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なぜ日産「エクサ」は「着せ替えカー」になれなかった? Tバールーフ脱着だけでも楽しい自由なクルマでした【カタログは語る】

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

日本仕様では別個の2モデルとして販売されることに

ただしここで残念だったのは、クーペ、キャノピーで形状が違うことから法規上は別のクルマと見なされてしまい、なのでクーペをキャノピーに着せ替えて1台で2通りに楽しむ……ということができなかったこと。実際にはルーフ部分をボディに止めるヒンジ部分のパーツがわざわざ違えてあって(たしかネジ山の違いと聞いた覚えがある)、物理的にも着せ替えは不可能だった(そのヒンジ部分を丸ごと輸出仕様か何かに取り換えて不可能を可能にする手段はあった、とも。筆者だったら即刻その手段を使うべく、パーツの手配に奔走したことだろう)。まあ、そうした無粋な事情にさいなまれた当時のオーナーは、ちょっと気の毒だった気もする。

とはいえエクサでは、キャビン部分もTバールーフ状になっており、左右分割でルーフが脱着可能になっていた。外したルーフはラゲッジルームの専用スペースに格納できるようにもなっていた。つまりクーペ、キャノピーのいずれのモデルもルーフを取り外し、さらにリアハッチ部分も外せば、このフルオープン状態で相当に開放的なドライブが楽しめたはずだ。なお実車は4人乗りで、一応、後席も用意されていたが、見るからに簡素なこのシートのことをカタログでは「2マイルシート」と呼んでいる。初代ホンダ「バラードスポーツCR-X」の「1マイルシート」に対抗しての表記かどうかは未確認だが……。

インテリアも先進的で走りもしっかり楽しめた

なおインテリアもさりげなく先進的なデザインが採用されており、メーターナセル左右に集中スイッチ(左:ハザード、ワイパー、右:ライト、リアデフォッガー)が設けられたり、ドアに格納タイプの空気吹き出し口を備えたりしていた。また同世代のパルサー同様にJBLのスピーカーもディーラーオプションで用意された。ヘリンボーン柄のシート表皮(共布はドアのインサート部分にも採用)など、決して軽々しくない大人のパーソナルカーの雰囲気ももっていた。

搭載エンジンはCA16DE型(120ps/14.0kg-m)の1.6Lツインカム16バルブ。当時のパルサー同様に粒立ちのいい音とパワーフィールで爽快な走りが楽しめたと記憶している。Tバールーフを前提にボディ各部に二重ボックス構造を採用するなどして、(ベースのパルサーも当時のVW「ゴルフ」並みだったから)ボディ剛性も十分な高さを確保していたことも見逃せない。今でも通用するのではないか? と思わせられる、スマートで個性にあふれたクルマだった。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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