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オートモビルカウンシル2026に集結した、WRC王者デルタがレストモッドで遂げる進化とビアジオンやアモスが贈る伝説の新たな鼓動!

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

  • オートモビル カウンシル 2026に登場したレストモッド。デルタをベースとした「フトゥリスタ」(写真手前)と「マルティーニ」(写真奥)
  • アモス社が手がけた「フトゥリスタ」。デルタの面影を残しつつ、3ドア化やカーボンボディを採用した究極のレストモッドだ
  • あえての3ドア化でグループBマシンへのオマージュを捧げたリアビュー。現代の技術で再構築された、ベース車とは一味違う画す造形美をもつ
  • 幻のエボ3構想を具現化した「デルタEvoマルティーニ レーシング」。公式ライセンスのストライプが美しく輝く
  • ヘッドライトは間近で見ると現代的な印象になる
  • 大胆に3ドア化されたフトゥリスタ。フェンダーの迫力に見惚れる
  • 足元を引き締める専用ホイール。現代の技術で剛性も向上している
  • カーボンボディを採用したフトゥリスタの美しいサイドビュー
  • ディに輝くエンブレムが特別なモデルを主張している
  • ホイールは当時の純正ホイールをリスペクトしたデザインになっている
  • マルティーニカラーのラインが施された美しいリアビュー。スポイラーのロゴは手書き風になっている
  • ランチア デルタHFインテグラーレ:排気効率を見直したエキゾーストがリアの迫力を強調する
  • 日本に1台のみ輸入されたという貴重な12号車
  • 空力性能を意識したリアディフューザーが目を引く
  • 名車のボディラインを生かしつつも各所が大胆にアップデートされている
  • ダウンフォースを発生させる可変式リアウイングのギミック
  • 角度調整機構を備えたスポイラーはデルタならではの特徴のひとつだ

名機ランチア デルタが現代技術で蘇る! 注目のレストモッド2台がオートモビル カウンシルに登場

2026年4月、千葉・幕張メッセで開催された「オートモビル カウンシル 2026」のテーマ展示「クルマの粋人が注目する新たな潮流〈レストモッドの世界〉」に、WRC 6連覇の名機ランチア「デルタHFインテグラーレ」をベースとした希少な2台が登場しました。WRC王者ビアジオン氏が手がけた幻のエボ3の具現化と、大胆に3ドア化を施したフトゥリスタの開発背景と最新技術を駆使したディテールをレポートします。

時空を超えたラリー界の至宝、オートモビルカウンシルの舞台で脚光を浴びる「ランチア デルタ」がレストモッドで進化

近年、毎年4月に千葉・幕張メッセで開催される「オートモビル カウンシル」では、主催者のセレクトによる「テーマ展示」がメインスペースを飾るのが恒例となっている。2026年4月10日から12日にかけて開催された今回のテーマは、「クルマの粋人が注目する新たな潮流〈レストモッドの世界〉」および「Designed by ピニンファリーナ」だ。本稿では、前者の展示に登場した「ランチア デルタHFインテグラーレ」のレストモッド車両2台にスポットを当てる。

「レストモッド(Restmod)」とは、「レストレーション(レストア)」と「モディフィケーション(改造)」を合わせた造語だ。古いクルマをレストアする際に現代のテクノロジーを部分的に導入し、まったく新しいクルマを創り上げるムーブメントを指す。とくに2020年代以降は続々と新ブランドが台頭しており、欧米から日本にいたるクラシックカー界でひときわ注目を集めている。

今回のオートモビル カウンシル 2026でステージを飾った2台は、「デルタEvoマルティーニ レーシング」と「ランチア デルタ インテグラーレ フトゥリスタ by アモス」だ。いずれも、ラリー競技史に残る傑作「ランチア デルタHFインテグラーレ」をベースにしたレストモッドモデルである。

ランチア デルタHFインテグラーレは、1987年シーズンから施行されたFIA「グループA」規約時代のWRCにおいて、開幕初年から1992年シーズンまで6シーズン連続でマニュファクチャラーズタイトルを獲得した名機だ。高出力のターボエンジンを横置きに搭載しながらも、センターデフを介したフルタイム4WDを実現した先駆的なメカニズムは、「トヨタ セリカGT-Four」や「三菱 ランサーエボリューション」といった後のモデルにも大きな影響を与えた。ロードカーとしても圧倒的な支持を集め、今なお世界中のクルマ好きを魅了している。

元WRC王者ビアジオン監修、公式マルティーニカラーを纏い具現化した最大8台の「幻の進化型デルタEvo3」

2021年に発表され、最大8台のみが限定製作される「デルタEvoマルティーニ レーシング」は、ラリーカーおよびロードカーとしての資質を現代のテクノロジーでさらに高めたモデルだ。インテグラーレの進化型である「エヴォルツィオーネ」「エヴォルツィオーネ2」に続いて開発されながらも、コスト面から計画が中断された「エヴォルツィオーネ3」の構想を昇華させたものである。

プロジェクトを主導するのは、1988年と1989年のWRCで2年連続のワールドチャンピオンとなったミキ・ビアジオン氏だ。WRCの現場で培った豊富な経験をベースに、シャシーの捻れ剛性を高めるとともに、サスペンションやブレーキにも最新のコンポーネントが投入されている。

搭載エンジンは2.0Lの直列4気筒DOHC 16バルブターボで、当時のグループA仕様チューンをベースとしている。モータースポーツ用ECUマップへスイッチで切り替え可能であり、通常時は220ps、最大で340psを発揮する。

さらに、WRC連覇時代のスポンサーであった「Martini & Rossi」社からの公式ライセンスを受けた「マルティーニカラー」のデザインラインが、すべての車両に施されている。このカラーリングを市販のカスタム車両に公式採用する許可を得るのは、現代の商標管理において極めて困難だ。ビアジオン氏の輝かしい実績と深い関係があるからこそ実現した、特例のコラボレーションといえるだろう。

3ドア化で伝説のシルエットを再定義、日本唯一「ランチア デルタ インテグラーレ フトゥリスタ by アモス」の全貌…

もう1台の「ランチア デルタ インテグラーレ フトゥリスタ by アモス」は、オリジナルのボディラインを活かしながらも、5ドアからリアドアを廃した3ドアへと大胆に改修したレストモッド車両だ。この改修は単なるデザイン的アプローチにとどまらない。当時のグループBマシン(ランチア「デルタS4」など)のピュアレーシングシルエットへのオマージュであり、同時に5ドアハッチバックのボディ剛性を根本から引き上げるための機能的な改造でもある。

イタリアのレーシングドライバーであり、自動車コレクターとしても名高いエウジェニオ・アモス氏が設立した「アウトモービリ アモス」社によって2018年に発表された。2022年までに20台が限定製作されており、今回の展示車両は日本に唯一輸入された12号車とのことだ。

ボディワークを担当したのは、ミラノを拠点とする「ボッローメオ デ シルヴァ」社だ。「ランボルギーニ ディアブロ」をベースにしたレストモッド「エッチェントリカ ディアブロ」への関与で世界的に名を上げ、フランスのナルドン オートモーティブ社による「ポルシェ 928レストモッド」でもボディワークを担当するなど、このジャンルの草分け的なデザインスタジオとして広く認知されている。

パワートレインは、オリジナルの2.0L直列4気筒16バルブターボをベースとしている。吸排気系や冷却系の見直しに加え、最新の制御システムを導入することで、最高出力を330psに引き上げた。インテリアもアルカンターラやカーボンを活かしたスパルタンかつゴージャスな仕立てで、オリジナルのエッセンスをさらに昇華させている。

名機が現代のテクノロジーと情熱によって新たな価値を与えられ、次の時代へと受け継がれていく。レストモッドという潮流は、旧車趣味の中でもひときわ熱い注目を集め続けるだろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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