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BMW新型「M5」で軽く280キロオーバー! 最大トルク1000Nmのスーパーセダンの真価とは…狙い目は復活した「M5ツーリング」

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TEXT: 西川 淳(NISHIKAWA Jun)  PHOTO: BMW

  • BMW M5:カーブド・ディスプレイを備えた最新ブランドデザインを採用。M専用パーツを多数用いてスポーティ感を高めている
  • BMW M5:Mモデル専用のマルチ・ファンクション・シートを標準装備
  • BMW M5:エンジンのみで最高出力585ps/最大トルク750Nm発揮。モーターが作り出すトルクはプリ・ギアリングによって450Nmまで増強される
  • BMW M5:Mモデル専用4WD(M xDrive)を搭載、DSCオフ時には後輪駆動モードもセレクト可能となっている
  • BMW M5:フェンダーはベースモデルよりフロント75mm、リア48mmワイドに仕立てられた
  • BMW M5:スイッチ式のシフトを採用。スイッチ類もタッチ式となりすっきりした印象に
  • BMW M5ツーリング:ツーリングのラゲッジ容量は通常500L、後席を倒せば最大1630Lまで拡大する
  • BMW M5:1985年に登場したM5の初代モデルE28。E28は5シリーズとしてはE12に次ぐ2代目となる
  • BMW M5:1988年に発表された2代目となるE34。M5ツーリングは遅れて1992年に登場している
  • BMW M5:1998年登場のE39は最高出力400ps/最大トルク500Nmの4.9L V8を搭載
  • BMW M5ツーリング:プリプロダクションモデルながら試乗会に登場した、ワゴンのツーリング
  • BMW M5ツーリング:M専用エアロパーツやMスポーツ・エキゾーストなどを装着
  • BMW M5:5シリーズをベースにBMW M社が手掛けたM ハイパフォーマンスモデル。新型はMモデル史上最強パワーのM専用プラグインハイブリッドを搭載する

アウトバーンでは軽く踏んだだけで280キロを超えていく

BMWの新型「M5」は“洗練された高性能セダン”という歴代モデルの伝統を受け継ぎ、最高出力727ps/最大トルク1000Nmのパワートレインを積んだ、M5として初のPHEVモデルです。ドイツ本国でセダンの「M5」とステーションワゴンの「M5ツーリング」に試乗。最初の驚きは、運転席以外の乗り心地の良さでした。

その時代を代表する“洗練された高性能セダン”

現行型のG60「5シリーズ」が登場したとき、「このスタイルのM5ってどうなん? 」と不安に思ったものだった。BEVとICEVの共有車台戦略の申し子で、正直、リムジーネ(セダン)はお世辞にもかっこいいとは思えなかったからだ。もっともクルマそのものの完成度は、BEVもICEVも高く、後から登場したツーリングでは見た目のネガティヴなイメージがかなり薄まっていたから、オススメはワゴンだなとは思っていた。M5にはツーリングがないだろうし……。

マイナスの予想が外れるとネガを忘れてしまえるほど嬉しくなるものである。G60ベースの「M5」、G90には、ツーリングバージョンがあった! G99だ。

G91じゃないの? と聞いてみたところ、今までのセダン派生モデルであれば91とか92とかいうふうになんのこだわりもなく割り当ててきたけれど、今回の担当者はそれが嫌だったらしい。それじゃ面白くない、ということで収まりのいい、というかおそらく担当者の趣味で、G99となった。間に何か別のモデルがあったわけじゃない(少なくとも8モデルはない!)。面白いじゃないか。

というわけで「M5リムジーネ」と「M5ツーリング」のほぼ同時デビューである。「M3ツーリング」がすでに復活していたから戦略的には一貫性があるし、それだけポストSUV世代の受け皿として特にドイツをはじめとした親ワゴン地域に需要があると見込んでのことなのだろう。

歴代M5にも試乗できた!

過去にもM5ツーリングは存在した。E34とE60だ。歴代M5のなかでも個性があって高い人気を誇る2モデルにセダンとツーリングが存在したという事実を偶然だと済ますことはできるし、おそらくそうだろうけれど、日本仕様には存在しなかった2台の高性能ワゴンだけに、筆者などはノスタルジーが募りまくる。

そんなわけで、新型M5とM5ツーリングの試乗会がお膝元ミュンヘンで開催され、そこには歴代M5の試乗車も用意されていると聞き、真っ先に試してみたいと思ったのがE34とE60のM5ツーリングだった。

残念ながら生産台数わずかに1000台というE61 M5は展示こそされていたものの試乗はできなかったけれど、E34 M5のセダンとツーリング、さらにはE28とE39も試すことができたのだから文句は言えない。

いずれのモデルでもエンジンに感動する。さすがはMというわけだ。BMWといえば昔からエンジンが魅力なわけだが、今やそれは“時代の最適解”という枠組みのなかでパワートレイン全般にまで及んでいる。ところがMの高性能モデルだけは電動化を性能アップに注ぎ込み、いまだにエンジンを楽しむモデルを作り続けてくれている。E28のM88、E34のS38はともに今なお胸を空くストレート6だったし、E39のV8はマニュアルで心底心地よく回ってくれた。E60のV10に至っては今さら言うに及ばず。現代のエンジンと遜色ないパフォーマンスと、今や失われたサウンド&フィールを味わわせてくれた。

そんな歴代M5に積まれたエンジンの魅力もさることながら、それを中心にパッケージされたM5というクルマはじつに “洗練された高性能セダン”であったと改めて知る。BMWの中核というべき5シリーズにふさわしい快適性を保持しつつ、時代を代表するような高性能を実現したモデルであることを改めて確認することができた。

M5は洗練された高性能サルーン。そして、新型M5の印象はというと、セダンもツーリングも歴代モデルの良き伝統を受け継いだ、けれども途方もないパフォーマンスを有するスーパーサルーンであった。

>>>アルピナとM5を特集! 1月29日発売のBMW専門誌「BMW LIFE3」はこちら(外部サイト)

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