ステアバイワイヤの普及が、自動運転時代の到来を左右する
「人とくるまのテクノロジー展2026」開催中の2026年5月28日、ジェイテクトのステアバイワイヤシステム「Syncusteer™(シンカステア)」が第76回自動車技術会賞・技術開発賞を受賞しました。ハンドルとタイヤをつなぐシャフトを持たないこの技術は、すでにレクサス「RZ」に搭載されており、自動運転時代を切り拓く可能性として注目されています。
人とくるまのテクノロジー展の会期中、技術開発賞を受賞
2026年5月28日、株式会社ジェイテクトは、公益社団法人自動車技術会が主催する第76回自動車技術会賞において、ステアバイワイヤシステムで技術開発賞を受賞した。まさに「人とくるまのテクノロジー展2026 YOKOHAMA」が開催されている最中のことだった。
ジェイテクトはこのステアバイワイヤシステムを「Syncusteer™(シンカステア)」と名付けて商標登録を出願しており、すでにレクサスRZ 550e “F SPORT”に搭載されて商品化されている。
シャフト不要の構造が生み出す、安全性とレイアウトの自由
ステアバイワイヤとは、既存のステアリングシステムとは異なり、ハンドルと転舵部分をつなぐステアリングシャフト(操舵力を伝える軸)が存在しない方式だ。ハンドルの操作は電気信号へと変換され、タイヤの向きを変える転舵部分を制御する仕組みとなっている。
おそらく現在の自動車で最も大きなメリットは、シャフトが存在しなくなることで、フロントコンパートメント内のレイアウトに自由度が生まれることだ。衝突の際にシャフトが車室内に侵入する危険もなくなるため、安全性の向上にもつながる。
さらに、ハンドル位置に左右されないという点も大きなメリットだ。右ハンドルでも左ハンドルでも、同一の機構で対応できる。電動化との親和性が高く、油圧系の作動油が不要なことから、生産工程のシンプル化にも貢献する。

電源2系統のバックアップが確保するフェイルセーフ
気になるのは、万一電気的な接続が失われた場合の車両コントロールだ。ステアバイワイヤにはジェイテクトに限らず、各社必ずバックアップが設けられている。ジェイテクトも2系統の独立した電源を装備することで、緊急時の操舵機能を確保している。
シャフトが不要になるのだから当然軽量化につながると思われがちだが(筆者)、実際には重量面では重くなるそうだ。ちなみにバイワイヤ技術はもともと航空業界から転用された技術だ。スロットルバイワイヤはすでに当たり前となり、ブレーキバイワイヤも着実に普及しつつある。そして最後の砦ともいえるのが、このステアバイワイヤだ。
「ステアリングをしまう日」はもう遠くない
現状、価格面でのコスト増が課題とされており、ステアバイワイヤの採用は高級車が中心で、広く普及するには至っていない。だが将来的に自動運転が現実となれば、ステアリング操作を必要としないシーンが生まれてくる。
そうした状況でステアバイワイヤがあれば、ステアリングを格納することが現実的に可能になる。空いたスペースを活用して車内でPCを使った仕事をするといった、新たな展開も実現するかもしれない。バイワイヤシステムの普及は自動運転に直結する技術だけに、最後の砦ともいえるステアバイワイヤの普及が、新たな自動運転時代到来のカギを握る。





































