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90年近く前のメルセデス・ベンツ「W136型170V」がなぜカスタムカーショーに? 人材派遣会社がオールドメルセデスの魅力を伝える理由とは?

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TEXT: 酒寄俊幸(SAKAYORI Toshiyuki/gasgraphix)  PHOTO: 酒寄俊幸(ガスグラフィックス)

  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:1936年から1955年まで生産され、セダンとコンバーチブルの2種類が用意された
  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:実走行を楽しめるよう、幌などもしっかりとレストア済み
  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:当時のウインカーは手動式のセマフォーのみだが、車検取得のために点滅式を追加装備している
  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:モーター駆動へと変更されたワイパー
  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:水冷4気筒のエンジンもレストア済み。円筒状の物体はクラクション
  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:室内も完璧にレストアされている
  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:各種メーターやスイッチ類も修理済み
  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:赤い内装も重厚かつ高級感に満ちあふれている
  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:椋木を使った木骨に鋼板を張るのが当時のボディ構造の主流だった
  • ものづくりプラスのクラシックカー事業部の杉野浩之さん。1938年式のメルセデス・ベンツ W136型 170V以外に、1952年式も在庫があるとのこと。気になる方はインスタグラム(@old.mercedes.club)までご連絡を
  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:赤いピンストライプは純正ではなく、モディファイとして追加装飾したもの
  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:時代特有の流麗なボディフォルムが美しい
  • メルセデス・ベンツ W136型 170V:九州カスタムカーショー2024 in 熊本で展示された

博物館級のオールドメルセデスがカスタムカーショーにやって来た!

2024年10月5日〜6日に熊本県上益城郡益城町にあるグランメッセ熊本で開催された「九州カスタムカーショー2024 in 熊本」の会場で、ひときわ目立っていたのがメルセデス・ベンツ「W136型 170V」のコンバーチブルです。何かのベース車を元に作ったレプリカかと思いきや、なんとこのクルマは正真正銘の本物。自動車博物館でしか見られないようなこのオールドメルセデスが、なぜカスタムカーショーに展示されているのか? その謎に迫りました。

メルセデス・ベンツに魅了され、各車を乗り継いだ結果の終着点

「弊社のブースに訪れてくれた多くの方々が、これは本物ですか? と訊ねてくださいました。このクルマがカスタムカーショーに展示されていることに違和感があるのは当然だと思います。場違いだと思われる方も多いかもしれませんが、こういうイベントへの出展で、皆さまの反応を知りたかったのです」

そう語ってくれたのは、株式会社ものづくりプラスのクラシックカー事業部の杉野浩之さんだ。会社組織としては、人材派遣業が主な業務。その中でオールドメルセデスのW136型 170Vのみを扱うクラシックカー事業部を立ち上げ、イベント初出展として選ばれたのが、「九州カスタムカーショー2024 in 熊本」だったのだ。

「私は、メルセデス・ベンツに憧れて乗りはじめた人間でした。そのクルマの良さも分からずに、メルセデス・ベンツというブランド名だけで乗っていたというのが正直なところです。途中でアメ車に心移りしたこともありましたが、周りから見られるイメージやクルマとしての性能の高さに気づき、再びメルセデス・ベンツへと戻ってきたのです。乗り換えの度に古い年式のクルマを選んできたら、最終的にこの年代に辿り着きました」

1938年生まれのオールドメルセデスで社会貢献を

若いころにはバイクレースを経験し、アメ車時代にはドラッグレースにも参戦していたという杉野さん。そんな方が、このオールドメルセデスを手に入れたことで、クルマの価値感が激変。入手当初は45年間もエンジンをかけていなかったという個体で、水、オイル関係は全て漏れまくっており、ブレーキも効かない。しかし、「部品は意外と手に入る。アナログな時代のクルマだから、努力をすれば絶対に治せる!」という信念のもと、約50日かけて自ら修理を実施。

無事に車検を取得して、晴れて公道デビューとなった個体が今回展示されたクルマだ。もちろんイベント当日も、積載車を使わずに自走で搬入してきた。

「このクルマに乗ると優雅な気分にさせてくれるのです。35馬力ほどしかない直列4気筒のエンジンなので、最高速度は80km/hほど。でも、走っていると見てくれる皆さんが盛り上がるのです。皆さんが喜んでいる姿を見ていると、心の余裕が生まれてきて、ストレスも無くなります。

私は速い乗り物が好きだったのでレース活動をしてきましたが、スピードなんて必要なかったんだ。そんなことを気づかせてくれた最高のクルマだと、本気で思っています」

誰もが手に入れられるわけではないが、杉野さんが感じた思いをひとりでも多くに伝えたい。戦前のクルマとなるとパーツ入手の問題があるし、そもそも面倒を見てくれるお店も少ない。だったら、自分が修理で経験した経験値を活かして、誰かのために役に立ちたい。仮に売れなかったとしても、このクルマでサンタクロースになって児童養護施設を巡るなど、社会貢献ができればいい。それが、ものづくりプラスのクラシックカー事業部の狙いなのだ。

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