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納屋物件「ディーノ206GT」が約6700万円! オンボロでも「腐ってもフェラーリ」高額の理由を解説します

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

予想をはるかに上回るハンマープライス、その理由は?

今回「Lost & Found Collection」から出品されたディーノ206GTは、1968年10月25日に生産を完了し、イタリアのペルージャにあるフェラーリ・ディーラー「ロメオ・ペディーニ・アウトS.r.l.」に新車として納車された個体。新車時のカラーは「ロッソ・ディーノ」で、「マローネ(茶)」の本革/「パンノ・グリージョ」クロスをあしらったインテリアが組み合わされていた。

1968年12月6日に、最初のオーナーであるウンブリア州アッシジ在住のウーゴ・ボスカのもとに納車されたのだが、翌年7月には早くも2番目のオーナーであるパオロ・ピエトロ・ラッタンツィに売却されてしまう。

ラッタンツィはマルケ州グラナーロに居住し、ナンバープレート「AP 91249」を付けて再登録。1974年4月には、マルケ州サン・ベネデット・デル・トロント在住の3代目オーナー、ジュゼッペ・パーチに売却された。

1970年代後半になると、この206GTは同じサン・ベネデット・デル・トロントにある「カロッツェリア・ルリーニ」に移り、現在でも同社特製の登録プレート枠がリアのナンバープレートを縁どっている。そののちウォルター・メドリンの手にわたり、1977年5月にアメリカに輸出された。

この206GTは、包括的なフルレストアを必要としているものの、ナンバーマッチのエンジンとギアボックスが残されているのは特筆すべきトピック。また、クロモドラ社製のマグネシウム合金ホイールや、「Dino」ロゴ入りのウッド製ステアリングホイールなど、新車時のオリジナルが完全に維持されている。

ディーノ206GT

約30年ぶりに日の目をみることになった、この希少なディーノ206GTには、イタリアに居た時代の保険登録証や、1977年に輸出された際のドキュメントなども残されている。くわえて、マローネ/パンノ・グリージョのコンビによるインテリアに、ロッソ・ディーノという魅力的なオリジナルカラーをまとったこのモデルは、完全なレストアを施すのに最適な候補となることが、オークションカタログでもうたわれていた。

このバーンファインド206GTに、RMサザビーズ北米本社は25万ドル~35万ドルという、現状のコンディションからすれば納得のエスティメート(推定落札価格)を設定していた。これは、現状の206GTの相場からすれば半額以下に相当する。

そして8月17日の競売は「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で出品されたのだが、終わってみれば45万6000ドル、日本円に換算すれば約6670万円という予測を遥かに超えるプライスで落札されることになった。

これからフルレストアを行うならば、おそらくはこの落札価格を大幅に上回る費用を投ずる必要があるとは思われるのだが、それでもこの個体のオリジナリティや、元バーンファインドであることも含めたヒストリーには、それだけの価値があるとみなされたということだろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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