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16年27万キロ走ってわかった、日産「R35 GT-R」の初期型にあって最新型にないものとは?

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TEXT: GT-Rマガジン編集部(GT-R Magazine)  PHOTO: GT-Rマガジン編集部

  • R35GT-Rのイメージ
  • 現在はニスモS1エンジンを搭載している
  • 撮影時はRAYS VOLK RACING GT090を装着していた
  • S1エンジンに合わせ、ニスモのチタン製マフラーを装着
  • フロントフェンダー/フロントスポイラー/サイドスカート/Addオンリヤスポイラー/ディフューザー フィンなどはすべてニスモ製。ノーマルのイメージを崩さず、確実に空力性能を向上させるアイテム
  • ノーマルの雰囲気を残しながらもニスモ製エアロのおかげで精悍な雰囲気に
  • 2011年モデルのカーボンパネルなどを移植し洗練させたインテリア
  • これまでにニスモでシャシーリフレッシュ、エンジンオーバーホールを行ってきた
  • 走りを追求した初期型の運動性能をさらに高めた本誌R35。力強い走りが自慢

16年経ってもいまだに「すごさ」は健在

スカイラインの名が取れ、「NISSAN GT-R」という車名となった。GT-Rマガジンでは、発売直後にダークメタルグレーの標準車をスタッフカーとして導入した。約16年をともにしている本誌R35の歩みを紹介する。

(初出:GT-R Magazine Vol.170)

納車直後に筑波サーキットでタイムアタックを敢行

平成19(2007)年12月、発売とほぼ同時に導入した本誌R35。納車から2日で2000kmの慣らし運転を完了。翌週に姉妹誌CARトップの看板企画「筑波タイムアタック」に挑み、1分2秒143という当時のブッチギリ最速タイムを叩き出した。

通常はメーカーが貸し出す広報車両で取材を行うところ、普通にディーラーで購入した、一般ユーザーと同じ条件の車両でテスト。しかも慣らし直後のサーキットアタックで前代未聞のタイムをマークした。こんな経験は、初期型の本誌R35が最初で最後かもしれない。

発売当初は恐ろしく注目度が高く、どこへ行っても「ガン見」され、ときには携帯電話(当時はまだガラケーが主流だった)を片手に写メを撮ろうと走って追い掛けてくる人までいたほど。クルマ好きのみならず、普通に「これが新しいGT‒Rですか?」と声を掛けられるほど、街行く多くの人たちが興味を示していたのが印象に残っている。

R35は「2000km慣らし運転するように」とオーナーズマニュアルに明記されており、走行距離ごとの上限回転数まで指定されていた(現行モデルのマニュアルではもう少し簡略化されている)。吊しで480psという当時としては国産車離れしたスペックで、欧州のスーパーカーとも肩を並べるポテンシャルだけに、いきなり全開なんていうことをしないように、という含みもあったのかもしれない。

27万kmまでの間、エンジンを2度オーバーホールし、現在はニスモのS1エンジンを搭載。トランスミッションは20万kmで一度新品に載せ換えている。初期のころは「腫れ物」のように扱われていた時期もあったが、今ではプロショップも独自にトラブルを未然に防ぐための対策や修理に関するノウハウを構築しているので安心して乗ることができる。

R35の外観

最新のTスペックとは異なる魅力があることを再認識

最新のTスペックと乗り比べたことで、16年分のR35の進化が手に取るようにわかった。Tスペックが最良のGTであることは先にも述べているが、初期モデルは荒削りな乗り心地やトランスミッションのノイズなど、そのワイルドさが年を経るにつれて「味」として受け入れられるようになった。だから、走っていても古くささは感じず、むしろ「すごいクルマ」に乗っている感は最新モデルを上回る。

これはある意味、チューニングカーにも通じることかもしれない。何かを得るために何かを犠牲にする。初期型のR35は「速さ」を得るため、目を瞑った部分があったのだと思う。そこを課題として徐々に潰しながら改良を重ねてきたからこそ最新のR35は洗練されたのだ。

どちらが良いかではなく、何を求めているのかによってチョイスのベクトルは変わってくるだろう。R35に関して言えば、クルマとしては圧倒的にTスペックのほうが完成度が高い。けれど、初期型のR35には16年に及ぶ付き合いがあり、良いことも悪いことも含めてさまざまな経験を共にしてきた。だからこそ、初期型のR35に乗る時は素に戻れる気がする。そういう意味では、本誌R35はもう家族同然のような存在なのかもしれない。

(この記事は2023年4月1日発売のGT-R Magazine 170号に掲載した記事を元に再編集しています)

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