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現行型の時代到来か!? スズキ「HA37アルト」でテストを続けるラインナップレーシングの「次世代軽レース開発車両」の現在地

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 東北660シリーズ大会事務局  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

  • スズキ HA37 アルト:HA36アルトを時代の主役に押し上げた、ラインナップレーシングの松山さんとドライバーの梶井さん。HA37の熟成にも乞うご期待!
  • スズキ HA37 アルト:エンジンは吸気系を含めノーマル。変更はオリジナルのECUと電装系パーツ程度だ。ユーザーがまったく同じ仕様を作れるのも嬉しい
  • スズキ HA37 アルト:HA36ではECU解析のパイオニアとして知られるラインナップレーシング。HA37用も発売中なので気になる人は問い合わせてみよう
  • スズキ HA37 アルト:ストレートのシングル出しで見た目もスポーティなマフラー。保安基準適合で音量もほどよいためストリート中心のユーザーにも最適
  • スズキ HA37 アルト:足まわりはボルドワールドとのコラボ。ストリートはしなやかで快適に、サーキットではしっかり粘る特性。キャンバー調整も可能だ
  • スズキ HA37 アルト:多くのユーザーがポテンザRE-71RSをチョイスするなか、DIREZZA ZⅢでレースに挑んだ。ホイールはVOLK RACING TE37
  • スズキ HA37 アルト:室内はしっかりとサーキット仕様に作り込んでいる。HA36より増えた車重を考慮し、ロールケージの素材は軽量なクロモリを選んだ
  • スズキ HA37 アルト:主戦場はストリートだがレースに参加するからには、安全装備を妥協しないのがラインナップのこだわり。サイドバーも装着している
  • スズキ HA37 アルト:レーダーブレーキサポートなどを取り払ったレース車両ではなく、ナンバー付きの車両を前提に取りまわしを工夫したフロントまわり
  • スズキ HA37 アルト:HA37のサーキット仕様は世界初⁉︎ まだまだ発展途上とはいえ将来性は示すことができた。ECUを筆頭にさらなる進化を期待したい

サーキット仕様のスズキ「HA37 アルト」が東北660選手権に登場! アルトの名匠が解析した未知のマシンの実力

軽自動車による草の根モータースポーツの世界において、ベース車両の世代交代はつねに大きな関心の的となります。そんななか、先代モデルである「HA36 アルト」をレースの主役へと押し上げた名門「ラインナップレーシング」が、いち早く現行型のスズキ「HA37 アルト」をサーキットへ持ち込みました。現代のクルマならではの強固な電子制御の壁に挑みながら、次世代マシンとしてのポテンシャルを徹底検証した、注目のテスト走行の模様をお届けします。

兵庫から電撃参戦! HA36アルトを軽自動車レースの主役に押し上げたラインナップレーシングの次なる刺客

2025年12月6日、スポーツランドSUGOで東北660選手権の特別戦が開催され、とあるマシンがエントラントとギャラリーの注目を集めた。それが、兵庫県から持ち込まれた現行型のスズキ「 HA37 アルト」である。製作したのは、先代にあたるスズキ「HA36 アルト」の開発にいち早く着手し、軽自動車レースの主役に押し上げたラインナップレーシングだ。

常に新しいことへのチャレンジを忘れない同ショップの松山代表は、HA37 アルトがデビューした直後から開発をスタートしていたという。まだ発展途上ではあるものの、安全装備などサーキットを走らせるための準備が整ったため、実力チェックとデータ取りを兼ねて参戦を決めたという。まずは取材時点の仕様を紹介しよう。

ECUの壁と独自の吸排気チューン! ストリート志向のセッティングでも高いパフォーマンスを発揮

エンジン本体は東北660のレギュレーションどおりノーマルで、ECUはラインナップレーシングの代名詞ともいえるオリジナルに変更されている。パワーやトルクを上げる部分のデータは書き換えられたものの、スピードリミッターとレブリミッターは強固なプロテクトを突破できなかったという。直線の長いスポーツランドSUGOではこの両リミッターが大きなハンデになるという。もっとも、ストリートや車速の高くないミニサーキットなら、ノーマルとは異次元のパワフルさを味わえるのは確実だろう。

保安基準に適合したオリジナルのマフラーも製作している。メインパイプは42.7φ、テールパイプは60φで、低速トルクを損なわず鋭いレスポンスも味わえる設定だ。HA36 アルトでも大ヒットしたオリジナルの電装系パーツにも注目したい。コストダウンを目的とした純正アースに代えて電圧の減衰を抑制する「プレミアムアース極」と、イグニッションコイルやオルタネーターへ供給する電力を安定させる「919ワイヤー」は、サーキットの上り勾配やストリートでのちょっとした加速シーンでも違いを体感できるという。

足まわりはボルドワールドと共同開発の車高調を装着する。あくまで主戦場はストリートと捉えながら、幅広い減衰力や車高の調整幅でレースにも対応する仕様だ。ハイグリップタイヤとの相性もよく、当日の冷えた路面でも安定したグリップと高いコントロール性を発揮していた。

HA37 アルトの課題「電子制御とリミッター」克服で次世代の主役へ! CVTを武器に道を切り拓く道標に!

サーキット仕様を作るにあたり、工夫が必要だったのはロールケージだ。HA37 アルトはフロントガラス後方にレーダーブレーキサポートなどの装備が集中しているため、安全かつ東北660のレギュレーションを満たすパイプの取りまわしに頭を悩ませたという。結果としてルーフ前端から少しリアにオフセットしたが、視認性は問題なくヘルメットをぶつける危険性も少ない。リアまわりはHA36 アルトと同様に斜行バーの入った7点式で、フロントの左右にはサイドバーも装着している。この辺りのノウハウは、HA37 アルト乗りには非常に参考になる部分だろう。

気になるタイムだが、やはりスピードリミッターが重荷となった。公式練習でのベストラップは2分4秒152。エントリーした4クラスは2ペダル限定で、上位陣の多くは2分を切っているため、現時点での戦闘力は正直に言ってかなり厳しい。

しかしHA37 アルトならではのメリットもある。その代表がCVT(無段変速機)だ。HA36 アルトのAGS(オートギヤシフト)はシフトダウンに車速の正確な制御が必須で、決勝中に失敗すれば残り周回数によっては致命傷になりかねない。その点、HA37 アルトのCVTならドライバーは基本的に何もしなくてよく、常に美味しい回転域を使ってくれるため、精神的な余裕も生まれる。

HA36 アルトの生産が終了して約3年。モータースポーツのベースとして全国的に人気が高まり、程度のいい中古車は枯渇し、価格も上昇を続けている。スピードリミッターの問題など開発がさらに進めば、次世代の主力はHA37 アルトになる可能性は十分ある。

軽自動車レースの世界において、ベース車両の世代交代は避けて通れない命題である。強固な電子制御の壁に阻まれながらも、いち早く次世代機に挑戦するチューナーたちの情熱こそが、日本の草の根モータースポーツの屋台骨はもちろん、HA37 アルトに乗るカスタマーたちへの道標ともなるので、この先の活動に大いに期待したい。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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