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なぜ鉄仮面「スカイライン」が2200万円オーバー!? 鈴木亜久里/和田孝夫コンビで「JTC」で優勝した「RSターボ Gr.Aツーリングカー」そのものでした

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: Bonhams

JTCは初戦から優勝!

今回登場したシャシーナンバー「DR30-000069」は、1986年のJTCレース用にニスモによって仕上げられたマシンである。余談ながらニスモ(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)が誕生したのは1984年のことで、スカイラインはグループAによるJTCに初年度となる1985年から参戦していたものの、初年度は輝かしい成果は上げられなかった。

しかし2年目となる1986年に、この「DR30-000069」シャシーのRSターボは、ドライバーとして鈴木亜久里/和田孝夫の2人がドライブ。白地に赤とブルースのストライプを各所にあしらった、どちらかと言えば地味な出で立ちでデビューした。

この年全6戦で開催されたJTCは、初戦に西日本サーキットで開催され、鈴木/和田組のスカイラインが見事優勝。第2戦のスポーツランド菅生のレースは、天候不良で決勝が3カ月後の7月に開催されたが、そこでも優勝。第3戦の筑波は三菱「スタリオン」の後塵を拝し、惜しくも2位。そして第4戦の西仙台は同じDR30をドライブする長谷見/舘組に敗れてここでも2位。富士スピードウェイで行われた国際格式のインターテックは、外国勢には歯が立たず4位。最終戦となる鈴鹿でのレースは予選3位から見事逆転で優勝し、この年のチャンピオンに輝いた。すべてのレースを完走し、しかもインターテック以外はすべてポディウムに立つという快挙であった。

レストアが施されサーキット走行も可能な状態に

現オーナーは20年前に、レースから退いた「000069」を購入し、最近になって大がかりなレストア作業を終了した。外装のボディワークは素晴らしい状態であり、オリジナルのカラーリングを保っているが、車体の内装とアンダーボディは白に塗り直されたという。また、エンジンは2020年にニスモのエンジニアによってリビルドされ、ブレーキ、ギアボックス、ダンパー、燃料システムなどの主要コンポーネンツもオーバーホールされた。

さらに、1986年のレース仕様に可能な限り忠実でありながら、クルマをサーキット走行可能な状態に戻すことを目的として、新しいアルミ製燃料電池、LINK ECU、新しい油圧シリンダー、配管などが採用されている。

2024年7月16日、レストアされた「000069」は生憎の雨の中、和田孝夫のドライブによって、富士のコースを数ラップ走行している。そしてクルマがヒストリックレースに参戦可能な状態にあることが確認されたという。もちろんレース参戦の場合はさらなるメンテナンスが必要になることは言うまでもない。

ちなみにこのクルマ、ニスモのファクトリーRSターボとして確認されている唯一のマシンと言われている。オークションでは15万〜20万ドル(邦貨換算約2200万円〜2960万円)のエスティメート(推定落札価格)を掲げたが、今回は勇者が現れず、現在も同価格で継続販売されている。

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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