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フィアット「X1/9 」の生産終了特別仕様が約262万円!? クラシックスポーツカー市場で穴場モデルか?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: iconicauctioneers  FACT CHECK: 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)

生産最終年にあたる1989年式限定モデルの落札価格

2026年3月、アイコニック オークショネア主催のオークションに出品されたX1/9は、英国マーケット向けに輸出され、フィアットブランド名で販売されたうちの1台だ。生産最終年にあたる1989年、主に英国を中心に限定販売された、ファイナル記念エディションの「フィアット X1/9 グランフィナーレ」である。

1989年に英国内で初登録され、新車から長らく一家族が所有。雨の多いイングランドではなかなか困難なことながら、可能な限り乾燥した環境でのみ使用したのち、フィアット愛好家である現オーナーのプライベートコレクションに加わったとのことである。現在に至るまでとくにモディファイが施された形跡はなく、新車当時のオリジナル仕様とディテールの特徴を保持した状態での出品となった。

たしかにボディカラーは、新車としてグルリアスコのベルトーネ工場から送り出されて以来の「メタリック マイカレッド」が良好なコンディションを保ち、ディテールについても生産時の仕様が保持されているようだ。なかでも、黒地にマルチカラー柄のファブリック製シート表皮はコンディションに優れ、アイコニック オークショネアでは「現存する最良のX1/9のひとつ」と標榜していた。

ただし、同社の公式オークションカタログの写真から見る限りは、レザー巻きのステアリングホイールや樹脂製のインストルメントパネル周辺に年式相応の擦れ傷などが目立ち、われわれ日本人の感覚からすれば、極上コンディションというには少々物足りないようにも映る。

この公式カタログ作成時点での走行距離は、3万3430マイル(約5万3490km)。これまでのボディ修理やレストアの経歴はないと考えられている一方、最近では英国シュロップシャー州テルフォードのTJヴィッカーズ(フィアットの正規ディーラー)が、タイミングベルトとクラッチを交換するなどのメンテナンスが施されたと申告されている。また、ベルトーネの純正ハンドブックパックは添付されるものの、初代オーナーファミリーの家が片付けられた際に、補足ドキュメントは紛失してしまったとのことであった。

アイコニック オークショネアでは、その公式カタログ内で「ミッドシップマウントの4気筒1.5リッターエンジンと5速マニュアルギヤボックスを搭載し、バランスの取れたハンドリングと親しみやすいパフォーマンスを提供するX1/9は、現在では愛好家の間でますます求められています。なかでもこのグランフィナーレは、フィアットの特徴的なミッドシップスポーツカーのなかでも丁寧に管理され、走行距離の少ない1台です」とアピールするかたわら、今回の出品にあたって1万2000英ポンド~1万5000英ポンド(邦貨換算約254万円〜315万円)のエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

英国市場と欧州大陸で異なるX1/9の市場評価!?

そして迎えたオークション当日、バーミンガムNECで行われた競売では、エスティメートの範囲内に収まる1万2375英ポンドまでビッド(入札)が進んだところで落札。すなわち現在のレートで日本円に換算すると、約262万円で競売人のハンマーが鳴らされることになったのだ。

この日本円換算の落札価格を見る限りは、なかなかの高価格にも映る。しかし、これは円安のレートだからのことであり、このオークションについていえばエスティメートの段階から、欧州での販売実績と比べると安価な設定だったようにも感じられる。

生産国のイタリアをはじめとする欧州大陸では、ベルトーネ ブランド時代のX1/9はコンディションの良いものならば、おおむね2万ユーロ(現在のレートで約370万円)を超える価格帯にある。そのかたわら、イギリス市場においては今回の落札価格も常識的なもの。

それが英国市場の志向なのか、あるいは今後は英国でも欧州に追随して高騰するかは、もしもX1/9を手に入れたいと切望する奇特なエンスージアストならば、この先もその動向に注視する必要があるだろう。

※為替レートは1英ポンド=約212円で換算

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 山本 亨(YAMAMOTO Tohru)
  • 1960 年生まれ 大学卒業後ベストカーガイド編集部勤務。1990年オートスポーツ誌に転職、1992年F1速報誌(アズエフ)編集長。1995年月刊ビデオマガジン編集部に転職、1996年ベストモータリング編集長(のち局長兼務)。2005年ネコパブリッシング・イベント本部長/4輪編集局長兼務。2015年交通タイムス社に転籍、2020年より現職(総編集局長)自動車の分野に問わずオールマイティだが、特に旧いモータースポーツとクラシックカーに造詣が深い。愛車は1969年DATSUN Fairlady SRL311/YAMAHA RD250ほか

 

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