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【R34「GT-R」開発秘話】とことん速さを追求したR33に対して普段使いできる快適性をプラス!「R34は第2世代の結実です」

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TEXT: 御堀直嗣(Mihori Naotsugu)  PHOTO: GT-R Magazine

  • R34のニュル走行シーン
  • ドイツ・ニュルブルクリンクでも走り込んで性能に磨きをかけた
  • ワインディングでもR33からの進化を感じられた
  • R34からエンジンカバーはブラックからレッドに変更された
  • タイヤサイズは18インチとなり、R33より精悍な印象に
  • 可変タイプの大型リアウイングとV-specに標準装備の前後ディフューザーがR34の特徴
  • マルチファンクションディスプレイと名付けられた、車両情報を表示するモニターが新たに標準装備となった
  • R34GT-Rのイメージカラーは鮮やかなベイサイドブルー
  • R35のT-specの源流とも言える、R34の最終限定モデル「ニュル」
  • 「R32はほのぼの。R33は猛々しい。R34はジェントル」という加藤氏の言葉が印象深い。第2世代R の進化は加藤氏の進化の歴史とも言えるはず。未来のドライバーにその術を継承してほしい
  • GT-Rマガジンが所有するR34GT-Rをドライブする加藤氏
  • 姉妹誌CARトップでは筑波サーキットでタイムアタック企画を行いR34GT-Rも好記録をマークした
  • R34GT-R登場時の加藤氏。速さを追求するV-specではなく標準車を主に担当した
  • ニュルブルクリンクを走り込むテスト車

集大成として熟成したBNR34

日本のみならず、世界中のクルマ好きに愛されている日産「スカイラインGT-R」。電子制御4WDなど、その開発には相当な苦労があった。その運動性能を取りまとめたのが、日産自動車 車両実験部の加藤博義氏である。当時の開発秘話を語っていただいた。今回はR34編をお届けする。

(初出:GT-R Magazine 171号)

愛車として4ドアGT-Rを手に入れたことで気付きがあった

「R33GT‒Rが世に出るとオフシーズンになるので、VDC(車両挙動制御)を担当しました。ドイツのBOSCHのスタッフと一緒に、またスウェーデンへ行って試作車に乗せてもらうことになったのですが、これは面白い体験でした。いかに運転のうまい人であっても、タイヤ1輪ずつにブレーキを掛けることはできません。わたしはスラロームを走るとその制御がわかり、開発者と同乗して、今左後ろにブレーキが入ったとか運転しながら話すと『わかるのか?』といって喜んでくれました。走りながら制御を変え、挙動の変化を体感できるので、実に楽しかったですね。

車両実験の試験解析にはR33の開発前から関わっていましたから、車両の挙動を評価する上でも、この体験はすごく勉強になりました」

R34の開発が始まるに際しては、後進の育成をするようにとの辞令も下った。R32の開発前から、電子制御4WDの開発に携わってきた関係で、加藤氏がGT‒Rの開発を担ってきた。だが、ほかのドライバーにも経験させたり共有したりすることで、日産の実験部の人材に厚みが増す。R32からR33へとGT‒R継承の道筋ができたことで、技術開発だけでなく、先端技術を走りにまとめる人材がさらに不可欠になる。

GT‒Rの速さの象徴となるVスペックは別のドライバーが担当し、加藤氏は基準車と呼ばれる標準仕様の開発をR34では担った。

R34登場時の加藤氏

「R33は、ニュルブルクリンクで8分を切る壮大な目標があったので、とにかく速く走ることだけを考えて開発しました。ですからR33の基準車がどのようなクルマであったか覚えてはいません」

だが、R34GT‒Rの開発が始まろうとするとき、加藤氏はスカイライン誕生40周年を記念して発売された4ドアセダンのGT‒Rオーテックバージョンを購入し所有した。そこで新たな気付きがあったと話す。

「自分のクルマで通勤し始めるとVスペックの乗り心地はいかにも硬い。R33のVスペックは、ニュルブルクリンクで1周8分を切る上で不可欠の設定でした。一方、日常的な使い方では路面の段差が気になり、マンホールは避けていこうかという気持ちになるほどです。Vスペックと基準車が同じではいけないと思ったのはこのときでした」

オーテックバージョンのサスペンションは基準車と同じで、これをR34GT‒Rの基準車へ活かそうと考えた。また、別のドライバーが開発を担ったR34のVスペックは、加藤氏にとってはオーバーステア特性に感じていたと言う。

「ほかの人からは、R33のほうがオーバーステアだと言われましたが、R34もニュルブルクリンクでは自分がVスペックのハンドルを握ったので、R33よりオーバーステアだと感じました。ただ、それではダメだということではなく、これが人を育てるということなのかもしれないと考えるようになりました。

時代とともに技術も進化していくし、担当するドライバーが変われば操縦特性も変わっていくでしょう。それがそれぞれのドライバーの個性であり時代の要請でもあり、その結果、まったく別のものというように外れてはいけませんが、日産自動車のGT‒RやフェアレディZという価値から外れなければ、それがその時代の個性と言えるでしょう。GT‒RやZでなくなってしまうような外れ方をしていないかどうか、そこをしっかりと確認するのがわたしの役目であり、同時に後進を育てることにも通じるのだと考えています」

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