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ゴブジ号は入院中! 日本カー・オブ・ザ・イヤーでアバルト「500e」が大健闘しました【週刊チンクエチェントVol.27】

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TEXT: 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)  PHOTO: 嶋田智之/Stellantis N.V

かなり不利な状況で選考に臨むことになったアバルト500e

実のところ、僕は“デザイン部門ではいいところまでいくかも……”と予想はしてたのだけど、本賞では“めちゃめちゃニッチなクルマだから10台中10位だろうな”と思っていたくらい。アバルト500eに選考委員の皆さんが試乗できたのは、タイミング的には10ベストカー選出の直前ギリギリ。その10ベストカーを確認試乗するための“10ベストカー取材会”というのが最終選考の直前に開催されるのだが、試乗できるクルマの台数が限られてるから、60人の選考委員の中にはその日までクルマに触れたことがなかった方もおられたことだろう。しかも今シーズンから選考方法に変更があり、2022年までの「選考委員の持ち点は25点で、1台に10点を投じ、残りの15点を4台に振り分ける」というカタチから「1位に10点、2位に4点、3位に2点を投じること」と3台にしか点を投じられないカタチになった。日本導入のタイミングからすればやむを得ないことでもあるのだが、かなり不利な状況で選考に臨むことになったわけだ。

かくいう僕も選考委員の末席に置いていただいているわけだが、僕はこのアバルト500eを1位に選び、10点を投じさせてもらった。理由はとてもシンプル。僕は“乗って楽しい、走って気持ちいいクルマに投じます”と不遜ながらも公言していて、その順番、である。国際試乗会からはじまって走らせる機会が多かったのもたしかではあるけど、10ベストカーに残ったクルマの中では最も楽しい、気持ちいいと感じられたのがアバルト500eだった、というわけだ。日本カー・オブ・ザ・イヤーの公式サイトにアクセスすると、60人の選考委員がどのクルマに点を投じたかというのをそれぞれコメント付きで御覧いただくことができるのだけど、僕はアバルト500eを選んだ理由を、次のように記してる。

「僕の選考基準は乗って楽しいか、走って気持ちいいか。今回の10ベストカーの中で最もそこを強く感じたのがアバルト500eでした。あまり使わない(使っちゃいけない)高速域にほどほどのところで見切りをつけ、モーター駆動の瞬発力と強力なトルクを中速・低速の常用域で最大限活用できるよう徹底して作り込んだことで、ICE版アバルトの弾けるような楽しさに劣らない刺激的なBEVが誕生しました。ほかに速いBEVは何車種もありますが、ここまで素直に楽しい、おもしろいと感じられたBEVは初めてです」

今シーズンで1〜2を争うくらい感銘を受けたクルマだから、ホントはもっととっぷりと語りたいところなのだけど、この週刊チンクエチェントでも以前に試乗記のようなものをしたためているので、そこは割愛。もし興味のあるかたがいらしたら、恐縮ながらそちらを御覧いただけると嬉しいな、と思う。

ちなみに僕はテクノロジー・カー・オブ・ザ・イヤーでも、このアバルト500eを選んでいる。強烈なインパクトを与えてくれる新しいテクノロジーというのが見当たらなかったこともあるのだけど、それはそれとして僕はこんなところに着目していた。

「容量の大きなバッテリーと高出力モーターに換装することをよしとせず、各部のキャリブレーションのやりなおしやハーネス内部でのロスの削減など地味な作業を星の数ほど重ね、+37psと+15Nmを稼ぎ出し、減速比を変えて相乗効果的に常用域での加速性能に繋げる。ブランドの伝統どおり、まさにチューンナップ。目覚ましい新技術こそ持たないが、テクノロジーの有効な使い方だと思う。アバルトICEモデル特有の排気音をサウンドジェネレーターで巧みに再現したのはおもしろいし、今後のトレンドになるかも」

もうひとかたアバルト500eに最高点を投じた方がおられて、インディカー・レースを闘ったレーシング・ドライバー、松田秀士さんだったりする。ほかにどんな方がこのクルマに点を投じたかということも含め、日本カー・オブ・ザ・イヤー公式サイトの選考結果のページから入れる“得点・投票理由はこちら”は、毎年のことながら、クルマ好きの皆さんにとってはなかなか興味深いと思う。ぜひともチェックしてみていただきたい。

そしてアバルト500eに興味を持った方がいらしたら、何はともあれフィアット/アバルトのショールームを訪ねて試乗してみて欲しい。バッテリーEVっていうものに対する概念が、もしかしたらガラッと変わるかもしれないから。

■「週刊チンクエチェント」連載記事一覧はこちら

日本カー・オブ・ザ・イヤー公式サイト

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  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 嶋田智之(SHIMADA Tomoyuki)
  • 『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー雑誌の『ROSSO』やフェラーリ専門誌『Scuderia』の総編集長を歴任した後に独立。クルマとヒトを柱に据え、2011年からフリーランスのライター、エディターとして活動を開始。自動車専門誌、一般誌、Webなどに寄稿するとともに、イベントやラジオ番組などではトークのゲストとして、クルマの楽しさを、ときにマニアックに、ときに解りやすく語る。走らせたことのある車種の多さでは自動車メディア業界でも屈指の存在であり、また欧州を中心とした海外取材の経験も豊富。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
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