ローハンによる3色のグラインダータトゥーを施したハリアーに驚く
純正のフォルムを保ったまま、これだけ強烈な個性を放つ80系トヨタ「ハリアー」が存在する。ホワイトのボディにグラインダータトゥー(金属表面を研磨して模様を描く加工)を大胆に配しながら、全体のバランスは見事に保たれている。オーナーである“なん★サン”さんは、山口県から名門カスタムブランド「ローハン」のファクトリーがある奈良県まで通い詰めてこの圧倒的なクオリティを実現した。純正のシルエットを崩さずに独自の色使いを随所へ仕込んだ、情熱あふれる極上カスタムの全貌が明らかになった。
純正シルエットを崩さない80系トヨタ「ハリアー」のカスタムコンセプトとは
純正シルエットを崩さない。これがオーナーの“なん★サン”さんが貫いたこだわりである。ベースとなるのは、2020年に4代目へとフルモデルチェンジした80系のトヨタ ハリアーだ。クーペのように伸びやかなルーフラインを持つ流麗なボディをあえて大きく変形させず、随所に見せ場を仕込む手法を選択した。
足元にはモデリスタのエアロパーツを装着し、実用性を意識したローダウンを実現している。車高調(車高調整式サスペンション)にはテイン「フレックスZ」を組み込み、日常でも扱いやすいセッティングにまとめた。ホイールはTWS「EX-fLデザインSUV」のフォージド(鍛造)タイプで、サイズはフロント・リアともに20×8.5J・インセット40である。タイヤはトーヨー「プロクセスCL1 SUV」の245/45を組み合わせた。高級さとスポーティさを両立させた足まわりが、純正基調の車体をしっかりと引き締めている。
ローハンのグラインダータトゥーをレッド・オレンジ・スノーホワイトで色分けした狙い
この車両最大の見せ場が、遊び心にあふれたカラーコーディネートである。モデリスタのエアロに備わるメッキ加飾部すべてに、グラインダータトゥーを施工した。しかもコーナー部はレッド、リップ部はオレンジと、ホワイトボディにあえて対照的な色味を組み合わせている。

ボンネットと給油口には、青みを帯びたスノーホワイトのグラインダータトゥーを採用した。その青みに合わせるかたちで、ガナドールのマフラーはチタンカラーを選択している。色から生まれる連続性を意識した、緻密な組み立てである。リアゲートのガーニッシュ部にはエングレービング(彫金)加工を施し、模様のなかにハリアーマークをさりげなく忍ばせた。金属表面を削り出し、その上に何層ものキャンディクリアー塗装を重ねて仕上げられるグラインダータトゥーは、圧倒的な輝きを放つ一方で、飛び石による被膜の欠けや紫外線による退色を防ぐためのシビアな保管環境が求められる。非常に高額な施工費用に加え、その美しさを維持し続けるためのランニングコストと労力も並大抵のものではないが、それらを乗り越えてこその圧倒的な美しさが宿っている。これだけ複数の色が入りながらも全体の調和が保たれている点は見事だ。
樹脂製ドアミラーをタトゥー風に塗装! 山口から奈良まで通って理由
加工の精度と完成度にこだわり抜いた結果が、遠征という選択につながった。山口県周南市に暮らす“なん★サン”さんは、世界的なカスタムペインターである井澤孝彦氏が率いるブランド「ローハン」のファクトリーがある奈良県まで通って施工を依頼した。本家の技術で入れたグラインダータトゥーは、そのアピール度が絶大である。
技ありといえるのがドアミラーの処理だ。金属ではない樹脂部分にはタトゥーを入れられないため、あえて塗装でタトゥーの質感を再現した。オレンジが効いたアクセントとなり、車両全体のカラーテーマとも呼応している。アベストのミラーカバーにローハンの塗装を組み合わせるという合わせ技も見どころのひとつだ。

インテリアも抜かりない。ダッシュボードやAピラー(フロントガラス両脇の柱)はグラージオで張り替え、メータークラスターも同ブランドで塗装した。ヘッドレストには2枚のモニターを追加し、チューニング面ではGR用のパフォーマンスダンパーを組み込んでいる。純正感を守りながら見せ場を散りばめるという狙いは、内外装のすみずみまで一貫している。
純正の雰囲気を失わないことを軸に据えながら、ローハンの卓越した技術を存分に取り入れて1台を仕上げた。派手な色を複数投入しても崩れない絶妙なバランス感覚は、施工先への厚い信頼と、遠路をいとわず通い続けた情熱があってこそ成立する。常識にとらわれない色使いのなかに、オーナーの美意識がしっかりと息づいている。
































