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3000万円オーバー! 日産「スカイライン GTS-R」のレース用モデルは「日本一速い男」のために「ニスモ」が作った特別な1台でした

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: Bonhams

1987年にニスモによってインパルの星野一義のために仕上げられたマシン

GTS-Rは、グループAレギュレーションに合致するために作られた、いわばホモロゲーションモデル。本来500台以上の生産が義務付けられる生産規定をクリアするため、800台が作られたことになっているが、「gtr-registory.com」によれば4台のプロトタイプを含んで合計823台が作られたとされている。

また、ノーマルGTS-Rのエンジンは排気量1998ccとされているが、レース用のHR31は、ヨーロッパのETCを走ったマシンを含め、排気量は2023ccとなっている。残念ながらボア×ストロークに関する記載はない。
シャシーナンバー「HR31-128388」は、1987年にニスモによってインパルの星野一義(現役時代は日本一速い男と呼ばれた)のために仕上げられたマシンで、のちに有名になるカルソニック・カラーをまとった最初のマシンであった。戦績としては1988年に北野元/和田孝夫のコンビで参戦し、2回のトップ5フィニッシュを達成している。残念ながら3回はDNFであった。

翌1989年は、和田に代わり、星野と北野がドライブ。6戦中5戦で最前列スタート(うち4回はポールポジション)し、西仙台ハイランドの第2戦、ハイランド・グループA 300kmレースで念願の初優勝を遂げている。残念ながら、優勝はこの一度だけであった。

レース活動を終えておよそ30年間、この「HR31-128388」はプライベート・コレクションのもとで静かな余生を送っていた。そして、2024年になって大規模なレストア作業が断行された。プロジェクトの詳細はまず往時のボディカラー、すなわちカルソニック・カラーを再現すること。もちろんゼッケンやデカールは西仙台で優勝した当時が再現されている。

車両は走行可能な状態

エンジンは2023年にニスモによってリビルドされ、マグネシウム製インテーク・マニホールドの補修、ラジエーターとインタークーラーの交換などが断行された。さらに、ギアボックスのチェック、クラッチとブレーキのハイドロ―リック・システムの一新、新しいブレーキディスクの装備とエアジャッキのチェックなど、細部に至るまであらゆる部分が見直されている。というわけで車両は走行可能な状態である。もっともこれでレースをする場合は、さらなるメンテナンスがレコメンドされている。

2024年7月16日、富士スピードウェイにおいて、特別なイベントが開催され、「HR31-128388」は当時のドライバー、星野一義と対面した。また、デモドライバーによるデモンストレーションランが敢行されたが、この日、星野がこのクルマをドライブすることはなかった。

ボナムズでは、この車両に20万ドル〜27万5000ドル(邦貨換算約3120万円〜約4290万円)のエスティメート(推定落札価格)を設定した。実際には、20万1600ドル(邦貨換算約3144万円)でハンマーが叩かれた。

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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