911カレラRS 2.7をオマージュしたカラーリングにも注目
ここで紹介するのは、先日開催されたマイアミ・オークションに出品されたクラシック・スタディの1台、「サン・ファン・コミッション」とネーミングされたモデルだ。グランプリ・ホワイトのボディカラーと、シンガー・レーシング・グリーンのホイールの組み合わせは、ポルシェの伝説的な「911カレラRS 2.7」への巧みなオマージュと考えられる。シンガーによるオリジナルのカーボン製モノコックタブはきわめて高い剛性を実現し、さらにサスペンションのセッティングも依頼者のリクエストによって十分に強化されている。
搭載されるエンジンは4Lの水平対向6気筒で、これは同じカリフォルニア州のヴァンナイズにあるエド・ピンク・レーシング・エンジンズによるもの。964時代のブロックをそのまま使用し、特注のピストン、シリンダー、シリンダーヘッド、クランクシャフト、カムシャフト、コンロッド、オイルポンプ、スロットルボディ、吸気システム等々を採用し、390psの最高出力と427Nmの最大トルクを得ている。組み合わせられるトランスミッションは6速MT、駆動方式はRWDだ。このパワーユニットによって、停止から時速60マイル(96km/h)までの加速を3.3秒以下でこなす加速力が得られた。リアのマルホランド・ウイングや、軽量なチタン製エグゾーストシステムも、この性能のためにある。
インテリアのフィニッシュにも、シンガー・グリーンが効果的に用いられる、このサン・ファン・コミッション。サン・ファンとは、プエルトリコの首都の名前だが、その美しい街と同様に、このクラシック・スタディもまた、時間を超えた新たな美しさと性能を得ているのは写真を見ていただければ十分に理解していただける。
RMサザビーズが今回提示した予想落札価格は130万〜150万ドル(邦貨換算約1億9370万円〜2億2350万円)。オークションでは残念ながら落札者は現れなかったが、このモデルは現在でも135万ドル(邦貨換算約2億115万円)での応談でセールスが継続中だ。