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[静岡ホビーショー:考察1] 子どもたちにプラモデルの楽しさを伝えるアオシマとハセガワが取り組む「作りやすさ」の追求

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

アジア最大の模型ショーが示した自動車プラモデルの新たな潮流

2026年5月13日から5日間に渡り、ツインメッセ静岡で開催されたのが「第64回静岡ホビーショー」です。アジア最大の模型ショーとして合計100社が出展し、ツインメッセ静岡の全館(西館/南館/北館)を埋め尽くす規模で盛り上がりを見せた本イベントのなかから、今回は自動車のプラモデルに的を絞ってレポートします。子どもたちへのプラモデル普及を目指した「作りやすさ」の追求や、カスタム仕様の躍進など、各メーカーが打ち出した新機軸とプラモデル業界の現在地を振り返ります。

子どもを取り込むための「作りやすさ」を重視した新機軸

2026年5月13日から第64回静岡ホビーショーが開催された。全世界規模のニュルンベルクトイショーとは比ぶべくもないが、それでもアジア最大の模型ショーである。出展者数も2025年の96社から、2026年は団体2社を含め合計100社と拡大した。もっとも会場となっている静岡ツインメッセのキャパシティの問題もあり、現状のスペースではそろそろ限界に近付いていた。また、一般入場者のチケット問題もあり(1〜2日で売り切れてしまうとのことだった)、2027年以降は改善していく方向だという。

2026年も自動車の模型に的を絞って、2回に分けて報告する。第1回はプラモデル編である。年々プラモデルを作る層が減少している印象を強く受け、その年齢層も上がっているという気がするのだが、だからこそなのか、静岡模型組合理事長の青嶋大輔は、毎年必ず行われる学童招待日について次のように記者会見で語った。

「学童招待日は静岡ホビーショーに絶対に必要であり、組合の考えと私個人の考えも一致しています。子どもに模型を知ってもらうことは組合として最重要事項だと考えています」

手軽な無塗装キットから上級者向けまで広がるプラモデルの選択肢

子どもというキーワードが重要であることは認識する。そして、子どもを取り込むための一助として、メーカーも作りやすさを重視したモデルを増やす傾向にあった。その先頭に立つのが、アオシマこと青島文化教材社である。アオシマは1/32サイズを中心とした、「楽プラ」と呼ばれる商品を展開していた。これは接着剤を使用せず、はめ込み型の工作で完成させることができ、外観も塗装の必要のない、いわゆる成型色のままで綺麗な仕上がりとなるモデルのことだ。

このはめ込み式で接着剤いらずの模型は、ほかにスナップキットという商品群もあって、簡略化されているものの再現性は高く、完成した時の見栄えもとても高いものだった。価格も1000円台後半から2000円を少し超える程度で購入でき(1/32サイズ)、財布にも優しい設定であった。

一方で精密に仕上がる上級者向きのモデルもあり、今回はタイヤが折りたたまれるバックトゥザフューチャーPart2のDMC「デロリアン」が、年内発売に向けて展示されていた。また、ドリフト人気にあやかってなのか、チューンドカーシリーズなるモデル群があり、ドリフト仕様で強いキャンバーをつけた状態から、キャンバー角を変えたり、車高を調整できる「エアサス・カスタム」なるモデルも登場した。

カスタムモデルの躍進とプラモデル業界を牽引する老舗の矜持

今回のショーでとくに目についたワードが、その「カスタム」だ。代表例はハセガワの名で親しまれる株式会社ハセガワである。原型にほんのひと手間のパーツを加えた、「カスタムバージョン」が目を引いた。また、ハセガワもアオシマの後を追って、「eもけ」とよばれる新商品を投入した。こちらもアオシマの楽プラ同様、塗装いらず、接着剤不使用で組み立てることができる商品で、あらかじめ4色の成型色が用意されているから、好みの色のモデルを買えば塗装の必要はなかった。

ちなみに株式会社ハセガワは2026年、創業85周年を迎えた。創業は1941年というから驚くことに、まさに第二次世界大戦開戦時に創業したことになる。ハセガワはアオシマとともに、自動車のプラモデルに力を入れているブランドで、「作りやすく」と「手ごろな値段」を、この両メーカーは守り続けていた。

そんなプラモデル業界にあって、盟主ともいえる存在がタミヤである。ただ、残念なことに、近年自動車の模型は徐々にフェードアウトしていく傾向にあるのか、今回もまったくの新製品はタミヤから出てこなかった。会場に展示されていたのはオールドミニ(BMC「ミニ」)と、本物が近年日本復帰を果たしたシュニッツァー仕様のトヨタ「セリカターボ」の2モデルのみ。どちらも金型に手を加えてはおらず、新しいデカールでカスタマイズした製品となっていた。タミヤからは、まだプラモデル初心者向けのモデルは出ていなかった。

輸入プラモデルを手掛けるプラッツは、マカオのビーマックス、イタリアのイタレリ、フランスのエレール、アメリカのAMTやJRモデルなど多くを手掛けるが、今回はビーマックスのBMW「3.0CSL」ニュルブルクリンクウィナーと、1981年のルマンを走ったマツダ「RX-7 253」が新製品として登場していた。どちらもサイズは1/24である。

モータリゼーションの発展途上にある東南アジアでは、自動車のプラモデルはまだまだ主役である。日本での自動車プラモデル人気も、ふたたび復活してほしいと願うばかりだ。

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

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