独創的なボディワークへの変更点も、目立たないながらも多岐にわたる。その一方で、シャシーへの改良は最小限に留められた。すでに優れた性能を発揮していた全輪ベンチレーテッドディスクブレーキは変更なしだ。室内では、365BBでは固定式だったシートバックが多段階リクライニング式へと変更されたことは歓迎されたが、それ以外はほぼ従来どおりを維持した。
アメリカの名門自動車専門誌「ロード&トラック」誌は、前任モデルである365GT4BBで280km/hの最高速度を記録していた。テスト車両の512BBでは道路環境の制約から実測できなかったものの、フェラーリが公表していた最高速度302km/hは十分に現実的な数値であると評価している。
1982年、512BBはボッシュ製Kジェトロニック燃料噴射を搭載した512BBiへとアップデートされた。最高出力はさらに20psダウンの340psとなったものの、低回転域での出力特性が向上し、トルクはさらに増加した。




























































































































































