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日産R35「GT-Rニスモ」で筑波58秒台! ダンロップが開発した新「SPORT MAXX」がOEタイヤより向上した点とは?

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: 木村博道(KIMURA Hiromichi)/小林 健(KOBAYASHI Takeshi)

  • スペシャルタイヤと飯田章氏
  • 最終コーナーを一気に立ち上がる、新作タイヤを装着したGT-R NISMO MY24
  • 2022年のRH9鈴鹿サーキット走行会で存在が明らかになったR35のリプレイス用ハイグリップタイヤ。サイズは純正と同じ255/40R20と285/35R20となる
  • アライメントの変更は行わず、タイヤの空気圧の調整のみでアタックに挑む。それでも58秒台をあっさり記録。「もう少しセットアップが煮詰まり、1周を上手くまとめられれば58秒台前半も夢のタイムではない」と飯田氏
  • 左がR35用のOE(純正装着)タイヤで右がダンロップの新SPORT MAXX(いずれもフロント用)。グルーブなどは細く、浅いがタイヤのトレッドパターンは近しい。ただし内部構造は大きく異なってる
  • 左が新SPORT MAXXのリアタイヤで、右がフロント。リアは排水用のグルーブが1本多いのが見て取れる。ちなみにコンパウンドはSタイヤ「β02」ではなく、ハイグリップタイヤの「03G」レベルだ
  • 今回のタイムアタックは2020年末から開発を進めてきた新フラッグシップタイヤの卒業試験。ダンロップ開発陣も日産チームに勝るとも劣らない1チームで挑戦
  • 「グリップレベルはもちろん、インフォメーション性が高いのが特徴。路面状況を正確に伝えてくれるから安心して踏めます。コントロール性も秀逸」と飯田氏
  • 日産と二人三脚でR35GT-Rのタイヤを鍛えてきたダンロップ。新SPORT MAXXはタイヤのポテンシャルを最大限引き出し、しかも懐も深く、ロングライフとサーキットでは純正OEタイヤを凌駕。この技術がR35を進化に導く!?

究極を詰め込んだR35専用タイヤの力を見せつけた58秒台

日産による「GT-R NISMO」2024年モデル(以下、MY24)の「筑波サーキット量産車最速タイム更新チャレンジ」と並行して、住友ゴム工業(ダンロップ)が2024年に発売予定のフラッグシップタイヤによるタイムアタックを実施した。今持てる技術、知見のすべてを注ぎ込んだ新「SPORT MAXX」は純正OEタイヤを上回る58秒台で駆け抜けた。その秘密に迫る。

(初出:GT-R Magazine Vol.175)

プロファイル&コンパウンドでコーナーリング性能は7%向上

開発初期を含めると20年以上にわたりR35GT‒Rとともに歩んできたのがダンロップだ。「ランフラット構造でありながら、300km/hでも安心・安定して走れ、静粛性を担保する」という日産の厳しい要求条件をクリア。さらにR35の進化に合わせて、アップデートを繰り返し、足元を支えてきた。

東京オートサロン2024でお披露目されたR35GT‒R用のリプレイス・ハイグリップタイヤ「スポーツマックス」はGT‒Rのタイヤ開発、ほかで積み重ねて得たコア技術と開発陣が思い描いたスポーツタイヤの理想の姿を具現化した次世代を担うフラッグシップタイヤだ。

「開発の発端は2019年にミシュラン・パイロットスポーツの新作『カップ2R』がポルシェGT3RSに正式採用されたことです。2019年末に筑波サーキットで量産車最速タイムの59秒361を記録しましたが、ポルシェ×ミシュランの新たなパッケージに脅威を感じ、こちらもニュータイヤで対抗しようと企画したのです」

と開発を担当した宇野弘基氏。始まりは量産車最速死守であったが、最終的には「持てる技術、知見を駆使して、市販のプレミアム&スポーツタイヤとしてこれ以上のない、フラッグシップタイヤを目指す」に落ち着いた。

その特徴は、コンパウンド/パターン以上に接地面の圧力を均一化する「路面追従ブロック形状」、コーナーリング中などタイヤがよじれた状態でも最高のグリップが得られる「新ショルダー形状」、そして300km/h走行時でも外側のスチールワイヤーが開かない「ショルダーバンドのハイテンション化」にある。

「Sタイヤのような特化型ではなく、一般的な市販ラジアルの範疇にありますから、スポーツタイヤとして最高峰のオールラウンダー性能を持たせることに注力しました。最新の解析技術と実証実験を繰り返し、アンダーステアが出るとこで引きずらないことに注視した新たなプロファイル(形状)を導き出しました。これによってサーキットを連続周回してもタイヤが均一に減る=ロングライフに繋がります。また、超高速域でバーストを起こす原因となる外側のスチールベルトをあらかじめ締める新構造を採用することで、トラブルを抑制しています。タイヤメーカーが何より望むのは安心と安全ですから」

新作タイヤ

この改良・進化にともない、内部構造の変更が必要となり、金型/成型機を一新した。

「正直、作れば作るほど赤字ですが、今後当社から発売する新たなタイヤにそのノウハウを投入できるのは大きい。そのあたりでイーブンになれば……」

ちなみにGT‒RのOEタイヤに対してコンパウンドで3%、接地改善で4%、計7%のコーナーリングフォースの向上がシミュレーションで得られたそうだ。実際のタイムアタックでもその効果は如実に表れていた。ダンロップコーナーを抜ける姿勢を見ても、純正タイヤ装着車両に対してロール量は大きく、コーナーリングスピードは明らかに速い。

「グリップ力が高く、それによる負荷がトランスミッションにかかるようで、連続周回では若干滑る傾向が見られた。チューニングカーなら起こりえるが、完全ノーマルでの経験は初めて。パワーも足りなく感じましたね」

と、タイヤ開発ならびにタイムアタックを担当したレーシングドライバーの飯田 章氏。アタックは数周で58秒820を記録し、あっさり純正OEタイヤ超えを達成。高いポテンシャルを見せつけた。

発売時期については未定だが、ニューモデルである「スポーツマックスRS」が発売される6月に何らかの発表があるとの情報をキャッチした。期待して待ちたい。

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