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「GT-R」ではない「R32スカイライン」について語ろう! 日産が誇る名車「8代目スカイラン」とは

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TEXT: 佐藤幹郎  PHOTO: 日産自動車/Auto Messe Web編集部

利便性を多少犠牲にしてでもボディ剛性を追求

 そしてこの時期に日産が掲げた901運動(1990年代までに技術の世界一を目指す、クルマ作りを目標とした運動)をご存じの方も多いと思うが、じつはボディの作り込みからして走りにこだわった。室内空間は狭く、トランクはバンパー付近から開く大開口タイプが主流となるなかで、R32スカイラインは開口部が狭い設計を採用。全高もローレルやセフィーロよりも低い1325mmに抑えられ、細部にまで突き詰めたボディ剛性を最大限に引き出そうとしていたことが、これらの設えから理解することができた。

 サスペンションは4輪マルチリンク式を採用して走りの良さを追求。同時期の6代目ローレルと初代セフィーロもすべて同じ方式が採用されていたと思われがちだが、4輪すべてがマルチリンク式なのはスカイラインだけで、上記のローレルやセフィーロの4WD車こそ4輪マルチリンク式だが、FR車のフロントはストラット式であった。

 ちなみにマルチリンク式はメルセデス・ベンツが先鞭をつけた当時話題の新しいサスペンション形式で、日産は研究を積み重ねて満を持してスカイラインに採用。その理由は、やはりGT-Rがあることに加え、スポーツクーペがあったことだろう。スカイラインはそれだけ走りにこだわったモデルなのだ。

1.8L直4から2.6L直6ツインターボまで多彩なエンジンをラインアップ

 エンジンは直4の1.8L(CA18S型)から直6ターボの2.6L(RB26DETT)まで、多彩なラインアップであった。直4なんてあったの?(1.8のグレード名はGXi)という声が聞こえてきそうだが、元々直4からスタートしたスカイラインのエンジンは、8代目のR32スカイラインまで搭載されており、安価なスカイラインとして支持されていた。

 そして7代目(セブンススカイライン/R31型)から採用されたRB型直6エンジンは実力派揃いで、SOHCのRB20DE(GTEグレードに搭載)は最高出力125ps/5600rpm・最大トルク172N・m/4400rpmのスペックを持ち、レギュラーガソリン仕様ながら低回転のトルクが分厚く、他モデルよりも0→60km/h加速なら抜群の瞬発力を誇ったほど。当然、MTで適切なペダル及びシフト操作が必要になるわけだが、非力なエンジンゆえにかえってアクセルペダルをたくさん踏めることから密かなファンも多かった。

 売れ筋モデルのGTSに搭載されたRB20DEは、最高出力155ps/6400rpm・最大トルク184N・m/5200rpmと凡庸ながらも、DOHCらしい伸びやかさと直6ならではの好バランス、高回転まで回るエンジンを楽しむことができ、充実した標準装備もあったことで好調なセールスを記録。ひとりでドライブしても勿論楽しいのだが、普段から家族や荷物を載せていても十分なパワーがあり、ゆとりあるスポーツモデルであった。

 GTS-tタイプMに搭載された2L直6DOHCターボのRB20DETは、最高出力215ps/6400rpm・最大トルク265N・m/3200rpmのターボならではの高出力が魅力で、GT-Rの影に隠れがちだがFR車を操る楽しさ、4ドアの利便性(2ドアもあるが)などなど数々の魅力にあふれ人気を博した。なおRB20DETを搭載するGTS-4にもGT-Rと同じ4WDシステム「アテーサE-TS」が備わり、GT-R(RB26DETT)ほどの高出力はいらないものの、瞬発力のある走りが欲しいというユーザーからも支持されていた。

2.0L直6DOHCのRB20DETエンジン

4ドアのスカイラインGT-R“オーテックバージョン”も誕生した

 その後、1991年のマイナーチェンジでGTS25に搭載の2.5L直6DOHCのRB25DE(最高出力180ps/6000rpm・最大トルク226N・m/5200rpm)を搭載したモデルや5速AT仕様を追加。1992年にはオーテックジャパンが手掛けたスカイラインGT-Rの4ドア車で、もちろんRB26DETTをNA化した専用エンジンを積むオーテックバージョンも発売。多くのファンから支持された結果、充実したマイナーチェンジや追加モデルの登場もあってR32スカイラインは現在でも中古車市場で人気を集めている。

 そしてその素晴らしさはR33、R34へと継承され、現在ではスカイラインから独立してGT-Rと離別してしまったものの、スカイラインの長い歴史のなかで紆余曲折しながらも常に走りを追求──とくに901運動により格段に走行性能を高めたR32型以降のスカイラインは、上質なスポーツサルーン&クーペであり続けた。

* * *

 残念ながら現行型のV37スカイラインは日産唯一のFRセダンとなってしまったが、今後もスカイラインの名は継承されていって欲しいし、GT-Rが神格化されるなかでその礎を築いたスカイラインは、電動化を急ぐ日産において、今後も存在感を示し続けていって欲しいと切に願うばかりだ。

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  • R32型スカイラインGT-R
  • 2.0L直6DOHCのRB20DETエンジン
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