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1000万円以下ではじめる旧車生活。 ジャガー「Eタイプ」にシリーズ「1.5」があった!? 米国の法規や嗜好に合わせた変遷とは

1000万円以下ではじめる旧車生活。 ジャガー「Eタイプ」にシリーズ「1.5」があった!? 米国の法規や嗜好に合わせた変遷とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2023 Courtesy of RM Sotheby's

約920万円の落札価格は、シリーズ1.5としてはリーズナブル

先ごろRMサザビーズ「ARIZONA 2024」オークションに出品されたEタイプ・シリーズ1.5OTS(“Open Two Seater”を略した、この時代のジャガーの正式名称)は、シャシーNo.#18180。記録によると、コヴェントリーの工場体制がシリーズ2に完全移行する直前、1968年6月19日にラインオフした最終期の生産分の1台とされる。また、カナダで正規に新車販売された数少ないEタイプのうちの1台であることも、この個体のストーリーをさらに高めている。

新車として作られた当時、このEタイプは「オパールセント・マルーン」のボディにベージュのインテリアの組み合わせで仕上げられていたが、現在はレッドのボディカラーにブラックのトリム&ソフトトップという、ハンサムなオールドスタイルのレストアが施されている。

また、このクルマがシリンダーヘッドを欧州仕様に交換し、同じくアメリカ仕様以外のSUキャブレター三連装に戻してありながらも、マッチングナンバーの4.2Lエンジンブロックを残していることは、ヒストリー上では重要なこととなろう。

今回の販売にあたっては、サービスを受けた際に発行されたインボイス、「ジャガー・ダイムラー・ヘリテージ・トラスト」から発行された証明書、純正のハンドブックにEタイプ・メンテナンス・チャートが添付されている。

RMサザビーズ北米本社は、出品者である現オーナーとの協議のうえ、8万ドル~10万ドルのエスティメートを設定。競売において最低落札価格を設定しない「Offered Without Reserve」とした。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、金額を問わず確実に落札されることからオークション会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が進むことも期待できる。ただしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、落札を止められないというリスクも持ち合わせる。

そして迎えた1月25日の競売では、エスティメート下限を大幅に割り込む6万1600ドル、日本円に換算すると約920万円という、出品者側にとっては不本意な価格で落札されることになった。

同じジャガーEタイプOTSでも、シリーズ1の極上車ならば15万~20万ドルも充分にあり得るいっぽう、シリーズ2では一部の例外を除けば5万ドル~7万ドルくらい。

たしかに、前後バンパーが少々繊細さに欠ける形状となり、大型化したテールランプをバンパー下にぶら下げるかたちとなったシリーズ2は、ルックス面でもシリーズ1および1.5までの魅力が色あせたことは否定できない。

しかも、クラシック・ジャガーのスペシャリストから伺った話によると、シリーズ2では生産コストダウンのため、防錆などについても少々問題ありとのこと。それゆえ、現在の市場相場が安価に推移することも理解できる。

だから、今回の「ARIZONA 2024」オークションにおけるシリーズ1.5 OTSがたたき出したシリーズ2並のプライスは、少なくとも落札者にとってはなかなかリーズナブルだったと思われるのだ。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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